2007.06.25 03:00 |  診療  |  研究  |  その他(一般)  |  波良張  | 推薦数 : 5

剖検の大事さを学んだ

医師になって、少し経験すれば忘れられない患者さんは誰にでも、あるものでしょう。私にもあります。乳児でしたが、二階で寝ていたそうです。お母さんは傍のベランダで洗濯物を干していて、何となく気になって振り返ってみると赤ちゃんがうつ伏せになって少量のミルクを吐いていたので、抱いてみると呼吸が止まっていたとのことで、救急車で見えました。蘇生を試みましたが蘇生はできませんでした。警察に連絡をとり、警官はやってきて、ミルクを吐いていたので、嘔吐による誤飲で、事件性はないと言われます。では、病理解剖を行っても良いかと尋ねると構わないというので、お母さんに頼みました。お母さんは、断られましたが、普通の赤ちゃんは嘔吐をしたくらいでは急死はしないこと、原因が分からないのであれば口惜しいだろう、調べようと説得を重ねて許可が出ました。病理解剖を行ってみると肺に梗塞がありました。詰まったのは腫瘍細胞で、血液を染めてみると白血病化したリンパ肉腫でした。触診では肝臓、脾臓の肥大もありませんでした。若し、解剖しなければ、SIDSなどで診断書を書いたかもしれません。病気とも気がつかずに急死で診断がついたのです。ロタウイルスによる下痢と嘔吐で脱水を来たし、重症になった患者さんが入院してきました。既に、腎不全を起こしていました。溶血性貧血、破砕赤血球もあり、溶血性尿毒症性症候群と考えて、腹膜透析を行いましたが、救うことができませんでした。解剖をさせていただくと腎動脈血栓症でした。剖検の重要性を教えていただいた患者さんでした。患者さんが亡くなられると必ず剖検の交渉をしていました。承諾をいただける率が経年的に下がってきました。剖検をしていただける先生を24時間得ることは難しいので、保健所に届けを出して、自分で行い、翌日病理の先生に診ていただくことを行っていました。必ず、組織所見も自分にも見せていただくようにしていました。

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