夢見る掃除人 / 2007.07.09 12:58 / 推薦数 : 5
昨今、多くの病院が赤字経営に転落し、医療界に構造改革の波が押し寄せつつある。否、もう既に進行している。バブル崩壊の波に無縁かと思われた医療界は、その構造的な欠陥を修正し未来に命を託すタイミングを見失ったかのようです。
慢性的な収入減、赤字、借りいれの増大、賃金抑制、人員削減、サービスの低下、無理な設備投資、という崩壊スパイラルに入り込むと、よい方策が見えないのはどの産業も同じのようです。 こうした事態を深刻に考えねばならない立場にいる人は、誰でしょう。
現場のスタッフは、「何を発言しても蚊帳の外」に安住し続けることができるでしょうか。医療は他の業種と比較してそれほど特異な業種とは私は思わない。サービス業のようでもあり、公共事業のようでもあり、ベンチャー企業のようでもあり、ケアという無形の製品を提供する製造業のようでもある。昨今、単純な売上至上主義ではサバイバルできないのは明らかとなりつつある。問題のひとつには、あまりにも人件費の占める割合が多いという点であり、多大な設備投資と材料費がかかるという点である。それらが、収支の安定に直結していないのです。もちろん、有効なサービスに直結しているとは言い難い。赤字を解消するためにには、「より多く診る」(売り上げる)ねばならないと誰しも錯覚しがちです。
しかしこれには落とし穴があります。人員を必要とするサービス業は、ピラミッドの石運びに似ている。一日に運ぶ石をいつもより余分に運ぼうとすると、倍の人数が必要になるような構造をもっています。一台のトラックが90%の積載で往復してなんとかサバイバル可能なわずかの利益を得ているとして、110%の荷を運ぶためにもう一台トラックを調達するとどうなるでしょう。逆に赤字になるのです。では、2台のトラックがそれぞれ90%の積載なら、利潤が2倍になるでしょうか。必要スペースの増大と安全管理などの付随する経費でおそらく利潤は変わらないか、逆に赤字に転落するでしょう。「患者様は増えているのに赤字が拡大し続ける」理由はこういうことなのです。
高度成長期は逆でした。人件費が累進的に段階的に増加しても、売上は超等比級数的に飛躍的に伸び、新たな段階的な設備投資は新しい利潤を容易に生み続けた時代でした。消費の限りない拡大こそが幸福をもたらすという「信仰」をだれしもが信じて生きていた、つい最近までの「古き良き」時代です。しかしいまやその信仰が根底から崩れつつあります。こうしたドンズマリに一体どんな解決策があるでしょう。
「労働を効率化する」ことです。仕事の内容を根本から見直すことです。すなわち、人員や設備を最大限に有効に生かす工夫が必要です。同じ作業手順では効率は改善しない。効率化されていない同じ仕事内容や手順のままで、人員を増やしても効果的ではありません。人員を削減するともっと深刻になります。作業を効率化することで、適正な「利潤の生まれる」人員配置と設備投資が自ずと見えてくるはずです。効率化という観点から、すべてを見直すと、現代医療はエジプトピラミッドの石運びような非効率的な作業と不合理に満ちてはいませんか。
いつもの患者様が、いつもの降圧剤がなくなったので、予約なしで来てしまいました。いつもの外来担当医がいないので、他の先生が対応した。初めてお互い顔を合わせたので、患者様は間違いがあってはならないと思い、これまでの先生とのやり取りを長々と話し始めた。先生は患者様へのサービスを第一に考え、詳しく問診を取り直し、詳細なインフォームドコンセントを取った上で、新しい降圧剤に変更した。帰るころには昼過ぎになっていて、薬の受付は大変混んでいて、薬をもらうのに1時間もかかった。患者様はまだ薬の残りがあることをふと思い出したので、そのことを受付に申し出たが、「先生に連絡を取ってどうするか確認しましょう」ということになり、待っていたら、看護婦が代わりにきて「先生はもう手術室に入ってしまったので、とりあえず残りの薬をのんでいてくださいとのことです。後日もとの先生に良く話を聞きましょうね。」帰る頃には2時をすでに回っていた。。。。
さて、はじめから残薬を確認すれば、1分で患者様は安心して帰れたでしょうね。こういう無駄が繰り返されるなら、医師が他に3人いても、看護師が余分に3人、いてもいなくても病院は潰れるでしょう。こうした無駄を誰がコントロールしているでしょう。誰もしていません。患者様は真剣、先生も誠意をつくし、受付も間違っていない。看護師もきちんとしている。。。。いつもの診療風景です。でも明らかに全てが間違っているのです。かけるボタンがずれているのです。
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