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通常の季節性インフルエンザの重症例には高齢者が多い。新型の場合は年齢を問わず基礎疾患のある人に重症化が見られる。高齢者で基礎疾患が有ると非常にリスクが高くなる。アメリカの報告では入院例は65歳以上の人は7%と少なく小児がむしろ多かった。70%に合併症あり呼吸系が37%、免疫不全17%、心疾患と妊婦が17%であり案外多い。ワクチンの優先順位に心疾患は入っているが高血圧のみだけでは入らない。急性心筋梗塞による死亡率はインフルエンザの流行時に1.3倍に上昇、狭心症、慢性心疾患でも1.1倍に上昇した。一昨年のランセットに載った論文にインフルエンザの流行と心筋梗塞の発生頻度は関連する事。心筋梗塞がインフルエンザで誘発されるメカニズムはウイルスが上気道感染から急性の重篤な炎症反応が体内に生じそこで産生されたサイトカインが、もともと起こりそうな状態の動脈硬化プラークの不安定化・破綻を引き起こし血栓イベントが生じる。またインフルエンザウイルス自体も心筋炎を引き起こす。ウイルス性心筋炎は1番目がコクサッキ―ウイルス、次にアデノウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、エコーウイルス、そしてインフルエンザウイルスの順に起こしやすい。ウイルス性心筋炎は自覚症状がなく気付かれずに経過するものから慢性化して拡張型心筋症に移行するタイプ、急激に重症化し補助循環を必要とする劇症型心筋炎もある。診断には先行する上気道の感冒様症状に加え、胸が痛い、頻脈あるいは徐脈の所見が有り、単なる風邪とだけでは説明がつかない場合に疑い、心電図を撮ってみるとか、聴診で心膜摩擦音friction rub が聴取されたり過剰心音が聞かれてエコー検査をするとか、心電図でわずかでもST上昇や房室ブロック等異常が見つかれば心筋炎の可能性を考える。インフルエンザを発症し発熱から心筋炎までは1~2日の短い期間である。血清学的検査やバイオプシーの検査は確定診断には有用であるがペア血清で検査で期間がいる。バイオプシーは侵襲的であり軽症の場合には躊躇する。治療に関しては保存的な療法になるが注意しなければならないのが劇症型心筋炎で、感冒様の症状から急にさまざまなタイプの不整脈、低血圧、心不全状態に陥る。診察するとⅢ音ギャロップを聴取し、頸動脈怒張、肺胞性クラックルの聴取など心不全兆候が出てくる。そのような場合は循環器の外来というレベルではなく、ICUのある病院に移送し循環補助手段が必要となる。この型は若い人に多いが年齢層は広い。心臓病を持っている人へのワクチンの接種が合併症を起こすのではないかと危惧する向きが有るがインフルエンザによって心臓病は重症化するのだとの説明を行い納得してもらう必要がある。リスクとベネフィットをしっかり話して納得の上で接種する事が大切である。重症で心不全を繰り返す人はしっかり2回接種する。