< 「スピリチュアルの喪失」 |
メイン
|
「ふたりでジュースでしょ」 >
夢見る掃除人 / 2008.12.01 21:48 / 推薦数 : 2
「H15(ワ)202亀田事件簿File-2」
Ⅱ. 学会症例報告
まずは、学会症例報告の抄録からご供覧ください。
***
2006/12/19 00:23 第13回日本アレルギー学会春季臨床大会
一般演題
O-250 テオフィリン中毒で死亡した1喘息剖検例
○上 ○・○沢○広・○子○宏・○島○司
(亀田総合病院総合内科/呼吸器内科)
通常とは異なった経過をたどったテオフィリン中毒による喘息症例を呈示する。
症例 17歳男性。2歳発症のアトピー型喘息。2000年に入ってから不安定になり発作にて何回か入院を繰り返していたが、2000/12/28に退院。 2001/1/1早朝嘔気にて来院。血清テオフィリン濃度が103μg/mlあったため活性炭を内服させるとともに、活性炭による血液吸着を行うことにした。腎臓内科の協力にて吸着を開始したが、途中で活性炭カラム内が2回凝血したので通常の血液透析の準備を行っているうちに痙攣が発症した。経鼻的に気管内挿管し呼吸器を装着したが、この時点から採血直後に凝 血する現象が始まり、次いで著明な肉眼的血尿とともに採血部位からの持続出血が始まった。この時点でAPTT 73.2秒と延長、FDP 39.6 μg/mlと上昇が認められたが血小板数は35万/μlあった。その後貧血が進行、大量の輸血を行うも死亡した。剖検では後腹膜腔への出血と肺鬱血が目立つ所見であり大血管内の血栓は存在しなかった。2000/12/28の血液中のテオフィリンは検出限界以下であった。臨床的にはDICが急激に誘発され肺鬱血が生じたとの解釈は可能であるが、その誘因として低酸素血症、活性炭カラムの可能性も考えられた。血栓形成傾向を示す先天性疾患は否定的であった。このような例は稀であると思われるので報告した。
***
訴訟事件でもなければ、「そのようなこともあるかもしれない不幸な転帰」として、特に、注目も浴びないであろうこの学会症例報告は、すでに医療訴訟へと発展し、「医療ミス」として賠償するという思いもかけない判決へと展開したのでした。
学会で質問されるであろう要点は、いくつか想定される。
***
まずは、驚くのは、気管支拡張剤「テオフィリン」が、極めて短期間(2008.12.28~2001.1.1の5日間)で、血中濃度が103μg/ml(通常治療域5~20μg/ml、中毒域20μg/ml以上)と極めて高い濃度になっています。
その理由として考えられるのは、まず、大量内服(自殺企図)です。通常の規定通りの内服量でこのような高濃度になることは普通考えられない。また、大量に内服することでも、ここまでの高い血中濃度になるかについても、文献はない。臨床試験の投与量をはるかに超えるものであることは容易に疑われるでしょう。
しかしながら、通常の内服でも、その薬剤が代謝されない時は高濃度になることがあるというのも想定されることです。薬剤の代謝ができないような、肝臓・腎蔵の何らかの急性障害です。
はたして、そのような仮説は成り立つでしょうか。
症例は、「嘔吐と痙攣、肉眼的血尿、異常な凝固亢進とその後の出血傾向(カラム内凝血、カテーテル挿入部からの持続的出血)、後腹膜出血、呼吸不全(肺うっ血、低酸素血症)」を呈しています。
これらの症状から鑑別するべき疾患として、思いつくのは、大まかに分けて
1.テオフィリン中毒
2.薬剤による急性腎不全・肝不全
3.吸着療法による二次的凝固能異常。
4.DIC(播種性血管内凝固)
5.多臓器機能不全症候群
6.肺梗塞・ARDS(成人呼吸促迫症候群)
7.カテーテル挿入時の血管損傷による出血性ショック
などです。これらが単独で起きたものなのか、相互に複合したものなのでしょうか。
本件で、最も重要な争点となったのは、原告の主張した「出血性ショック」でした。血管損傷による後腹膜腔への出血はどれほどの量だったのでしょう。出血性ショックをきたす量だったのでしょうか。
次回は、千葉地裁で明らかにされた事実と、審理の内容をみながら、あまりにも早く死に至った青年の謎をひとつずつ検証していきます。
。。。つづく
***By 空飛ぶ探偵事務所「ゆめみ」
固定リンク
|
コメント (3)
|
トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバック URL
http://blog.m3.com/flyingmedicords/20081201/_File_2_/trackback
コメント
コメント一覧
テオフィリンが103だったのは、驚きです。
SEPTICEMIA,DIC,血小板数は35万/μl,多臓器機能不全症候群,テオフィリン血中濃度が103μg/mlの順番では、ないですか?こうなれば、何をしても手遅れです。
私の指導医は、急性の気管支炎、SEPTICEMIA,DIC,多臓器機能不全症候群で亡くなりました。アメリカ、オハイオ州の話です。
このケースはあくまでも、私の憶測ですが。
これは、大変奇妙な症例です。そして、大変奇妙な判決です。
なぜ、敗訴したのか。
今日の医療裁判の在り方の矛盾と独善を、
根こそぎ「切りまくります」。
お楽しみに。
***忍者・「ゆめみ」見参
コメントを書く