夢見る掃除人
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2007/10 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

************************
  
妖怪魔餓神 八脚攻め落とし その四:「表紙に刷り込まれた少年の殺人メモ」
  
************************
  
空飛ぶ探偵事務所から
 
これまで、憲法13条幸福追究権から演繹される「プライバシーの権利」と、憲法21条代1項の「表現の自由」のいずれが優先されるかという観点で、実にさまざまな少年犯罪報道の事例で議論されてきた。
こうした基本的人権の対立においては、「その濫用によって他の基本的人権を侵害しない」という憲法解釈がなされて久しい。マスメディアを擁護する立場は、そのたびに「国民の知る権利」という概念を持ち出して、あたかもプライバシーを無視してでも、 事実の報道を優先することで「国民に利益をもたらす」という錯誤に固執している。
とくに、マスメディアは扱う題材の注目度によって、出版部数、視聴率、宣伝収益を競うビジネス的側面が強いため、プライバシーを顧みず、無理な取材、行き過ぎたキャッチフレーズ、誇大報道に走りやすい傾向は、昨今ますます激しく、かつ巧妙になってきている。
このたびの鑑定医の秘密漏示嫌疑での逮捕後、講談社はその取材方法の姿勢への反省もなく、プライバシー侵害の自覚と反省もないまま、少年法の問題、非公開の是非に議論をすり替えようとしているのは明白である。一過性に激しく報道されては、その後の経過があいまいになっていき、次の目あたらしい話題へ流れていくのは、メディアの変わらぬ体質ともいうべきであるが、少年法の再考・改訂につながるようなメディア側の真摯な報道は見当たらない。
少年犯罪にかかわる精神医学的考察の学会報告、執筆は、それそのものは学問的、医学的範疇であるが、取材への対応や協力のあり方如何によっては、連座的にプライバシーの侵害、少年法違反に抵触することも考慮するとともに、遺族からの告訴、関係者からの告発も、常に視野に入れておかなくてはならない。すなわち、当初公表するつもりのない、簡単なメモ書き、事実整理のための覚書、面談の生の記録、実名入りの公的文書、などの保管と処分には最新の注意が必要になる。このたびの医師逮捕は、ジャーナリストと講談社の常軌を逸した「ありのままの事実?」の取材と公表は、こうした書類を不用意にスパイされた?ことによるものと推理される。少年の殺人メモを書籍の表紙に刷り込むという失態は、事実を公表して世に知らしめる以前のもので、その節度のなさを物語って余りあるだろう。
こうしたメディアの体質に鑑みて、医療機関における個人情報の危機管理が求められている。裁判所の供述書類のコピー、鑑定医による個人的持ち出しについては、かなり危険な要素があり、今日の病院カルテの保管形態同様、真剣に再考すべき時期に来ているだろう。
                                                                                                                                                       
。。。。。。。。。。つづく
*****************************
予告)
今日の少年法は昭和23年に規定された。少年犯罪の凶悪化、低年齢化によって、その見直しも議論されている。実名公表、厳罰化によってはたして、少年犯罪は減少するか。。。
*******************************

固定リンク | コメント (5) | トラックバック (0)

「メディアの反逆」 file A-19

夢見る掃除人 / 2007.10.24 01:57 / 推薦数 : 2
************************
妖怪魔餓神 八脚攻め落とし その三:「見かけはお辞儀 手に剣」
************************
空飛ぶ探偵事務所から
これまで、ジャーナリスト草薙厚子氏が奈良放火殺人事件を題材にした「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)を出版するに至る、少年の供述調書や鑑定書などの資料の入手をめぐるいくつかの不自然さと、疑念について述べてきた。
 
 出版後、遺族(父親)は、供述調書をそのまま引用・公開することはプライバシー侵害、名誉棄損に当たるとして告訴し、法務省人権擁護局からも人権侵害との勧告を受ける。これを受けて、奈良地検が強制捜査に踏み切り、結果的に鑑定医が秘密漏示嫌疑で逮捕されるという異例な事態に発展した。精神鑑定医の「良心に基づく医学的見地からの意見」が、ジャーナリストおよび講談社の意図的な策略で、ビジネス至上主義に利用されたとみるべきであろう。
 
 出版元である講談社は、医師逮捕の事態を受けて声明を発表した(「空飛ぶカルテ」医師逮捕・講談社声明file A-16参照)。マスメディアの「言論・表現の自由」と、少年法に定められた少年審判の「非公開の原則」という対立概念を持ち出して、取材の正当性と出版の社会的意義を主張している。声明では、当初取材に協力した少年の祖父、逮捕された鑑定医、捜査を受けた京大教授にたいして、「ご迷惑をおかけした」というコメントを添えることで、一見、出版の非を認め、社会に謝罪したかのように見えるが、よく文面を吟味すると、実は全くその逆で、少年審判の非公開原則を逸脱した違法行為と、父親および少年に対するプライバシー侵害については、明確な反省と謝罪は巧妙に避けている。
 
また、書籍の今後の出荷・重版については、事態の成り行きをうかがう形で保留はしているものの、自主回収・絶版の意向はまったく示していない。まさに、「見かけはお辞儀、手に剣」の反逆である。
 講談社は、自ら調査委員会を内部に設けて事実関係の調査・検討に入る旨を約束しているが、委員会の構成や調査内容公表の有無については明らかにしていない。
 今後、調査委員会がいかなる調査結果を導き、講談社がいかなる明確な声明を世に公表するか、マスメディア「講談社」としての良識が問われている。
   
。。。。つづく
***************************
 (予告篇)
  このたびの精神鑑定医に掛けられた秘密漏示の嫌疑に関して、、今後、マスメディアの取材への対応のみならず、医学的、学問的見地からの意見の公表や症例報告、ネット上での意見などに、少なからず影響が及ぶことは必至である。医療における秘密保持とは何か。守るべきものは何か。さまざまな医療訴訟において垣間見るプライバシー権、名誉権の行方について、メスを入れる。
 牢獄に幽閉された鑑定医の行方やいかに。。。
 
 **************************
 

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)