私が、初めて日本小児科学会で報告をしたのは、名古屋市立医科大学の小川次郎先生が会長の医学界総会のときでした。新生児の発表を特別に集められたので、私が経験した症例を出すことになりました。副腎出血〔右〕の剖検例でした。つい最近、自分の名前で検索をしたら、新生児学会雑誌の3巻1号に掲載されているのが出てきて驚きました。大学で当直をしているときに、夜、産院から呼吸困難として送られてきた患者で、間もなく死亡となりました。黄疸はさほど強くなかったのですが、落陽現象があり、貧血もあり、核黄疸、腹腔内出血を考えましたが、右副腎出血でした。患者もそうでしたが、骨盤位分娩に多く、左の副腎静脈は腎静脈に流入するが、右は直接下大静脈に流入するので、骨盤位で大静脈に圧がかかると、右に出血を来たしやすいことが文献からわかりました。急性副腎機能不全になるので、あたかも肺炎のような病状を呈することから、Pseudneumoniaと呼ばれることなどもわかりました。医局の症例検討では、核黄疸はまぐれ当たりと言われましたが、落陽現象があったので、必ずしもまぐれではないと言い張り、あとで、教授が他の会では、私がうまく診断をしたと話されていました。病理の担当の先生がなかなかまとめてくれなくて、解剖学的に右と左の静脈系の違いや、副腎の中心静脈というと、中心静脈は肝臓にしかない、と言い張られるので解剖の教科書を持っていって納得して貰ったりしました。それを学会で発表しました。

関西医大の松村教授が座長でしたが、高名な新生児専門の先生方に私の症例についても質問され、私は何も追加発言の機会も得ませんでした。初めての日本小児科学会は症例報告でした。入局2年目でした。

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

教授から貰った課題は、ポリオの生ワクチンと不活化ワクチンでは抗体産生の部位が異なる、それを蛍光抗体法を使って証明せよでした。ナマワクチンを呑んだ人の便から、抗体がとれるようになる。だから生ワクチンでは腸管に免疫が出来るが、不活化ワクチンではできない。当時はコプロアンティボディと読んでいたと思います。鶏のニューキャッスル病では、それが実験的に証明されていました。教授は動物実験を考えて居られたようですが、ポリオに感受性があるのはサルです。サルを実験に使えるレベルではありません。自分では、何をして好いかが本当にわかりませんでした。教授に、出来そうにないと話すと、男は何度も失敗してから泣き言を言えと言われるし、ウイルスについて本を読むのですが、既に,生ワクチンのお陰で、患者は見なくなっていましたし、臨床とはつながりが全然ありません。ウイルスの実験には、細胞培養、培地をつくる、など何も実験をしなくても、仕事はあります。体は動いてもいても、何の成果も、計画もたちません。面白くない毎日が続いていたように思います。41年の春だったと思いますが、福岡で伝染病学会があり、東大の医科学研究所から蛍光抗体法についての演題が出ていて、方法を学ぶには医科学研究所に行くべきだと思いました。先輩と相談して、秋から行くことが決まりました。

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

波良張
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2006/09 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック