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このたび、厚労省が検討している医療事故調査委員会の設置について、2008年国会で審議が予定されている。
 
 厚労省の平静193月に出された第二次試案によると、この制度の最も注目すべきポイントは、ひとつは、これまで医師法21条に規定されていた「異状死の警察への届け出」が、「すべての診療関連死の事故調への届け出義務」に変わることである。
 
 これには、三つの大きな問題がある。ひとつは、どのような死亡を診療関連死とするかが曖昧であること、ひとつは、調査委員会での報告書が、裁判所での訴訟の審理に提出される(利用される)可能性を秘めていることである。そして、最後に、かなりの死亡例が届けられることになる可能性とその影響である。
 
 情報収集と司法解剖、審理などの処理は、これまでの医療関連訴訟の慢性的な長期審理期間と、鑑定人などの選定と手続きの停滞からみて、相当な困難な状況が生まれることが容易に予想される。
 最高裁の資料から、第二次試案の「すべての診療関連死の届け出」に、物理的な限界を見ることができる。以下はその根拠と論考である。
 かつて平成13年7月に、医療訴訟における審理と鑑定人選定の停滞を解決する目的で、最高裁判所の中に、医学界及び法曹界の有識者と,一般の有識者からなる「 医事関係訴訟委員会」が設置され、訴訟の充実・迅速化を図るとともに、鑑定人候補者を選定する作業が行われてきた。医療訴訟件数が年々増加するなかで、平均審理期間は平成5年で42.6ヶ月(約3年半)であったが、平成9年36.3ヶ月、平成1527.7ヶ月、平成1825.1ヶ月( 2)と、少しずつ改善されて来たとされている。(最高裁調査資料・各庁報告のまとめより。)
 
 しかし、その内容を検討すると、そうも言えない。年ごとの新受件数はそれぞれ、597件、1003件、913件でおよそ倍に増え、既済もそれに伴ってそれぞれ527件、1035件、1139件(新受件数の0.86倍、1.031.24倍)と追いかけているが、未済がそれぞれ1673件、2043件、1860件(新受件数の2.802.032.03倍)と依然として高く、未解決のまま引きずるものが多く残されていることがわかる。
 すなわち、全事件の審理期間が改善されつつあるが、全体の平均審理期間が相変わらず2年以上を要していることは変わりない。しかも、未済のまま2年以上審理を持ち越している長期審理が依然多く残されている。
 従って、このたびの厚労省の第二次試案で提示されている「すべての診療関連死の事故調への届け出義務」の条項は、上記の訴訟の未済の実態を見ても、事故調査委員会が早晩、処理能力に限界をきたすであろうことは、容易に推察される。
 

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