介護施設で問題になる疥癬。全身が痒くて夜も眠れない。あっと言う間に介護施設の利用者全体に拡がる。よく見かける情景である。特に皮膚の弱いお年寄りは油断大敵で施設などで一人でも出ると次々に伝播する。特に介護に手間が掛かる人には必発、介護者の手を介してうつるからである。対応は施設によってでんでばらばらの事が多い。これは疥癬の生態を知らないのが原因だ。疥癬むしは動物の皮ふを離れては生きてゆけない。3日も離れれば死んでしまう。従って殺そうと下着をお湯で煮沸したり、イオウ水につけても意味が無い。ナイロン袋に入れて3日放置すれば事足りる。疥癬虫は腋の下、会陰部、手足の指の間の軟らかい皮ふの中に生息、交尾、産卵し繁殖する。皮ふに隧道を作り移動する。ここをまずしらべるのが診断の始まりでこの部分に角質の肥厚、湿潤などの所見があればその皮ふを撮り顕鏡し虫体や卵があれば疥癬である。体のあちこちの痒くて赤い湿疹様皮疹は疥癬虫に対するアレルギー反応でそこには疥癬虫は見つからない。介護者が疥癬の人を扱ったそのままの手で次の人を触るとすぐ感染してしまう。手袋するか充分手洗いをして次の人を扱う必要がある。勿論介護者にも移るので手袋で防御し1回1回手袋は代えるのが良い。仕事熱心な介護者ほど疥癬になる。治療は疥癬の患者にストロメクトール2~3Tを投与、体の掻痒皮疹部にはオイラックス軟膏を塗布、疥癬虫の居る所には蚊取り用噴霧剤フマキラを噴霧すれば良い。人体には無害である。痒みが激烈なのでアレロック2Tを投与する。介護者からの伝播を防ぐこと、病棟全体に拡がりやすいのでストロメクトールは同時に投与、1週間後に再投与する。投与は食後が良い。なぜならばストロメクトールは脂溶性だから。
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現在、HIVの治療と予防は抗HIV薬の内服で劇的に改善する。しかるべき時期に感染の判明した人は内服治療でエイズを発病する事はほとんど無い。治療によりイルス量も下がるのでHIVを他の人に感染させない様に出来る。また母子感染の恐れが有ったり針刺し事故の場合も抗HVI薬の内服で感染予防出来る。先進国では新規患者数は減少傾向であり、アメリカでは4~5万人、日本は1500~1600人のレベルにある。アメリカでの拡大は陽性と気付いてない人からの感染による。アメリカCDCは陽性者を早く見つけるためにガイドラインを作っている。知らずにエイズを発病し死の危険に晒されるより、早く見つけてあげるほうが本人の為になる。エイズ問題を抱える南アフリカは年1回、全国民のHIV検査を行い陽性ならすぐ治療を行なっており、数年後には問題を解決出来るとされている。これまでの日本では医師はHIV患者を見つけると何か死人を見つけてしまった様な重苦しさを感じていた。しかし今は見つけたことによってその人の命を救ったのだとの考える医師が多い。 針刺し事故の後にも心配せずに抗HIV薬を服用して1ヶ月間継続すれば確実に予防できる。
抗HIV 薬と服用期間
Rx) AZT(レトロビル) 600mg 3回
3TC(エビビル) 300mg 2回
Indinavir(クリキシバン )2400mg 3回
職業感染予防ーHIV、HTL-1針刺し事故マニュアル
患者の病原体が不明の場合、針刺し事故を負った本人の採血でHBV、HCV、HIV、HTLV-1、Waをチェックその後も6ヶ月間、毎月followする。患者からも血液を採取、HIVの迅速キットで2時間以内にチェック、陽性の場合は事故の被汚染者にプロテアーゼ阻害薬を予防目的で投与する。針刺しなど血液曝露により、感染するリスクのある血液媒介感染症にはHBV、HCV、HIV、梅毒、HTLV-1が主なものである。厳密にはマラリア、出血熱ウイルスなどその他にも針刺し事故により感染しうる疾患はあるが、現時点では日本で遭遇する可能性は極めて低い。よって日常診療での事故対策としては先述の5疾患が重要なターゲットであり、感染リスクの観点からは特にHBV、HCV、HIVが重要である。 HBV、HIVの場合は曝露事故後に適切な予防処置を取ることにより、感染リスクを大幅に減少させることができる。HIV曝露事故による感染のリスクは0.3%とそれほど高くないが、AZT(レトロビル)単剤を感染直後から服用することで、感染率を81%低下させ得ることが報告されている。現在推奨されている曝露後予防のガイドラインでは2-3剤の併用が推奨されており、予防効果はさらに高いと考えられている。現在本邦においては1万人程度のHIV感染者が報告されているが、全国的に急激な患者数の増加が認められており、2010年までに5万人に達するであろうとの予測もある。今後、各医療機関でHIV感染者に遭遇する可能性はどんどん高くなっていくと考えられ、各医療機関が医療従事者の安全を守るために、必要時に抗HIV薬の予防内服を迅速に開始できるよう、HIV曝露事故時の対応を整備することが、不可欠かつ急務の課題である。HIVの曝露後予防を行う場合は、曝露事故後数時間以内(できれば2時間以内)に予防内服を開始することが重要である。また予防内服の適応を考えるためには、曝露者が妊娠していないかどうかを考慮することも必要である。したがって、検査室の体制として常に、HIV抗体検査と妊娠検査(尿)が数時間以内に実施できるようにしなければならない。夜間、休日を含めてこのような体制を確立するためには、ダイナスクリーンのような迅速診断キットの活用を考慮することになる。ただしダイナスクリーンの結果は、その後に、通常の検査法でも再確認することが勧められる。曝露源となった患者のHIV検査を行う場合には、本人の同意をとることが原則である。ただし曝露源となる患者が死亡していたり、意識不明などの理由により同意取得が不可能なときには、医師の判断によって検査を実施して良い。HIVの検査に関し家族に同意を取ることはプライバシーの観点から推奨されない。同意取得は文書によるものが望ましいが、やむを得ない場合は口頭による同意取得も許容されると思われる。その場合でもその後に文書による同意書を取得することが望ましい。HIV検査実施の同意および結果の告知は必ず本人に対して行う。結果の告知に際しては患者が適切な精神的サポートが得られるよう留意するとともに、プライバシー保護に十分配慮しなければならない。万一、HIV感染が判明した場合は、その後適切な治療介入が可能となるため、患者にはメリットがあるというべきである。プライバシーを理由にHIV検査を行わない場合は、結果的に患者に不利益をもたらす可能性がある。 HTLV-1については、その地域の罹患率により各医療機関の判断で曝露事故後の検査項目に組み入れる必要があると思われるが、現時点では一定の見解はない。ただし、HTLV-1抗体陽性血液曝露による感染伝播の可能性は極めて低いと考えられている。
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日本でも研究班設置予定。 日本のTIAの定義は,1985年に厚生省研究班による「局所神経徴候は24時間以内、多くが1時間以内に完全に消失し,発作の起こり方は急速,症候は内頸動脈系・椎骨動脈系」が用いられている。画像診断の進歩により,1時間以内に消失する場合でも梗塞巣が確認され,臨床症状と時間軸による判定ではリスクを評価し切れないことが分ってきた。米国は従来の定義を見直し,TIAは「脳局所あるいは網膜の虚血による,典型的には1時間以内に消失する短時間の神経局所症状の発作であり,画像上に脳梗塞の病巣を認めない」と改められ、1時間に限定せず短時間と表現されている。TIA症例の脳梗塞発症リスクは,TIA未治療例では10%弱あり,その50%は48時間以内に発症することが報告され介入の必要性と,脳梗塞を発症するリスクが高い患者群の抽出が試みられて来ており近年、ABCD2スコアが活用されるようになった。ABCD2スコア3以上のTIAの場合,入院が推奨される。日本ではスコアの認知度は低く,また,TIA患者に対する治療指針は施設で異なる。ある施設での検討によると、画像上は梗塞所見がなかったTIA入院患者,連続160例による後ろ向き,積極的な入院治療が行われたにもかかわらず,全体の5%が脳梗塞を発症していた。この8例のABCD2スコアの中央値は5.5で,非発症群の中央値の4.0と比べて高値だった。この結果から今後TIAは軽症の良性疾患で,外来観察でフォローするといった概念は捨て,急性期脳梗塞に続く一連の“急性脳血管症候群”と考えて対応する事が必要としてTIAの定義や診断基準の見直しが予定されている。
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平成3年12月。最近は日本中、何処え行っても同じような街並みをしている。鹿児島もその例に漏れない。そんな中でも城山一帯は薩摩の歴史に彩られて他にはない情緒がある。ここ鶴丸城址の一等地にはかって旧制七高があり、後に鹿大医学部が居を借りた。今は黎明館になっている。南九州中央病院はその一画に大きく聳え建ち、回りの敷地も勿体無いほどの広さがある。私が高校生のときにも鹿大医学部とその付属病院は此処に有り国道側から城跡に入ると今も残っているが青銅色をした洋風の門扉がある。その時分には付近は丈の高い草に覆われていた。雰囲気が好きで夏休みなど近くの図書館に来て度々散歩のコースにした。そして医学部進学への憧れとその実現への励みとした。夢かなった大学時代と医師になり研修に励んだ大学病院が宇宿に移転するまでの10年間を此処で過ごした。目を閉じると贅沢な雰囲気を満喫した多くの思い出が目に浮かぶ。医学部と堀を挟んだ付属病院の間には城山に続く車道と市電の架線が並走し、ごちゃごちゃしてはいたがその間を縫う様に学生、病院職員、看護婦さん、看護学生、外来者が声を掛け合い挨拶し、のんびりした賑やかさがあった。数年の後めぐり合わせで病院開設と同時にこの地に戻れた。まだ電車は走り、医学部跡に講堂だけはそのままに残っておりほんの前まで、ここで泣き笑いしていたとの感じもした。あれから10年時代に流され、医学部後には巨大な黎明館が整然と構え、電車道は外され車道には車が溢れ、病院に入るのでさえ危なつかしい。よき時代を偲ばれるのは楠が茂った石垣とお堀に咲く蓮花だけである。目を遣ると旧友がそこに微笑みかけホッとする。
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目の硝子体剥離は老化現象である。これが起こると飛蚊症と光視症が生じる。余り心配する事は無いが場合によっては網膜はく離を伴う場合があるので注意が必要だ。その見分け方は、飛蚊症と光視症に視野の一部分が欠けて見える視野欠損の3つの症状が揃うかどうかが問題となる。視野欠損がなければ様子を見てよい。心配しすぎる必要も無い。目の前を蚊の飛ぶ様な黒い物が見える飛蚊症ときらきら線状の閃光一瞬見える光視症の2つだけなら心配は要らない。これは老化現象の1つであり多くの人が経験する。硝子体はコラーゲン線維という蛋白質が大量の水分を含んだ組織で加齢とともにコラーゲン線維が縮んで、網膜面から離れて前方に移動する。若い時には透明なゼリー状で充満し網膜との間にすきまが無い。年とともに萎縮して前方に縮む。硝子体は視神経、網膜動静脈が出る乳頭部でより強く網膜に密着している。縮んで最後にはそこから遊離する。この状態が後部硝子体剥離である。後部硝子体剥離は硝子体の老化現象。水晶体の老化現象の白内障と同じ。明るいところや、白っぽい壁を見た時に、眼の前に黒い点や糸くずのようなものが、ふわふわ動いて見える症状が飛蚊症。眼の前に蚊が飛んでいるように見えることからこの名前がついている。眼を動かすと、そのなかのにごりもゆらゆら動き、それに伴って瞳孔から入ってきた光でできるにごりの影も揺れ動く。そのため眼を動かすたびに、糸くずのようなものがふわふわと飛んでいるように見える。後部硝子体剥離時に視神経乳頭の周囲の癒着がリング上にはずれた部分の硝子体のにごりが網膜の近くに浮かぶことになり、これが丸い黒い輪の影を落として飛蚊症として自覚される。硝子体の引っ張りによって、網膜血管が傷つけられて硝子体出血が起こる。それが霧視が自覚される。後部硝子体剥離が起こる時に、網膜と硝子体のくっつきが強い部分の網膜を引っ張り、この刺激が光刺激として脳に伝わえい「ピカピカ光っているものが見える」「稲妻が走っている」など光視症と呼ばれる症状が現れる。網膜や硝子体の状態を詳しく調べるために、点眼散瞳薬(さんどうやく)で瞳孔を開いて、眼底検査を行う。この検査で、生理的飛蚊症・硝子体出血・硝子体混濁といった症状がよく似ている病気と区別することができる。また、網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血といった合併症が起こっているかどうかを調べることもできる。網膜や硝子体の状態を詳しく調べるために、眼底検査を行う。この検査で、生理的飛蚊症・硝子体出血・硝子体混濁といった症状がよく似ている病気と区別することができる。。また、網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血といった合併症が起こっているかどうかを調べることもできる。網膜裂孔・網膜剥離・硝子体出血などの合併症が生じた時には、手術療法を主とした治療が必要である。一方、後部硝子体剥離自体は、ちょうど白髪になるのと同じく老化現象の一種で、病気とはいえない。したがって治療の必要のないものです。飛蚊症とはたいてい一生付き合うことになる。硝子体のにごりが網膜面に近い時には網膜に濃い影を落とすので、飛蚊症の症状もきつく感じられるが、徐々ににごりが前のほうに移動して網膜から遠くなると影も薄くなり、症状も軽くなってくる。 飛蚊症・光視症・霧視(むし)など後部硝子体剥離に伴う症状は、いずれも緊急の治療を必要とする重い疾患のサインである危険性があることに注意が必要である。しかも、危険の少ないものか否かの判断は難しい。必ず、すみやかに眼科を受診する事は大切である。緊急治療を必要とする代表的な疾患が網膜剥離で、網膜剥離の原因はいろいろあるが、年輩の方に起こる網膜剥離の主な原因は、後部硝子体剥離で萎縮した硝子体が網膜からはずれて前に移動する時に、網膜との癒着が強いと、網膜に破れができてしまう。この破れから網膜の下に液化した硝子体が入り、網膜がはがれた状態が裂孔原性網膜剥離で、網膜色素上皮細胞という茶色の細胞が破れをとおして硝子体にまき散らされると、この影も飛蚊症の原因になる。網膜が破れる時に網膜の血管も切れてしまうと、硝子体出血が起こり、これが原因で飛蚊症や霧視を感じることがある。
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我が家の犬は今年13の白の牡犬。今、地域では人気者である。写真を撮らせて下さいと家族連れが遣ってきて一緒に写真に納めて帰っていく。最初、私はどうしてなのか分らなかった。家内によるとチャピーがソフトバンクのコマーシャルに出ている白犬の「お父さん」にそっくりらしい。それで近所の評判になっていると教えてくれた。初、どのコマーシャルか知らないまま探していた所、やっと探し当てた。なるほど似ている。そっくりである。チャピーは大人しく愛嬌があり近づいても咆えないので評判が良い。流石に今はブームが去って前みたいに訪れなくなったが最初、中学生の職場体験で私のクリニックに来た子ども達がチャピーを見て大騒ぎになった。学校に帰り皆に広めた。それを聞きつけた沢山の生徒達が家族を連れてやってくるようなったと言うわけである。

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高病原性鳥インフルエンザウイルスは、これまでヒトの間で流行してきたインフルエンザウイルスとは異なり、その感染が呼吸器を超えて全身に広がる潜在能力を獲得している。ウイルスの病原性を左右する感染様式の違いは、現在では「プロテアーゼ依存性ウイルストロピズム」と呼ばれる原理で説明できる様になった。しかし、ウイルスの病原性は、感染様式だけで決まるわけではない。生体には、ウイルスなどの微生物の侵入を感知し、それを排除しようとする防御機構が備わっている。インターフェロンを中心とする生体の初期防御機構(自然免疫)に対して、ウイルスは多彩な対抗機構を進化させており、この対抗能の存否がウイルスの病原性を左右する。近年、高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1がヒトに感染し、その致死率の高さからとても大きな問題になっています。高病原性鳥インフルエンザウイルスはこれまでヒトの間で流行してきたインフルエンザウイルスとどういう点が異なるのでしょうか?インフルエンザウイルスに感染すると、頭痛、発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状が強く、あたかもウイルスが全身で増殖しているような印象を受けます。しかし、実際、増殖している場所は、気道を中心とした呼吸器系だけで全身にウイルスが広がることはまずありません。このような局所感染に終わるのがこれまでのインフルエンザウイルスでした。それに対して、現在問題となっている高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1は、呼吸器を超えて全身に広がる潜在能力を持っているのです。何故、そのような違いが生じるのでしょうか?ウイルスは、生体を構成する細胞の様々な機能を利用して増殖します。例えば、インフルエンザウイルスの被膜表面には、HA(Haemagglutinin)蛋白質という)、ウイルスゲノムを細胞内に導入するときに必要不可欠な蛋白質が存在します)。しかしながら、HA蛋白質はそのままでは、十分な機能を発揮することはできません。宿主のプロテアーゼにより、一カ所に切れ目が入ることによって、はじめて十分な活性を獲得します。もしその細胞、組織にHA蛋白質を切断、活性化できるプロテアーゼが存在しなければ、そこで産生されたウイルス粒子は十分な活性のあるHA蛋白質を持てず、感染性を失い、感染が中絶してしまいます。これが、これまでのヒトインフルエンザウイルスでした。すなわち、気道を中心とする呼吸器に発現しているプロテアーゼしか利用できないため、気道以外の組織では増えることができないのです。一方、高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1は、そのような組織特異的プロテアーゼを利用しなくても、どの細胞、どの組織にも存在する遍在性プロテアーゼを利用できるようHA蛋白質が構造変化しているのです。ウイルスが利用するプロテアーゼの存在部位に一致して増殖するというこの原理は、現在では「プロテアーゼ依存性ウイルストロピズム」と呼ばれています。「プロテアーゼ依存性ウイルストロピズム」の原理はどのように発見されたのでしょうか?この原理が初めて提唱されたのは、実は、インフルエンザウイルスを対象とした研究ではなく、鳥を宿主とするニューカッスル病ウイルスを対象とした研究でした。ウイルスゲノム(遺伝子)は蛋白質とともにヌクレオカプシドという構造をとる。ヌクレオカプシドは、細胞膜に由来するウイルス被膜に包まれ、被膜上にはHA(Haemagglutinin)蛋白質とNA(Neuraminidase)蛋白質の二つの糖蛋白質が存在する。 インフルエンザウイルスの感染初期過程(a) ウイルスはHA 蛋白質を介して細胞膜上のレセプターに結合する。(b) エンドサイトーシスで取り込まれたウイルス(c) エンドソーム内部のpH が低下するとHA 蛋白質の働きによってウイルス被膜とエンドソーム膜が融合する。それにより、ウイルスゲノムを含むヌクレオカプシドが細胞質に侵入する。レセプターへの結合(a) と膜融合(c) のいずれもHA 蛋白質の働きである。(a) の機能は、宿主プロテアーゼによる切断を必要としない。一方、(c) の活性発現には、宿主プロテアーゼによる切断が前提となる。膜融合能をもつ蛋白質は、被膜をもつウイルスに共通して存在し、そのほとんどが、宿主プロテアーゼによる切断活性化を必要とする。二ューカッスル病ウイルス弱毒株、ヒトインフルエンザウイルス、パラインフルエンザ1型ウイルス(センダイウイルス)の活性化に関わるプロテアーゼを生体から初めて単離同定し、「プロテアーゼ依存性ウイルストロピズム」原理の正しさが証明されました。この研究は、病原性という複雑な事象が分子レベルで説明できることを示しただけでなく、臨床応用研究にも多くの有意義な情報を提供しました。例えば、宿主プロテアーゼの基質特異性が明らかにされたことにより、切断部位の改変による強毒ウイルスの弱毒化が可能になりました。実際、この方法は、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスワクチンの開発に応用されています。また、プロテアーゼインヒビター(プロテアーゼの分解作用を阻害する薬剤)を抗ウイルス薬として使用できないかというアイデアも生まれました。ウイルスの病原性に影響するのは、感染様式だけなのでしょうか?ウイルスの病原性は、もちろん感染様式だけで決まるわけではありません。生体は、ウイルスの侵入に対して高度な防御機構を発達させています。常に、外来の異物にさらされている私達が、簡単に病気にならないのは、その初期防御機構がうまく働いているからです。進化の過程で、生体は様々な微生物の感染を受けることにより、防御機構を高度化していったと考えられます。一方、ウイルスは、それに対して常に新たな対抗戦略を進化させなければならなかったはずです。1999年、日本、スイス、イギリスの研究グループが相次いで、マウスパラインフルエンザ1型ウイルスあるいはサルを宿主とするSV5というウイルスには宿主の初期防御機構(自然免疫)で中心的な役割を果たすインターフェロン(IFN)に対する対抗戦略があることを報告しました。この対抗能力は、これまで働きのわからなかったウイルスアクセサリー蛋白質CあるいはV蛋白質が担っていました。ウイルスの対抗戦略の発見の意義は何でしょうか?この発見によって、同科の麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、RSウイルスなどの臨床的に重要なウイルスの抗IFN機構の研究が始まりました。つまり、1999年の報告は、その後のパラミクソウイルスの抗IFN機構研究の出発点となったのです。ウイルスの抗IFN蛋白質が明らかになれば、抗IFN蛋白質を発現しないようなウイルス(抗IFN蛋白質ノックアウトウイルス)を作製することで、ウイルスを弱毒化できます。これは、弱毒ワクチンの有力な候補となります。また、抗IFN蛋白質の機能を抑制するような薬剤を発見できれば、新しい抗ウイルス薬の開発にもつながります。ウイルスによっては、抗IFN蛋白質ノックアウトウイルスの癌治療への応用も考えられています。癌細胞の多くはIFNシステムに異常があることが知られていて、ノックアウトウイルスはIFNシステムの正常な細胞では増殖しくく、IFNシステムに異常がある癌細胞では増殖し破壊するからです。さらに、基礎的な意義として、ウイルス側の対抗機構の進化を明らかにすることによって、生体側の防御機構の進化を捉えなおすことができる点が重要です。それは、お互いの機構が共進化してきたからです。 HA 蛋白質の切断と膜融合能の活性化切断前の前駆体と切断後のHA 蛋白質を区別するときは、前者をHA0、切断後の2 つのサブユニットをHA1、HA2 と表現する。パラインフルエンザ1型ウイルスの抗IFN機構について、現在どのようなことがわかっているのでしょうか?ウイルスは、細胞に感染すると自身のゲノムの転写複製を始めます。そこで生じる二重鎖RNA(dsRNA)などのウイルス核酸がMDA5やRIGI分子等に感知され、IFN- β産生を促すシグナル伝達を活性化します(図4)。産生されたIFN- βは、自身あるいは隣接の細胞のIFNレセプターに結合することでJAKSTAT経路を介して、多数のIFN誘導遺伝子を活性化します。IFN誘導蛋白質の中には、蛋白質合成を抑制する抗ウイルス蛋白質(PKR:二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼなど)があるため、細胞は抗ウイルス状態となるのです。最初に見いだされた抗IFN活性は、JAK-STAT経路の阻害活性でした。これによりIFNが産生されても抗ウイルス蛋白質の誘導が阻止され、ウイルスが増殖しやすい環境が維持されるのです。その後、IFN- β遺伝子の活性化に至る経路がV蛋白質によって阻害されること、またC蛋白質もそれ以外の方法でIFN- βの産生を負に制御していることを明らかにされました。さらに、C蛋白質には、抗ウイルス蛋白質であるPKRが活性化されないような状況を作り出す能力があることも見いだしました。PKRは、そのままでは、蛋白質合成抑制能を発揮せず、感染細胞のなかでリン酸化を受けなければなりませんが、そのリン酸化がC蛋白質によって阻害されるのです)。このように、生体のIFNシステムに対するパラインフルエンザ1型ウイルスのC、V両蛋白質の機能は想像以上に多彩であることが明らかになってきました。これら多彩な抗IFN機構の分子レベルでの完全な理解をめざして、研究が進められています。さらに、これまでの基礎研究を、臨床的なレベルに還元するため、新興のヒトパラミクソウイルスを対象とした研究も開始されました。1998年から1999年にマレーシアの養豚業者の間で発症した致死的脳炎(致死率40〜75%)の原因ウイルスであるニパウイルスと、2001年に発見された呼吸器感染症を起こすヒトメタニューモウイルスです。これらのウイルスは発見から日が浅いため、基礎はもちろん臨床研究も十分ではなく、これからの研究が期待される分野です。しっかりとした基礎研究がなされて初めて応用研究も可能となります。これからも、こうした基本姿勢を維持しつつ、より広い視野から研究が続けられている。
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グローバル・ヘルスと公衆衛生
21世紀に入り地球環境問題、SARS、新型インフルエンザなど世界規模で広がる新興、再興感染症などに対する危機管理としての公衆衛生の重要性は増している。日本の2000年の健康日本21、2003年の健康増進法は国民に健康に対する意識を高めて居る。
感染症危機管理
1998年アジア各地でH5N1鳥インフルエンザが発生した時に政府は新型インフルエンザ対策委員会を立ち上げて毒性の強い鳥インフルエンザに対応可能な対策ガイドラインを作った。今年の2月、新しい知見も加え感染症法、国内事情を加味し改定を行った。4月下旬、豚を起源にした新型インフルエンザAが発生し政府はすぐに、この対策指針に従い空港や海港からのウイルス侵入を防ぐ水際防疫作戦と同時に封じ込め作戦を始めた。新型ウイルスの症状が軽いとわかった。国内発生が確認されて患者発生で混乱した自治体からの陳情を受けてやっと実情に合う形に緩和した。公衆衛生政策は厳しくするのはたやすい。しかし個人の行動を制限し経済活動を停滞させる事は必要最小限にすべきで有る。当初の物々しい国の構えにインフルエンザの恐怖を煽るマスコミ報道が空騒ぎを起こした。国と地方自治体との細かい情報交換の不足、現場の医療体制の不備が目立ったが、少なくともインフルエンザの国内侵入と国内発生を遅らせ患者の同時多発を抑える事で医療サービスの破綻を何とか防げた事が全国レベルの検査体制や医療体制を整備する時間が稼げたのではないかと考える。夏には治まるとの予想に反し感染は拡大し続けている。秋以降の大流行が心配される。公衆衛生的介入よりも医療体制の強化に重点が移り医師の全てが使命感をもって難局に立ち向かわなければならない。これまで国および医師会が推し進めてきた院内感染対策機能をフルに発揮して二次感染による拡大を防がなければならない。平成19年の10~20代の若者の間に流行した麻疹はこれまでの日本の予防接種政策の弱点を突いた。予防接種は費用対効果に優れた公衆衛生の介入手段であり、予防接種で予防できる感染症はワクチンで防ぐ事が国際標準となっており、諸外国では厳しい義務化が行われている。ワクチンギャップと言われているが日本では副作用に対する過剰な抵抗感があり予防接種が徹底されていない。致死率の高い麻疹の怖さを知らない若い母親が増えており接種の重要性の啓蒙と接種にアクセスしやすい環境作りが必要である。新型インフルエンザに対するワクチンの製造は急がなければならないが、再燃に備えて国としても高齢者への肺炎ワクチン、乳幼児に対するヒブワクチン接種を普及すべきである。
タバコの健康問題について
1981年平山論文は受動喫煙と発癌の関連性を警告した。続く世界中の国での膨大な研究はこれを証明した。2005年、世界保健機関(WHO)総会でタバコ規制枠組み条約が加盟国全会一致の賛同を得て制定された。その時の事務総長ブルントラン女史は後にノルウエーの首相にもなった人である。それ以降、多くの国々では国民が多くの人の集まる場所での喫煙が周囲のタバコを吸わない人や働く人々に重大な健康被害をもたらすとの理解が進んでおり、その様な場所での喫煙を禁止する受動喫煙防止法が制定されタバコ規制に大きな効果を挙げている。日本には未だにタバコ事業法が残っており税収をタバコに頼っている状況もあり諸外国に大きい遅れを取っている。その有様は若者の集まる盛り場やライブハウス、飲食街に少しでも身をおけば伺い知る事が出来る。またホテルやレストランでも禁煙席とは名ばかりで意味の無い分煙で済まされている。まだまだ受動喫煙の害に対する意識の低さを痛感できる。特定健診、特定保健指導の中でも動脈硬化を促進し血管を傷つける高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症などはメタボリック症候群として重要視されている反面、喫煙習慣はニコチン依存症として確立された疾患であるにも拘わらず健診報告には健康状態とされている。喫緊の環境問題として世界は人類の生存に大きな厄災をもたらしつつある温室効果ガス削減対策に取組んでいる。日本はタバコの健康問題に目を向けるべきである。喫煙場所が少なくなるにつれ喫煙人口は減少している。 公共の場での禁煙は自主同意でなく法による規制しか無い。
免疫のエラー、遺伝子のコピーミス 御都合主義 喫煙人口の減少 コンセプト 視点 夢抱く所に夢来る 諦めずる前に一歩踏み出す勇気
生きる意味や人生の大切さを教えてくれる。病院死、老いが家庭から遠のいた 多くの日本人にとって死は希薄 死生観の変化。癌は誰でもなる病気である。生涯で日本人の2人に一人は癌に成り 3人に1人は癌で死ぬ。人間は60兆個の細胞で成っている。毎日その1%、6億個の細胞が死ぬ。それを補充するのに細胞のコピーが行われる。この時、コピーミスで不死の細胞、癌細胞が5千個生まれる。しかし免疫細胞がこれを退治している。しかし見逃されたたった1個のがん細胞があれば10年以上かけて成長し癌になる。年齢が進めばこのミスが多くなる。成人君子でも免れない。癌は老化の一つで長生きすればそれだけ確率が多くなる。日本は検診率20%と低い。諸外国は80%である。2007年に癌対策基本法が出来た。がんは早期癌か進行癌かによって別の病気ほどに治癒率に差がある。乳がん、大腸がん、子宮頸がんは検診が有効である。喫煙、飲酒のコントロールなど生活習慣を見直し、定期検診とのセットで克服しなければならない。
強制力のある立法措置を 受動喫煙防止で提言
2010年4月12日 提供:共同通信社
日本学術会議は9日、職場や公共の場所での受動喫煙を防止するため、強制力のある立法措置が必要だとする提言を公表した。努力義務にとどまる現行の健康増進法の規定では対策が進まないと判断した。
提言は、分煙によって完全に有害物質を避けることは科学的に難しいと指摘。立法の際は、事業所の規模の大小にかかわらず、分煙でなく禁煙を目指すべきだと訴えた。喫煙者の利用が多い一部の飲食店などでは、全面禁煙までの猶予期間を設けることを容認したが、「猶予期間はできる限り短縮するべきだ」と付け加えた。
受動喫煙の防止策を検討している厚生労働省などに送付した。
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秋田県でインフルワクチンを本格製造へ
秋田市に本社を置くベンチャー企業が2年後のインフルエンザワクチンの本格製造に向け、工場を建設する御所野地区で起工式を行いました。インフルエンザワクチンの製造工場を建設するのは、医薬品開発ベンチャーのUMNファーマです。UMNファーマは鶏卵を使わずに遺伝子を組み換えることで、インフルエンザワクチンを製造する国内最先端の技術を開発しています。製造にかかる期間はおよそ2か月と、従来の3分の1程度に短縮できインフルエンザが流行した場合にスピーディーにワクチンを供給できるということです。まず、毒性の強い高病原性鳥インフルエンザのワクチン製造を進め、1年後には試運転を行って2012年中に厚生労働省の認可を得たうえで本格製造を始める
新型インフル 小中生3人に1人感染
流行沈静化 臨時休校の基準見直す
県内の公立小中学校に通う児童生徒の少なくとも3人に1人が、2009年度に新型インフルエンザに感染したことが県教育庁の調べで分かった。感染やワクチン接種で多くが免疫を得たため、流行が沈静化したとみて、県教育庁は今月から、新型に対応した学校の臨時休業基準を見直し、従来のインフルエンザ発症時の基準に改めた。
県保健体育課によると、昨年12月末までの児童生徒の新型インフルエンザ罹患(りかん)率は、小学生37・1%、中学生34・5%。このほか症状が現れないケースも15~30%あるとされる。また、今年1月末までのワクチン接種率は、1~12歳35・5%、中高生12・5%だった。
県内では昨年7月、新型の感染で県立高校が初めて休校。その後、各地で学年閉鎖などが相次いだことから、県教育庁は同8月、臨時休業の基準を改定し、学級で7日以内に欠席者が2人発生した場合、7日間の学級閉鎖を基本とすることを定めた。従来の基準は欠席率20%だった。
09年度の高校、小中学校、幼稚園などでの臨時休業は、10月25~31日の1132件が最も多く、10~12月に1000件以上の週が4回あった。今年1月以降は大幅に減少し、同月17~23日の92件が最多だった。県は3月31日、厚生労働省が新型の流行が沈静化したとの見解を示したことを受け、県内12保健所と県庁内の専用電話で対応していた新型インフルエンザの電話相談を閉鎖した。
鹿児島の西郷隆盛像

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世間でよく終わりよければ全てよしと簡単に口に出すが、様々な状況や条件の中での個々人にとっては人生の終わりを如何に生き、それを家族がどのように支えるかは、なかなか難しい問題である。例えば介護老人施設で脳卒中を起こし食べれなくなった時、どのように栄養を与え生かすかは大きな問題である。医療としては鼻から胃に管を通すか、腹から胃に穴を開け流動食を流し込む方法や大きな静脈から点滴する方法もあるが家族の希望をかなえ医療・介護スタッフが力を合わせ自分で食べられるようにする方法もある。この場合、医療と言うより介護の力が大きくなる。患者家族は少しでも長く生きたい生きて欲しいと願うのは当然の事である。よき終わりを迎えるには医療より介護の力が物を言う。食べたり、トイレに行ったり人間らしい暮らしを手助けするのは介護である。この点をしっかり捉えて死ぬのを待つのではなく毎日を前向きに生きる目標は達成できない。そのような理念を掲げ介護保険制度が出来て10年が過ぎた。日本の高齢化率は25%に達する75歳以上の後期高齢者が急増し一人暮らしのお年よりも470万人になろうとしている。要介護者は470万人で介護サービス給付費も6兆円と当初の2倍に成っている。家族に頼っていた高齢者介護に公的サービスが増え助かったとの声も多いが仕事をしながらの介護には不充分との指摘もある。老々介護や老親の介護での介護離職などから高齢者虐待、殺人や無理心中も後を絶たない。介護保険制度は高齢者ケアの中心であるが保険料や税金負担の問題や介護基盤整備での施設数の問題など限界があり全てを解決できない。誰もが地域で安心して暮らしていけるためには住民らの連携による街づくりも欠かせない。街づくりには有料老人ホームなどの高齢者向け住まいの確保24時間対応の診療所、訪問看護ステーション、通所、訪問、泊まりなど多様なサービスを提供できる小規模多機能介護施設などの介護拠点の整備が必要である。それに高齢者や若者子ども達が集まって交流できるような地域の世代を超えた人間同士の交流や助け合いの場を作る必要もある。一人暮らし老老世帯、認知症の方などハンディのある人への目配り、声掛け訪問などの見守りボランティアや相談窓口など地域の相互援助の仕組みも必要である。

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