夢見る掃除人 / 2007.08.13 20:32 / 推薦数 : 6
戦争当時は負けが明らかになった時点で、捕らわれるより自決する、いわゆる玉砕なるものが、誇り高き軍人の「最後の抵抗」であり、「一矢の報い」であった。今日、病院が赤字に転落し、もはや如何なる努力も傷を深めるだけの状況に追い込まれ、どんな提案も要求も受け入れられなくなった医師たちの最後の選択は、「集団で引き揚げる(自決する)」ことである。どこぞの評論家がいうような「サボタージュ?」というノンキな(能天気な)言い回しでは物足りない。要求が受け入れられなかったから?経営方針が合わなかったから?経営母体がコロコロ変わるから?。。。そのようなことを医師という特権で催促したり口出しできたのは、病院が安定して成長し、かつ医局が元気だったここ戦後50年間の、いわゆる「昔話」である。
たとえ戦地に大砲(大型特殊医療機器)が残されていても、一人や二人では動かせない。主力戦闘員も援護射撃要員もいなくなれば大砲はタダの鉄くずに化してしまう。集団自決に遅れて取り残された、行くあてのない踏ん切りのつかない医師は、売上げ至上主義の経営サイドによる、さらなる過重労働による締め付けと使い捨ての刑が待っている。
引き揚げたはいいが、行くあても定かでないこともある。集団は分散しそれぞれの道を模索することになる。かつてはこうした集団自決は医局の崩壊(新任教授の就任)という狭い領域での「小さな悲劇」だった。教授は下の医師が積み上げた実績を手に、それなりの新しい民間病院の地位を得て去っていく。ツブシのきかない医師たちは、再利用価値が低く見積もられ、誰かの後をついて行くしか当面の生きるあてがない。。。なけなしの財布を叩いて転勤しても、実は状況はほとんど変わらないか、もっと悲惨な状況を目の当たりにすることになる。
もうやめた!かくなる上は、個人経営(開業)だ!。。。しかし、あちこちでクリニックが立ち上がっては、業者やブローカーに騙されて潰れてしまうか、売り上げが負債に追いつかず自滅する事例は後を絶たない。競争が激化し共食い状態なのだ。ブローカーはそんなことシッタコッチャナイ。言葉巧みに騙して売り逃げればいいのだ。ご用心あれ!
さて、どこぞでまた大きな花火が上がったらい。。。。破産病院の再生である。縁故知人・同窓に頼った、なりふり構わぬワッショイで医師団が急遽結成され、臨時補完要員が無作為にかき集められるが、勝算は厳しいだろう。売れ筋の医師をアドバルーンで上げて興行マガイの再生祭りをしても、収支は果たしてうまくいくのだろうか。経営形態は何ら変わることなく、それで既に破産しているのだから。。。私はこのギャンブルの券は買わない。
いまや日本全土の空に、医療報酬の引き下げがナパーム焼夷弾のようにくまなく降り注ぎ、一つまた一つと火の手が上がりつつある。破産と整理による医療費総量抑制のプログラムが着実に進行しているのだ。資本主義でありながら夢のような社会主義的福祉医療と統制医療の日本にあっては、総量規制や病院の整理、破産誘導は難しくはないだろう。
われわれ医師は何を考え、どう行動するべきか。癌難民、医療難民はもとより、医師難民ともいうべき、行くあてのない医療の砂漠化が進んでいる。
医師は、敗戦の焼け野原を「はだしのゲン」のように彷徨い、かろうじて見つけた職で日当いくらの計算でこき使われる。。。「こんなことでいいのか。」がんばれ。未来の(卵の)医師たちよ。
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