これも5年目のときの話です。教授の診察を受けた患者が、医療費を支払う段階になったら持っておるお金が足りなくなったので、何とかして欲しいと会計係から電話があったので行ってみると、妙齢の和服姿の婦人が立っていて、処方箋を書き直して欲しいと言われるので、小児科に戻っていただいて、カルテを見ると、溶連菌感染症で、当時発売になったばかりの、セフェム系の最初の薬剤が2週間分出ていました。そこで、その方に溶連菌ならばペニシリンの方が有効性が高いし、薬価も低いので、ペニシリンに替えてよいかと話すとよいと言われるのでその様にしました。このときに、溶連菌感染症については説明をしました。勿論、教授の了解を得るべく連絡したら、教授は出かけられた後でした。そして、その方が会計をする段になったら、今度は随分安価なのに驚かれて、またもや呼び出されて、『私に金がないからと馬鹿にしたでしょう。家に帰れば金はあります。』と泣きながら、将に柳眉を吊り上げての怒りです。薬の効果は金額でないこと、溶連菌にはペニシリンで何の不都合もないことを、はなしても、信用しては貰えませんでした。結局、セフェム系をお金のあるだけの日数にして後日、再診をしてもらうことにしましたが、若い医者は若いと言うだけで信用されないのだと思いました。
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