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「鑑定という限界」 >
夢見る掃除人 / 2008.09.22 13:29 / 推薦数 : 2
奈良県田原本町の母子3人放火殺人事件の鑑定医として、秘密漏示罪(刑法134条1項)に問われて逮捕(現在保釈中)、起訴された精神科医(崎浜盛三医師)の初公判が、2008年4月14日、奈良地裁で行われ、第2回公判が5月1日、第3回公判は5月29日に行われました。
****以下(ライブドアニュースPJより抜粋)
事件の概要
奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件は、長男が06年6月、自宅に放火して母親ら3人を殺害したとして殺人、現住建造物等放火容疑で逮捕された。 奈良家裁は、精神鑑定の結果などを踏まえ、長男を中等少年院送致とした。
07年5月、 フリージャーナリストの草薙厚子氏が、長男らの供述調書を引用した著書「僕はパパを殺すことに決めた」を講談社から出版。長男と父親の告訴を受けた奈良地検は、崎浜医師と草薙厚子氏の自宅などを捜索。奈良地検は、07年11月、崎浜医師を起訴した。一方、著者の草薙厚子さんは嫌疑不十分で不起訴とした。(以上抜粋)
崎浜被告は、初公判に出廷するため、午前9時すぎに関係者らと奈良地裁に入った。新聞報道などによると、崎浜被告は、調書が引用された長男(18)=中等少年院送致=の精神鑑定を担当、公判では無罪を主張する方針だという。
公判は、罪状認否に入ることなく約1時間で終了した。公判終了後、崎浜被告の弁護人が、地裁横の奈良県文化会館前のテント下で、報道関係者の質疑に応じた。
崎浜被告の弁護人は、今後の法廷闘争の方向性について、「この事件は法律的な問題でもあると同時に社会的な問題です。表現とか出版の自由と取材のあり方の問題だけではない。わたしたちは草薙さん、講談社に批判的な見解を持っています。『私の意見』として述べるのではなく、証人調べの中でなぜ非難するのかということを皆さんにわかっていただきたい。草薙さんだけではなく、講談社の関係者も証人申請することになると思います」と話した。
さらに、弁護人は少年と少年の父親の供述調書に記載されている内容に触れた。弁護人は「少年と少年の父親の供述調書があるのですが、その中で何を言っているかというと、『こういう風な話が、裁判以外の形で出るなんて予測もしていなかった。もし、そんなことを予測していたならば、自分はこんなことを言わなかった』という調書です。そんなこと彼らが考えるわけないでしょ。だが、調書はそうなっている。裁判以外に調書の内容を漏らすなということを、あたかも少年や少年の父親が語っているような調書なのです」などと調書の内容にも疑問を投げかけた。
(以上抜粋、下線付加)
****第2回の公判では。。。以下抜粋****
この日の公判は、崎浜被告の意見陳述と弁護人の意見陳述のあと、検察官の冒頭陳述が行われた。崎浜被告は「起訴状記載の公訴事実に間違いありません。わたしが提供した資料を使って書かれた『僕はパパを殺すことに決めた』の本の内容は、わたしの意図に反するものであり、この場をかりて、少年や事件の関係者に深くおわびします」などと公訴事実について意見を述べた。
さらに弁護人は、刑法134条1項の秘密漏示罪の該当者は医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人またはこれらの職にあったものだと説明したうえ、「精神鑑定の鑑定人は学識経験のある者が行い、医師として鑑定を行うものではない。そもそも、鑑定医は医師ではない」などと意見を述べ、本件は秘密漏示罪にあたらないと主張した。
さらに、本件起訴に至った少年と少年の父親の告訴が、有効な告訴かどうか、告訴代理人が、元検事総長であることなどから、検察が少年側に情報をリークし、検察の逮捕、起訴ありきの国策捜査の様相がある点を批判した。そのうえで、崎浜被告の行為は、少年の殺人者であるというレッテルをはがすことが目的で、それが刑法134条1項の正当な理由に該当するので、被告人は無罪であると主張し、公訴棄却を裁判官に申し立てた。
冒頭陳述で、検察官は、崎浜被告が犯行に至った経緯などを詳細に説明した。崎浜被告の弁護人は、検察官の冒頭陳述の中に『僕はパパを殺すことに決めた』の著者であるフリージャーナリストの草薙厚子氏と一緒に崎浜被告に事件の供述調書などの閲覧を要望した講談社『週刊現代』の担当編集者のモリタ氏らの固有名詞が出たことで、「公訴事実に、検察官が、講談社関係者の固有名詞を記載しなかった理由は何か」「正式な書き方は、『草薙』ではなくて、『草薙ら』と、『ら』を記載するべきではないのか」など、検察官に問い正した。裁判官に「訴因の変更を命じてください」と声高く、訴える場面があった。
裁判官は「今後の証拠調べの方向性について、打ち合わせをする時間を設けたい」と述べ、期日外に「整理手続き」を行うこととして、この日の公判は終了した。次回公判は5月29日午後1時30分からの予定。
(以上抜粋、下線は抜粋に付加。)
****さて、5月29日の第3回公判では。。。以下抜粋。
崎浜被告の弁護人の冒頭陳述
崎浜被告の弁護人は、冒頭陳述で、1)被告人が、ジャーナリストの草薙厚子氏を、安易に信用して事件の供述調書を見せたのは、信頼する大学医学部の人の紹介だったこと、2)草薙氏らに調書を見せた経緯は、「コピーはしない」「形を変えて出す」「事前に原稿をチェックする」という3つの約束の上のことだったこと、3)調書を見せたときに、草薙氏に同行していた人物が、小型カメラを持ったカメラマンであるとは思わなかったこと、4)草薙氏らは、調書を写真撮影したが、そのことを被告人に告げずに隠し続けたことは、草薙氏らの裏切り行為であり、情報の詐取とも言うべき悪質極まりない行為であること、5)本件における被告人の関与は、本出版以前に発売された週刊現代(06年11月4日号・11月11日号)、月刊現代(06年12月号)の記事の掲載までであったこと、6)被告人が、草薙氏が書く本が出版されることを知ったのは出版の前日であった。このことは、草薙氏らが被告人に事実を伏せたまま、3つの約束をすべて破られたことになること、7)被告人のチェックもなしに、本が出版されるとは想像だにしていなかったこと、8)本の出版直後から、奈良地検の検察官らが少年の実父と接触して告訴を勧めたことが端緒で、元検事総長が告訴代理人として告訴がなされた。その後、奈良地検が、関係先を家宅捜索後、逮捕、起訴という流れになったのは、法務省、検察庁が一体になってのことで、国策捜査であることは明らかであるなどと主張した。
検察側、弁護側の証人出廷要請
検察側は、少年の実父と本の著者、草薙厚子氏に対する証人出廷を要請した。一方、弁護側は、告訴代理人、実父、草薙厚子氏、講談社関係者に対して証人出廷を順次申請する方針を示した。
検察の証拠資料の開示
この日の公判には女性検察官1名と男性検察官2名が公判に臨んだ。検察官らは、本件捜査段階で作成した供述調書や押収した資料などを検察官席の前の机に積み上げる一方、パソコンも用意の上、証拠資料の開示を行った。
証拠資料の開示は、資料を見ながら、女性検察官が草薙厚子氏役になり、草薙氏が被告人に調書を見せてほしいと頼みに行った時や調書を見せる日の日程調整の時などの両者の言動を、検察官らがリアルに再現した。
さらに、検察官らは、パソコンを用いて、甲第15号証、甲第16号証とするDVDの資料をスクリーンに映し出し、裁判官、被告人、弁護人、傍聴席の傍聴者に提示した。検察官は、このDVDには、事件発覚当初の報告書、調書類、資料、図面、少年が事件を起こした事件現場の写真(実況見分調書)など、2200枚弱の資料が入っていたと説明した。
(以上抜粋)
****
まだまだ、これからという感じ。新しい論点として、
「鑑定人は、刑法134条の指定する該当者に相当しない。」
という弁護人の立場である。そういう手も確かに。
漏示そのものも、鑑定人の意図ではなく、「コピーはしない」「形を変えて出す」「事前に原稿をチェックする」という3つの約束を破られたことと、草薙氏に付き添ったカメラマンが隠しカメラをもっていることを知らなかっこと、コピーを取ったことを伏せられた上に、チェックの申し出がないまま出版されたことから、書籍「僕はパパを殺すことに決めた」が、間接的に供述調書の漏えいにつながったとしても、
「鑑定人の予期しえない・防げなかった漏えい」
であるという、2点に絞られてきたようです。
また、鑑定人を告訴したのは、そもそも少年や家族(父親)ではなく元検事総長が代理している点です。事前に積極的に接触していることから、
「当時者が告訴する意志のないもの」
であった可能性!があり、元検事・現職検事が「意思に反する強引な代理」ではなかったか、今後、証人喚問としての少年や父親の発言にも注目されます。
もし、こうした書籍による漏えいに本人家族が憤慨するということであるなら、出版社や編集員、草薙氏を訴えるべき性質の事件だからです。
講談社編集員・編集長とカメラマンなどの取材陣の言い分ということになりますが、鑑定人が、講談社と草薙氏を
「詐欺・窃盗罪」
で訴えるもう一つの道が保障されています。こちらは完璧に勝ち目があるはずなのですが、鑑定人は、そこへ至る道をどのように公判の証言の中で納得していくことでしょう。講談社のウソと草薙氏のウソ、検事のウソが公判でさらされる日は、まだ遠い。
******By ゆめみ
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