産科でどうも元気が無い患者さんがいるとして、当日の回診の当番の医師に産科のナースが上申したのに、その医師はよく診なかったのだそうです。私が、同じ理由で相談を受けて様子を見に行くと、なるほど元気が無い。血液検査を行うとアンモニアがアミチェックでスケールオーバーでした。検査室で代謝スクリーニングを行うと、メチルマロン酸血症が考えられました。とりあえず、自分の血液を400ml採血し、交差試験を行い、交換輸血を行いました。検体を国立下志津病院に依頼し、ビタミンB12を注射しました。アンモニアの上昇はなく、ビタミンB12依存性であることがわかりました。注射を続けて、血液の酸塩基平衡も正常に保たれるようになりました。お母さんがナースであることも、幸いして注射が自宅でも可能であること、注射を内服に変更しても良さそうなので、錠剤をつぶして乳糖を加えて1日、体重1kgあたり1mgを投与しました。保険の審査で問題になり、成人で1日に6錠が上限なのに幼い子どもに大量投与するとは何事かと、返戻になりました。日本でも稀な症例なので例外的に認めて欲しいことを書いて再審に出しました。すると、審査の先生から電話がかかってきて、病院も健保組合も患者も泣くということで、12錠ではどうかと言われるので、この患者さんには、もっと少ない量でも結果的にはよいのかもしれませんが、それは先ず必要と言われている量を投与して、漸減したい。命を救うためには必要量を認めて欲しいと話してOKになりました。ところが、保険組合から意義申し立てがあり再審になったのです。そこで、保険組合に直接交渉をしました。あなたの組合は、組合員の命を保証しないのかと訴えて、説明をしました。すると認めるという返事が来ましたので相手の名前を聞き、以後はレセプトのその人の名前を書き、保険組合了承と書いて明細書を出してもらいました。審査は通るようになったのですが、暫くして、以後は必ず認めるから自分の名前を書くのはよして欲しいといわれて、通常の請求でOKになったのです。もう、そのお子さんは成人です。貧血をきたすこともなく、具合の悪いときに母親がB12を注射していました。中学生になって痙攣をおこすようになり、目下は抗痙攣剤画使われています。まだ、責任酵素の決定は行われていません。治療にはそれほどの難渋はしませんでしたが、治療法を認めてもらうのに一寸苦労しました。内服の大量投与はいらなくなりました。
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