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2011.03.26 15:12 |  生活 / くらし  |  紅のパグ  | 推薦数 : 1

染井吉野ではないのであろうが、そこかしこで桜の花を見る。

まだまだ寒い日もあるが、桜は確実に春を受け止めている。

 

先日、朝エレベーターに1人の女の子が乗ってきた。

髪の毛を軽くまとめ、ブレザーを着ていた。

一見高校の制服にも見えたが、高校生にしては幼さなすぎる。

そして、その数階下でエレベーターが停まると、

何となく同じような雰囲気を醸し出した子がまた1人乗ってきた。

2人は顔見知りのようで話を始め、その日小学校の卒業式だと分かった。

 

小学校を卒業、一歩大人への前進。

少しお姉さんらしい服装と、ちょっとおしゃれな髪型。

これから先あるいくつかの晴れ舞台の、最初のデビューかもしれない。

そこで一つ疑問が。

女の子は多少のおしゃれをするとして、男の子は?

男の子もブレザー?

まさか背広はなかろうし。

 

自分たちの卒業式の時はどうだっただろうか?

思い出してみると、男も女の子もこれから進学する中学の制服を着ていたような気がする。

始めて制服を着て人前に立ち、

何となく、晴れがましいような、誇らしいような、照れくさかったような想いが

記憶の底に残っている。

 

そんなことを考えながら歩いていると、

少々大きすぎる中学の制服を着た少年が1人、

小学校方面へ歩いて行くのをみかけた。

まあ、男の子なんてこんなものだろう。

 

時には身震いをすることがあろうと、

悠久の時は静かに流れ、そしてまた新しい春を迎える。

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2011.03.13 12:35 |  生活 / くらし  |  紅のパグ  | 推薦数 : 0

自然

「・・・地震みたいですね」

診察中につぶやいたときに、まさかこうなるとは想像だにしていなかった。

 

レーザー達が勝手に走り回り、可動式のカルテ棚が大きく揺れ一部にゆがみができたが

実質的な被害は、数カ所の壁のヒビと、天井パネルのわずかな損傷で済んだ。

 

実のところ、揺れが治まったあとそのまま診療を続ける気であったくらいだった。

ビルの管理事務所が、館内のお客さんの退去を指示したあと

全店舗営業中止し従業員もすべて退出するように決めたときには

正直言って少し過剰反応ではないかと思っていた。

 

その後のことはいうまでもないだろう。

刻々と伝わってくる映像は、どこか別世界のもののようだった。

自然の力の驚異というより、むしろ人間の無力さ、矮小さを

あざ笑われたような感じさえ覚えた。

 

自然の摂理の中でもっとも根源に近い、原子力の利用も、

あれだけ胸を張り、安全だと言い続けていたが

その自然の力の中でまったく安全ではないことを露呈した。

 

ただ、この悲惨な状況の中で、人間が 、人々が

自然生物としての生命力のたくましさを見せつけてくれていることが

唯一の救いだろうか。

 

荒涼とした津波の跡地に、芽吹くかのようにまた新しい街ができる

その日は決して遠くないと思う。

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2011.03.03 19:10 |  仕事 / 職場  |  その他(一般)  |  紅のパグ  | 推薦数 : 0

試験官

この時期、ここ数ヶ月見かけなかった顔を再び見ることが多い。

試験期間中通院どころではなかった、受験生たちだ。

 

「どうだった?」と声をかけると、当たり前だがその返事は悲喜こもごも。

「過ぎてしまえば浪人生活も楽しかったよ」といってあげることもできるが、

今からそんな言葉をかけても何の慰めにもならない。

「そうか、残念だったね」という以外に気の利いた言葉が思い浮かばない。

 

学生時代、OBの先生が落ち込んでぼやいていたことがある。

「・・・たまにうちの科の試験監督にいくんだけど、

 俺カンニングってしたことがなくって、どうやるのか知らないので、

 学生がカンニングしているかどうかまったく判らない」

まじめな先輩だったので、試験監督=カンニングの摘発

=見つけることができないことは試験監督として相応しくないと思っていたのだろう。

 

わずかな大学勤務の間に試験監督をしたことがある。

もちろん上の先生がいて、その他大勢の1人であったが。

卒業して間もないと顔見知りの後輩もいて不平等になる可能性もあるので

試験監督は、学年的に離れたものが担当することが多い。

ただ、私は入局した医局が母校の医局ではないので、学生さんたちの中に知人などもいず、

情状が入り込むこともないので頼まれたのだったような気がする。

いやはや、試験というものは受ける立場と監督する立場とではこうも違うものか。

「うちの科の試験くらいでそんなに力入れなくても」と思うのも

逆の立場からすると「とんでもない」、となるのであろう。

 

なるべくプレッシャーをかけないように、たまに答案用紙を覗くと

それに気づいた学生さんが、段ボールの中の子犬のような眼差しで見上げてくる。

ヒントが欲しいのか、どこか間違いがあるのか不安になったのか。

声を出すこともできないので、ただ微かにニヤリとしてあげると

少しホッとした様子で試験用紙に戻る。

 

学生時代、似たようなことがあった。

試験の最中に、1人の監督官が私のそばに立って動こうとしなかった。

気になって彼の方を見ると、私の答案用紙の一点を凝視している。

その視線を追って答案用紙を見ると、誰の目から見ても明らかなケアレスミスが。

ハッとしてその試験官の方を見ると、今度はあらぬ方向を見ている。

答えを書き直して視線をあげると、その試験官と目が合い

気のせいだか、その目の奥が一瞬笑ったように見えた。

 

ただ、中には明らかに怪しい動きをするものもいる。

その場合、気づかれないようにそっと近づき現場を押さえる、のではない。

現行犯で摘発してしまうとその場で留年が決まってしまい、

新たなる医者の誕生を1年遅らせることになる。

そこでカンニングを未然に防ぐということが一番大事な使命となる。

わざと動きが判るように敵の近所まで近づき、

ターゲットは違う方向を見ながら背中で圧力をかける。

お互いに視線があったわけでもないのに、これだけで

「・・判ってるぞ」

「気付かれた!!」

という会話が成り立つ。

 

まあ、もちろん試験中に携帯なんぞいじっているやつがいたら

即刻没収、くらいのことはしていただろうが・・・

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