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軟部腫瘍の診断にはいつも難渋することが多く、深部に大きなものがあれば悪性、などと大雑把なやっつけ仕事をしてしまう。そういうわけで、軟部腫瘍の診断というタイトルが付いている本に弱い。
今回読んだのは
骨・軟部腫瘍 臨床・画像・病理 大塚隆信他編集 診断と治療社
総論もあるが、基本的には各疾患について見開き2-4ページでコンパクトに解説した本。私は最初から順に読んでいったのですが、本当は辞書的に使う本なのかもしれない。珍しい軟部腫瘍についても載っているので、カンファなどで出てきた症例のちょっとした復習に使うと良いかもしれない。
ちなみに軟部疾患に特化した本で私の一押しは
imaging of soft tissue tumors 2nd ed. Kransdorf & Murphey LWW
です。

新版 これで完璧!MRI 山下康行編 臨床放射線別冊 金原出版
学生さんや研修医は「そもそも磁気共鳴とは」、というところから始まる本を読んでほしいのですが(薄いものを2,3冊トライしたら自分にあった説明のものが見つかると思います)、「もうそこのステップは終わった」、とか、「昔勉強したけれど臨床をやっている間にすっかりわすれて、研修医への説明にチョト困っている」、などには非常にお勧めの一冊。
分担執筆ですので章ごとにスタイルが若干異なるものの、同じ教室の人の手になるものなので、大きな抜けやバラツキはありません。臨床に必要な知識のリフレッシュに、お勧め。
特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 日本呼吸器学会びまんせ肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会編集
南江堂 2004年第一刷発行。

夏中ぽっつりぽっつり読んでいたものののこりを、本日の台風による足止めで全部読みました。頭の整理には大変良いです。
(でもまた、論文や大部の本をよむと分からなくなっちゃうんですよね。しっかり基本的な部分を覚えていないせいだと思うのですが。)
それはともかく、この本は臨床像や治療にも触れているので、臨床医が画像に何を求めているのか、おぼろげながらわかるのが良いところです。
腹部のCT 第2版 平松京一監修 メディカル・サイエンス・インターナショナル
このシリーズ、やっぱりツボをついているせいか、良く売れているらしいですね。肝臓が専門の人が肝臓のところを読んでもしょうがないし、腎臓が専門のひとが腎臓のところを読むと物足りないでしょうが、日常臨床で知っておくべき最低限が書いてあるので、全体に目を通すことをお勧めします。
通しで目を通す本であって、何かわからないことを調べる本では(厚さからいっても当然ですが)ありません。ですが、リファレンスはセクションによっては良くできています。
そして、子宮や前立腺についても記述があります。これらの臓器の診断にCTが使われることはほとんどないとは思いますが、でも、撮影範囲に含まれる臓器ですから、見え方とCT診断の限界を知っておくことは大切で、その意味でも意義あるセクションだと思いました。
でも一冊13650円は痛い。

基本をおさえる!胸部画像 画像診断臨時増刊号2010年Vol30. No11
一疾患見開き1ページ。代表的画像(単純写真とCT)、基本的に知っておくべき事項、鑑別診断が書かれています。
スタイルが統一されて読みやすいのと、写真が比較的スタンダードなものが選ばれているのとで、夏休みの一日、一読する価値あり。
こういう本を作るときには執筆者が多くなるので統一性が欠けやすいのですが、編集は成功しているように思います。ただし、若いうちにこういうお手軽な本に頼ってはいけないのでは?
胸部を専門としない専門医が、鑑別診断を思い出すのに使うとか…。それだったら「Common diseaseをおさえる胸部画像診断ベスト65」のほうが良いかも。
ちょっと立ち位置の難しい本。
骨軟部疾患の画像診断 第2版 上谷雅孝 編著
第1版に比べてぐっと厚くなり、内容も充実。それだけこの分野に関する皆の経験値が上昇したのでしょう。
1疾患見開き2ページのスタイルは同じです。各疾患について基本的事項と代表的な画像が掲載されています。特にMRI診断をうたっている本ではありませんが、放射線科医を意識しているのでほぼ前例にMRI写真と一般的所見の記載があります。
通しで読んで知識をリフレッシュするのにも良いですし、あれ、と思ったときに目的疾患のページのみを参照するのにも良。文献も2つくらいに絞って有名なものが記載されているので、研修医の勉強会などのネタ探しにもお勧め。

肺HRCT 蝶名林 直彦 監修 丸善株式会社
原書2版までは原書で読んでいたのですが、あまりに厚くなったので考えていたら、これが出たのを知って買ってみましたが。
つらくても原書で読めば良かった。これは非常に良い本ですし、generalistの放射線科医でも読んでおくべき本だと思うのですが、翻訳が残念。
聖路加の呼吸器内科と放射線科とのチームの共同の訳なのですが、一部には明らかな誤訳があったり、日本語としてどう考えても理解不能であったり。大筋としては使える本にはなっていますが、通しで読むと相当に辛い本になってしまっています。
出版前に一人の人間がきっちり目を通すとか、英語のわからないところを英語の先生に聞くとかの、基本的校正がなされずに、抄読会の原稿をまとめちゃったんじゃないの?と思わず突っ込みを入れたくなる部分あり。
ここまでの努力をしたのですから是非改訂版を出してほしいものです。
画像診断ヒヤリ・ハット 記憶に残る画像たち 南江堂
思わず買ってしまううまいネーミング。
症例集です。ありがたいことに読んで「そうそう、これって落とし穴よね」と思うことができました。思うことができる、ということは、痛い目にあった、あるいは会いそうになったことがある、っていうことなのだけれど。
臨床情報をうのみにしない、臨床情報に捉われない、というのはいつも感じていることです。逆に、臨床情報をバカにしない、というのも重要だと思います。

症例の比較で学ぶ画像診断 頭部50選 画像診断臨時増刊号2010 vol.30 (4)

割と基本的な疾患が並んでいるので、クイズ感覚で読めます。初学者や研修医にも最適、というキャッチフレーズはその辺にあるのだと思いますが、できれば若者はもうちょっと系統的な本を読んでほしいと思うのは古いでしょうか。
エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第2版 三輪書店
改訂版は厚くなって画像も多く、疾患の説明も丁寧。エキスパートではなくても十分使いこなせる作りです。気をつけなくてはならない鑑別疾患や、撮影上の注意も実践的。圧迫骨折と破裂骨折の違いが「?」でも大丈夫。ちゃんと丁寧に説明してあります。
というわけで絶対にお勧め。
