介護保険制度がはじまって10年が過ぎ、この間の認知症の早期発見、治療薬の開発、ケアの進歩で認知症は治らない恐ろしい病気であるとの常識ががらりと変わりました。今、認知症の人は全国で170万人います。今後も高齢者人口が増えるに従い増加が予想されます。誰もが認知症に罹る可能性があるのです。認知症は脳に病変が起こり記憶を中心にして精神障害が生じます。種類には①アルツハイマー型認知症:脳が縮み血流も低下します。女性に多く認知症の半数を占めます。物忘れのほか時間や場所が分らず、判断・理解が障害されます。②.脳血管性認知症:脳梗塞が関係し20%を占めます。高血圧、糖尿病、高脂血症や喫煙などの生活習慣が関係し男性に多い。手足の麻痺や歩行障害に物忘れ、怒り易いなどの感情失禁を伴います。③レビー小体型認知症:認知障害は軽いが幻覚や妄想などから被害妄想・嫉妬妄想など精神症状が起こり介護を大変にします。20%を占めます。その他、頭を打った後の硬膜下血腫など治療で治る認知症も有りますのでCT,MRI検査で診断を受ける事も大切です。認知症の始まりには日常の家事の中での鍋焦がし、同じものを買い込むなどの兆候が見られます。それに早く気付く事が大切です。症状には大きく2つ①中核症状:脳の病変から生じる記憶、判断・理解力障害。②周辺症状:記憶障害がもとになり不安や戸惑いからの徘徊、暴言、暴行、妄想、せん妄で周りの対応や環境に影響されます。認知症の治療薬として中核症状の進行を遅らせるアリセプトがあり、早期からの服用で大きい効果が得られます。周辺症状に対してはその人を中心に置いた本人本位の適切なケアが基本です。時に医療の介入も必要な場合もあり、幻視、妄想などに対して漢方薬の抑肝散などの効果も注目されています。認知症の人は言葉に出せないがプライドなどの感情をしっかり持っているのです。この事を理解し介護に当たる必要があります。徘徊など周辺症状には必ず何らかの理由があるので本人の言葉に耳を傾け決して否定せずに一緒に考え行動するのが良いのです。認知症の人を家族だけで介護するのは非常に難しく、最後には疲れ果て虐待も生じがちです。独居の人は悪徳商法の被害に会う事も大きな問題となっており、成年後見など権利擁護制度を利用します。認知症かも知れないと感じたら迷わず懸かり付け医や市役所の地域包括支援センターに相談して下さい。医師会では地域の医師が早期に認知症に気付いて対応が出来るようかかりつけ医認知症対応力向上研修を実施しており、専門病院、地域包括支援センター、社会福祉協議会、介護事業所や居宅介護支援事業所等との連携を深めています。さらに行政は住民が認知症を理解して地域ぐるみで認知症の人とその家族を支援する運動を行なっています。家族だけで悩みを抱えずに主治医や、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所のケアマネージャー等に相談して、医療・介護サービスや地域住民の支援を受ける事が大切です。最後に認知症予防としては①体を動かす②人と交流する③脳血管を傷つける高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症や喫煙などの生活習慣病を治すなど守る健康とさらに創る健康に心掛ける事です。
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