今年の4月にプロ野球巨人コーチの木村拓也さんは球場での試合前練習中にクモ膜下出血で倒れ、亡くなった。クモ膜下出血による年間死亡者数は15000人である。くも膜下出血発症者の3人に1人が死亡する。30歳代でも発症するが、多くは40~50歳代が多い。健康であり、健康診断でも何も問題無くても発症する。脳梗塞、脳内出血などを含め脳卒中の中では一割程度である。何時、何を切っ掛けに破裂するかは解明されていないので厄介である。疫学的調査で、いくつかの危険因子がわかっている。その1つがタバコでくも膜下出血の発症率は喫煙者では男3.6倍、女2.6倍である。夫がタバコを吸うとその煙を吸わされる妻も危険度が増す。過度の飲酒や高血圧も良くない。タバコに加え酒好きな人は棄権率が6倍に跳ね上がる。近親者に発症者がいる場合には要注意である。脳動脈瘤があっても破裂しなければクモ膜下出血は起こらない。動脈硬化を進める高コレステロール血症の治療薬のスタチンに予防効果が有ったとの研究がある。ラットを使った実験でスタチンを投与しなかつた場合は3カ月で1.6倍の大きさになったが投与した場合には、5か月間ほとんど大きくならなかった。これはスタチンが血管壁の炎症を抑えると考えられている。頭部MRI検査特にMRA検査で動脈瘤があるかどうかはすぐわかる。脳ドックでの発見率は高く50人に1人の割で見つかる。見つかった場合の対処法は心配しながら経過をみるか予防手術しかない。手術は瘤の根元の血管を金属クリップではさむ。また腕や股の動脈からカテーテルを入れ金属製コイルで瘤を詰める血管内手術がある。しかし合併症が1~2%に起こる。検査で瘤がわかると精神的に大きな負担となる。検査の意義は瘤のある場合は禁煙し過度の飲酒を控えるなど対処が可能な事にある。スタチンの予防的投与でクモ膜下出血を防げる可能性もある。
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