夢見る掃除人 / 2007.07.12 15:32 / 推薦数 : 2
がん患者からの提供腎は、レシピエントに新たな病気を移植する危険性があり、現在では除外項目になっています。また、肝炎ウイルスやエイズウイルスなども除外項目になっている。ただし、生体腎移植においては、レシピエントが、肝炎ウイルスのキャリアーであっても、強い希望に応じて移植していた時代があります。移植後に肝炎の発症があってもインターフェロンなどの治療でのりきる覚悟というわけです。しかし、免疫抑制下での肝炎治療の成績は決して良いものではないのは周知のことであります。
このたびのB型肝炎ウイルス抗原陽性のドナーからの腎移植で、移植後に劇症肝炎を併発した可能性が十分疑われます。争点は、「B型肝炎ウイルス陽性腎と術後肝炎の可能性についての事前説明が十分なされていたか、選択の機会を与えられていたか」に尽きることでしょう。この説明が事前になされていて承諾が得られていればかろうじて刑事責任は免れることができるでしょう。移植学会は肝炎ウイルス陽性のドナーからの移植は禁止していますが、これはあくまでも学会の自己規制であり、医師法や健康保険制度の上に立つものではありません。したがって、通常の保険診療として認められないとか、保険医取り消しということには単純にはならないでしょう。刑事事件として有罪になれば別でしょうが。がん患者からの摘出順についても同様です。
こうした学会の自己規制と、個人の哲学と対立する領域は、一医師が一人歩きしてもうまくいかないと思います。良識あるマスコミは性悪説で取り囲むことでしょう。
透析という治療手段が確立している現代、「移植しなければ命にかかわる」緊急の腎移植はありえないし、ウイルス陽性腎を敢えて移植しなければならない相当な理由は見つからないでしょう。。。超急性拒絶反応で腎が廃絶し摘出したあと、日数を経ずに再度腎移植しなければならない根拠も説得力に乏しいと言わざるを得ない。
さしあたりの決着として、手続き上に甘さがあったという反省と謝罪、コモンセンスの確立を得るまで病気腎移植をしないことを明言した医師の決断を尊重したいが、「モルモットにされた」という家族の悔いを残たという点と、記録が残されていない点で、弁護は苦しいものになることは間違いないところです。
かつてこんなことがありました。。。。腎レシピエントがC型肝炎ウイルスキャリアーで、その夫もまたC型肝炎ウイルスキャリアー。提供しても肝炎が怖い。。でも、どうしても、生体腎を妻に提供したい。。。移植後にやはりC型肝炎の増悪を来し肝不全へと進行した。小さな傷から皮膚膿瘍、敗血症を併発。血漿交換、抗生剤、吸着療法あらゆる手を尽くしても駄目だった。
「気分のいい時に車いすで中庭に出てみましょうか」よく晴れた夏の昼下がり。。。。「ああ、東京の空は、こんなにも青く、まぶしかったのね。。。でも、いつもより体がだるいわ。こんなにいい日なのに。。。」と彼女は細い体からやっと声をしぼり出すようにつぶやいた。それが長い入院生活で初めで最後の、主治医とナースとの三人の日向ぼっこでした。夫もしばらくして、後を追うように、慢性肝炎の増悪でしばらくして他界した。肝炎ウイルス恐るべし。涙が止まらなかった。
固定リンク
|
コメント (0)
|
トラックバック (0)