開院して初期に、岡山大学細菌学金政先生の新生児の院内感染の研究班に入れていただきました。吸引ポンプを研究費で購入して、施設の水道水や色々の水の中の細菌数と菌種を調査しました。水道水は非常にきれいであることがわかりました。水をミリポアフィルターでろ過して、それを培養する方法です。職員の手の付着菌を調査しました。滅菌手袋に滅菌食塩水を20cc入れて、手を入れて握る、広げるを繰り返して、食塩水中の菌数と菌種をみました。医師よりも看護婦の方が手の付着菌は少なく、看護婦は新生児室勤務の看護婦が一番きれいでした。一行為一手洗いを励行していたからです。医師も新生児室を出てきたときが一番菌数が少なく、外来では手を洗っているようでも付着菌はおおいのです。ホギーという会社に空気中の浮遊粒子の大きさと数をカウントできる機械がありますが、それを借りて行ってみると、朝のラッシュの外来の待合室よりも、ラッシュ時の手術場の方が菌数は多いのには驚きました。緑膿菌の群別の抗血清を購入して、新生児の菌を調べてみました。剖検時に臍帯と咽頭から緑膿菌が得られても、群が違っていて感染経路は一つではないこともわかりました。保育器の加湿用の水槽で緑膿菌がでたので、薬局にお願いして滅菌蒸留水を作ってもらっていました。ところが、あるときから、前にもまして菌が陽性になり、調べてみたら薬局の滅菌蒸留水が汚染されていることがわかりました。よく消毒して、水道水に戻したら、菌は陰性になりました。加湿が不要な場合には、水を用いないことにしました。寒天培地を用いたのでは、落下菌は余り、環境の汚染状態を示さないこともわかりました。3年間続きましたが、面白いリサーチができました。結局、手は流水でよくあらうことが、消毒薬を入れた洗面器で洗うよりも効果がよいことがわかりましたし、人工呼吸器の回路をなるべくこまめに消毒した(ガス滅菌)ものと交換して使うことが大事なのがわかりました。水道も湯がでる蛇口は流さないと蛇口に緑膿菌が増えることもわかりました。このときに、論文を沢山読んだことが、勉強になりました。新生児が入院するとルチンに抗菌薬を使う人がありましたが、それは、かえってよくないことから、感染の可能性がなければ使わないことや、培養をこまめに行うことを行うようになりました。
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