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A/H1N1ウイルスの特性は、感染活動性として明確な気温依存性はないことである。今後も散発的に発生する可能性がある。手指衛生と咳エチケット、自己隔離(罹ったら外出を控える)、ワクチン接種が必要である。
インフルエンザワクチンについて
国内で製造されているワクチンは、培養したインフルエンザウイルスをエーテルで処理して感染性や病原性を失わせ、表面のタンパクを有効成分として使用する「スプリットタイプ」と呼ばれるもの。国内4社が新型インフルエンザ用ワクチンを製造しているが、これらは従来の季節性インフルエンザ用と製法が同じため、新たな治験や承認は必要ない。インフルエンザワクチンは重症化や死亡を防ぐことに一定の効果があるとされるが、感染防止や流行阻止について効果は保証されていない。また、まれではあるが、重い副作用が起こる可能性もある。
来シーズンの季節性インフルエンザワクチンには新型インフル、A香港型インフル、B型インフルの3種ウイルス抗原が含まれる。
予防は治療に勝る。医療費節減の面からも費用対効果は抜群である。ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぐ事は今や世界標準である。医学の進歩で人類が享受できる技術を国民が平等に受けられる。医療保険の利かない予防に公費をつぎ込みそれを平等に受ける権利が国民にはある。憲法が保障する基本的人権である。国民の命を経済的格差で区別すべきではない。
乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンや子宮がんを予防する子宮頸がんワクチンが相次いで発売された。しかし、接種費用が高額なため医師や患者団体から公費補助を求める声が上がっている。2月に乳幼児用に発売された肺炎球菌ワクチンと、2008年12月に発売されたインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチンを接種すれば、8~9割の細菌性髄膜炎を防げる。細菌性髄膜炎は、年間推計で1000人近くが発症し、約5%が死亡、15~25%に脳機能障害などの後遺症が残る。一方、子宮がんの一種、子宮頸(けい)がんは年間約2500人が死亡し、20歳代の若い女性で増えている。子宮頸がんワクチンは、初めてのがん予防ワクチンで昨年12月に発売された。1回1万5000円~2万円程度で、3回の接種が必要。4万5000円以上になる。いずれも有料の任意接種で肺炎球菌ワクチンは1回9000円~1万円、ヒブワクチンは1回7000円~9000円程度かかる。子宮頸がんワクチンは、初めてのがん予防ワクチンで昨年12月に発売された。1回1万5000円~2万円程度で、3回の接種が必要。4万5000円以上になる。 海外では、細菌性髄膜炎について、ヒブは130以上の国、肺炎球菌は45か国、子宮頸がんワクチンは、アメリカ、イギリスなどで定期接種になっている。
厚生労働省は、今国会に予防接種法の改正案を提出する予定だが、新型インフルエンザワクチンの接種に関する規定の変更のみにとどまり、これらのワクチンをどう位置づけるかは今後の検討課題としている。
定期接種 予防接種法で規定される。はしか、ポリオなど集団感染の予防に重点を置き、接種努力義務がある一類と、個人の発病や重症化の防止を主な目的にする二類に分かれる。自治体の補助が出るため、無料または安価で接種を受けることができる。副作用が認定された場合、補償される。
19世紀末に始まった細菌学の急速な進歩、予防接種対応などで古典的感染症がコントロール出来る様になり、その後の薬剤の進歩、施設利用などで近代医学はもう成長限界かと錯覚する程に成熟している。そのため公衆衛生はむしろ停滞している印象のある現在、身体はさておき心を含めた健康が課題となって来ている。しかしグローバル化に関係した最近のBSE、サーズ、トリインフルエンザ、エイズ、アスベスト問題を含む感染症、公害、食品衛生など一般住民集団への健康被害に対する脅威は、国の保健医療政策と共に社会医学としての公衆衛生の重要性をクローズアップさせている。①禁煙対策活動、特に小・中学生への「たばこの健康被害」に関する教育②予防接種法改正の情報提供③予防接種のさらなる相互乗り入れの推進④感染症の予防危機管理対策⑤院内感染防止対策⑥医療廃棄物適正対応を挙げた。私の仕事はこの計画実行のために広報、啓蒙を中心に地域医療保健行政、医師会組織、住民等との連携と協働をコージネートする役割と考えている。人を説得するにはまず我が身から。医療従事者の禁煙対策に注意を向けたいと考えている。
H1N1変異と重症臨床症状の関係
ノルウエーのオスロの公衆衛生学研究所のチームが、インフルエンザウイルスに生じる変異が重症化に関係していると発表した。これに対して、米国の専門家は、世界のデータは変異が重症な臨床症状をもたらすことの結論は得られていないとコメントしている。
研究では61例の重症患者のうち11例でウイルス変異を確認し、205例の軽症患者では変異ウイルスは確認されなかった。重症患者から分離される変異ウイルスの確率は統計的に有意で、A/H1N1ウイルスが重症な症状をもたらす原因として変異ウイルスが関わっていることを示唆した。重症患者から分離したウイルスの変異は、D222Gのヘマグルティニン蛋白のHA1部分における222位置のアミノ酸が、グリシンからアスパラギン酸に変化しているものである。チームは61例の重症患者と205例の軽症患者から分離したウイルスの遺伝子配列を分析した。そしてD222G変異を重症例から見いだした。変異はヘマグルティニンのリセプター結合部分で起きており、研究者たちの仮説では、このことがウイルスがどの細胞に結合するか、さらにどの呼吸器組織に結合するのかに影響する。ウイルス変異が肺の細胞への結合能力を高め、重症肺炎を引き起こす可能性があり、可能性として、変異は早期にウイルスを駆逐できずに肺への感染を起こした患者で起きやすいとも推定している。報告によると、重症患者の多くは元々リスクを高めるような基礎疾患を保有しているが、中には何ら健康上問題ない人々が感染して、初期には軽症であっても後に重症化する例もあった。これに対する米国CDCの専門家の反論は世界的に見て、いくつかの国では軽症例からしかD222G変異を見いだしていない。またこの変異が重症例と結びついていることが統計的に有意であると報告している国もあるが、それらのデータでは、結果に影響する要因を取り除いていない。CDCでもD222G変異を8例の患者で見いだしたが、5例は死亡してなく、軽症例も存在したという。また動物実験ではD222G変異が重症感染症を起こすことは立証されていないという。実験でもH1N1ウイルスの野生株と、D222G変異遺伝子を組み込んだウイルスの病原性の違いを検討しているが病原性に差はなかったという。
N1H1の現在の流行の概略
A/H1N1ウイルスは北半球の温帯地域で感染を続けているが程度は低い。殆どの地域では低下し続けている。感染し続けている地域は、タイ、ミャンマー、ロシア、ブルガリア、アルメニア、およびモルドバである。北米での活動は極めて低い。サハラの南西部地域でH1N1感染報告がある。