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高額療養費

ドクター・ミー / 2006.05.08 22:20 / 推薦数 : 5

高額療養費、というものがあります。

一ヶ月の医療費が一定の額を超えると払い戻しが受けられる制度(詳しくは→社会保険庁のページへ)。

関節リウマチなどに生物学的製剤(かなりの確率で高価)を使用することが一般的になってきた昨今では、われわれ膠原病内科医もある程度は理解していないと患者さんに説明できません。 

しかし一ヶ月の医療費がおよそ7万円を超えてこないと関係ない話かと思っておりましたら、そんなことはないと本日知りまして驚きました。 

さて、医療保険と言いますと、国民健康保険だけではなく健康保険組合や共済組合の保険があります。つまりは家計の主な所得を担っている方の加入している保険です。

なんとこの健康保険組合の保険というのが曲者なのでございます!

組合により、自己負担限度額が国保より断然お安いのです!(例:国保は70歳未満で標準的な所得の場合月額72,300円:平成18年4月現在)(国保と同額の組合もこれまた多いようです)

某大手自動車メーカーでは月額1万2千円

某製薬会社では月額2万円

某大手総合商社では月額4万円

(※いずれも平成18年4月現在) 

ちょっとちょっと、あの自動車メーカーに就職したいよ、おい、みたいな。産業医として雇ってくれんかな?(←資格もってないだろ)

 

かなり驚愕です。日本て国民皆保険とは言え、ここまで格差があるんですか!みたいな。

(アメリカなんかではもっと差があるのか?) 

というわけで皆さま、ご自分の加入している保険の自己負担限度額は知っていたほうがよろしいようですよ(組合へお問い合わせを)。

なにしろ現在は病院の領収書などを添えた自己申告がないと払い戻しを受けられません。つまり知らなきゃ還ってこない

(さすがにそれはあんまりだろうということで、この先は自己申告なしでも戻ってくるように改正はされる方向だそうですが時期は不透明。)

 

年金だけでなく医療保険までもが加入保険により差があるということは今日の今日まで知りませんでした。

まさか私が世間知らずなだけじゃありませんよね?(^^;)

あ、でもここのところの年金や保険の一元化を言い張ってる政策の説明でご存知の方も多いのかな?

 

どこからこういう話になったかというと・・・(以下ごちゃごちゃ書いてますので興味ない方は少しスクロールでとばしてください)。

大学病院のようなDPCが導入されている病院では、インフリキシマブとエタネルセプトを比較した場合、インフリキシマブで2泊3日入院させるのが患者さんの負担も少なくて病院の収益にもなってハッピーだよと、インフリキシマブの日本での販売元(つったらあそこしかありませんけど/笑)のMRさんが説明に来まして。今春の診療報酬改正で外来日帰り投与にも加算金がつくようにはなったんですけどね。

つまり最初の3ヶ月の負担金が限度額の月額72,300円。4ヶ月目以降は月額40,200円。これがインフリキシマブだと投与8週目以降は8週間毎の投与。エタネルセプトは標準的投与量の場合、毎月およそ43,000円ほどかかりますが、月額が72,300円を超えないので4ヶ月目以降も同金額がかかり続けます。 

でも実は自己負担限度額が4万円以下の保険に加入されてる方であれば入院でも外来でも本人の月額負担は変わらないという結論でしたのよ(笑)(まあ投与回数の都合でインフリキシマブのほうがお得)。2泊3日させると外来日帰りよりも病院の収益が上がるというだけで(9日までなら入院させればさせるだけ収益は上がります/インフリキシマブの場合)。

患者さんに生物学的製剤を導入する際は本人負担については詳しくないと患者さんも困りますからね。限度額以上はその後戻ってくるとは言え、窓口では一旦自己負担額の全額を支払わなければならないので、抵抗を感じる方も多いのですよ(還付金が戻ってくるまでの間、貸付してくれる制度ももちろんあります。医療機関や保険機関の窓口でご相談を)。

※インフリキシマブは1回の投与にかかるコストはエタネルセプトより高額ですので見かけ上、患者さん側からすると負担が大きく見えます。いくら還ってくるとは言っても一時的にしろその値段が払えない方もいらっしゃいますし(そのための貸付金制度ですが)。 

 

まあわれわれ膠原病内科医の場合、特定疾患として公費負担の対象になる疾患も多々診ておりますので(→難病情報センター)、こちらも考えないといけないし(自治体の認可が下りてからしか公費は給付されないのでできるだけ早く診断してあげないといけない。それまでの検査料は保険診療で自己負担割合に応じて自己負担あり)。

自治体により障害者手帳があれば医療費は公費負担になったりしますし(関節リウマチなどでの運動障害でも高度であれば対象になります)。

(生活保護だと自己負担0だったりしますが。低所得者の方はやはり所得に応じた軽い負担。詳しくは所属自治体にお問い合わせを。)

 

実に複雑な医療費制度の中で、どうすれば患者さんにも医療機関側にもハッピーなのか、これからは勤務医も世間知らずではいられないようです(--;)。

独法化で国立病院も親方日の丸ではいられませんし。 

(いや、だから単に私が世間知らずすぎるだけなのかもしれませんけどね。) 

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コメント

コメント一覧

さっきから何回も書き直してますのでさすがにこっちで注意書き。
インフリキシマブは投与を重ねるごとに効かなくなる方も多く、そういう方はエタネルセプトが有効だったりします。
written by ドクター・ミー / 2006.05.09 00:39
はじめまして。
循環器内科医のDr. Iと申します。

本当ですか。
全く知りませんでした。
これからもまた勉強させて下さい。
written by Dr. I / 2006.05.10 23:12
はじめまして。Dr.Iさま。
コメントありがとうございます。
某自動車メーカーの保険組合のサイトを見ますと確かに通常の所得の組合員では12000円上限となっておりました。
私もまだまだこれから勉強していかねばなりません。
written by ドクター・ミー / 2006.05.11 18:53
私は石油化学系企業に勤務しておりますが、保険診療の上限は2万5千円になっています。
上限を超えた保険診療分に関しては、保険組合側で自動的に処理してくれるため、こちらから何も申請しなくても超過分が3ヵ月後に口座に振り込まれます。
高額な保険診療を行った際は、治療が完了しても、金銭的な面でのストレスが多少なりとも残るのものですし、国保以外の患者には保険組合の高額療養費の付加給付の状況を聞いてみるというのもいのではないでしょうか。
ちなみに、生命保険会社は、医療保険の勧誘時にこういった制度に関して一言も説明しないというのは、自己中心的発想、全くおかしな話ですね。
written by GA / 2006.06.04 16:47
お返事遅くなりました。情報ありがとうございます。
GAさまの加入保険は申告なしで返金があるのですね。うらやましい・・・。
確かに患者さんには「加入保険の自己負担限度額をご存知ですか?」とお尋ねする必要がありますね。
生命保険会社からの説明がないことは私の周囲でも指摘している人がいました。自分はまだ独身ですし生命保険の勧誘を受けたことがありませんので、本当に一言も指摘がないのかどうかは存じ上げません。広告の隅なんかにこっそりでも書いてないのでしょうかね?
written by ドクター・ミー / 2006.06.07 01:23
はじめまして。
大変参考になります。これからも来させて下さい。

昨年再発性多発軟骨炎と診断され、2月に再発、突発性難聴にもなり最近退院したばかりです。
免疫制御剤+ステロイド剤で治療をしています。
なかなか難しいようで、主治医の先生も頭を悩ませながら色々してくださっております。
生物学的製剤についても説明を受けました。

高額医療費は主人の会社は中小企業な為、組合ない上、社会保険なので8万2千円を超えるもの(食事代は除く)についてしか返還がありません。
しかも4ヵ月後と社会保険事務所から説明がありました。
(今だ端数も戻ってきてません/笑)
入院前に申請しに行って認定証をもらいに行きました。

以前某生命保険会社で内勤していた時は2万5千円を超えるものは自動的に口座に戻ってきておりました。
生命保険会社の勧誘の方への高額医療請求の教育はしていないのでご存知ない方が多いと思います。診査部で少し認識がある程度でした。

旦那様を探すときは、いや、転職するときは組合重視しなくてはですね!(私も少し考えてしまいました/笑)
written by 伊織庵 / 2008.04.17 14:31
お返事遅くなりました。申し訳ありません。コメントありがとうございます。
ご病気につきましてお見舞い申し上げます。

>組合重視
本当に、そこのところは考えさせられます。
こういうところにもこんなに大きな格差があるなんて、実際に高額医療を受ける立場にならないと知らない方が(特に若い方では)多いと思われます。
我々も肝に銘じて、患者さんへの説明を心がけたいと思います。
written by ドクター・ミー / 2008.05.09 00:48

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