僕自身は「医のなかの蛙」である。が、医師の中にもすごい人はたくさんいる。最近でも、太田秀樹先生・早川一光先生・鎌田實先生・桜井隆先生始め、感銘を受けた講演も多い。テレビで話題になった小澤先生もお話を聞いてみたい。色平先生にもお会いしたい。高柳和江先生の笑い声は、一度はみなさんにも聞かせたい絶品である。
それでも、蛙でも脳はあるので、蛙なりに考えることがある。
いつも考えるのは「言葉」である。
例えば、「ありがとうございます」。いい言葉であるが、今の日本ではそれだけのことが多い。続く言葉はまず聞かない。英語だとどうなるか。「Thank you」だけで終わる事はまず無い。「Thank you for your help」「You are welcome」と続くのが普通である。「助かりました。ありがとうございます」って言う方が、ずっと心がこもっていると思う。僕は、「My pleasure」で返すことにしている。 「(いえいえ、気にしないでください。僕自身が自分の気持ちで)喜んでしたことですから。」日本では見合う言葉がないので「どういたしまして」となってしまうが。これは子供たちに対しても同様で、我が家では絶対の決まり事である。
スーパーのレジ。「いらっしゃいませ」には、「こんにちは」で返している。
「相手のことを思う気持ち」を表す 日本語は何だろうか。看護師の教科書だと「共感する、共有する」というのだろうか。英語では、たぶん「compassion」である。「sympathy」ではない。
ケアリング・クラウン研修会で高田佳子さんに質問された。「パッチ・アダムスの講演では『思いやり』と訳されていますし、ダライラマでは『慈悲』と訳されています。「おとうさん」はどう訳しますか?」それまでは、僕は「思いやり、共感」くらいに考えていた。高田さんなりの訳はあるのだろうが、質問されて一週間考えた。
メールで送った返事は「『寄り添うこと』。補足として、『時間的空間的に隣にいて、同じ方向を見ていること』。今の僕は、『見ようと努力する』止まりなんだけれど、パッチやダライラマは確実に見えていると思います。」
ショビ・ドビの質問コーナーで「surrender」という言葉が出た。人は誰も、死ぬことは決まっている。では、死ぬことをどう考えるか?そのときの答えが「give up 」ではなく「surrender」であった。「降伏する」というのが一般的だが、たぶん「ありのままに受け入れる」という感覚だろう。
在宅での看取りが話題になっているが、この二つの言葉、「compassion」と「surrender」がこれから僕のキーワードになると思っている。
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