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2010.05.11 06:08 |  診療  |  研究  |  その他(医療関連)  |  援腎会  | 推薦数 : 1

尿糖について

援腎会すずきクリニックは泌尿器科ですので、診察前に尿検査を行います。
たくさんの方に検尿を行うと、時々尿糖が陽性(+)の患者さんがいます。

尿糖は、血糖値が160から170mg/dl以上になると、陽性となると言われています。
尿糖が陽性である患者さんの多くが糖尿科や内科で糖尿病の治療を受けていますが、時々、これまで血糖が高いと言われた事がない患者さんもいます。

健診を受けて、絶食で採血しても、血糖が高くないか、もしくは若干高い程度の方です。
(もちろん血糖値が正常でも尿に糖が出てしまう腎性糖尿の方もいらっしゃることは付け加えておきます。)

実は、そのような方を詳しく調べてみると、糖尿病でも正常でも無い耐糖能障害(Impaired Glucose Tolerance; IGT)と言う範疇に入る方がいて、空腹時血糖は正常でも、食後に高血糖となり尿糖が出てしまっているのです。
しかも、この食後高血糖が危険であると言うことが最近分かってきました。

このことは、10年ほど前に発表された舟形スタディという研究で報告されています。

舟形スタディは山形県舟形町の40歳以上の住民に糖負荷試験を行うことで糖尿病の有病率調査を行い、6年後にその住民の死亡率を調べた研究です。

この研究の結果では、死因を心血管疾患に限った場合にとても興味深い結果が出ました。

その当時のアメリカの糖尿病協会では、糖尿病の診断を空腹時血糖のみで行うこととして、そのために空腹時高血糖( IFG:Impaired Fasting Glucose )という用語を作り、糖尿病の診断を行っていました。

これは、正常空腹時血糖(NFG)と空腹時血糖異常(IFG)、糖尿病(DM)で生存率を比較した結果です。
糖尿病と診断された方は、心血管疾患の死亡率が高いという結果でしたが、空腹時の血糖だけを見ると、空腹時血糖正常とでは差が出ませんでした。

次に、糖負荷試験の2時間値を基に、正常耐糖能(NFG)、耐糖能障害( IGT)、糖尿病(DM)で比較した結果がこちらになります。
正常耐糖能に比べ、糖尿病では心血管疾患による死亡率が3倍高いことが分かりましたが、耐糖能障害( IGT)でも正常に比べ2倍高いと言うことが分かりました。
7年後には糖尿病と差が無くなってきていますね。
検診を受けた時点では正常でも、その後糖尿病になっていく人も多く、差が無くなっていくのでしょうね。

つまり、空腹時血糖が正常だと言うことは、それ自体だけではリスクを知ることができず、糖負荷試験を行い耐糖能障害の有無を知ることで心血管疾患のリスクが分かると言うことです。

耐糖能試験は、耐糖能を知る検査ですので、はっきりとした糖尿病では行いません。
それ以前の段階で行う検査となります。
だから、検診で血糖が高いと言われていない方で、泌尿器科を受診して食後に尿糖が出るような方では耐糖能試験を行った方がいいということが言えます。

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