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< 肺炎球菌との重複感染。 | メイン | 編集後記 >

 介護保険制度は、介護の社会化によって高齢者の尊厳、その人らしい生活の継続を保障する制度として始った。国民共助の社会保険方式を取り入れ、それまで行政処分としての弱者救済的高齢者福祉の措置制度に代えてサービス現物支給の契約制度を基本としており、株式会社も参入可能な市場化、営利化を許容するシステムに成っている。まずい事に制度開始の1年後に発足した新自由主義を押し進める小泉内閣の構造改革の三身一体の改革で、介護保険財源の公費部分が減額された。給付が増えると被保険者の保険料が引き上げられる構造の為に、高齢化の進行、制度普及に伴う申請者、認定者数の増大は保険料に跳ね返ると共に財政を圧迫、制度の維持、継続が難しくなった。給付の総量抑制をせざるを得ないジレンマに陥った。3年に一度の報酬改定で2回連続の介護報酬マイナス改定が行なわれた。5年毎の制度改正に当たる2006年には新予防給付が導入され、予防給付対象者に振り分けられた要支援、介護1の軽度認定者のケアマネージメントは行政の包括支援センターに移された。その結果、介護保険料は払っているのにそれまで使っていたサービスを受けられない。認知症なのに審査で評価されず介護給付が受けられない。報酬も新予防給付の包括化や限度額の2割カットなどサービス利用者、介護事業者の双方に大きな経済的精神的大きな負担を強いた。全国展開介護事業所の不正などがあり2007年からは給付適正化も強化され事業所を萎縮させ、利用者に適切なサービスを受け難くした。例えば同居家族がいる場合には機械的に生活援助を打ち切る、必要な福祉用具が使えないなどの利用制限を強いている。この利用抑制、給付カットによって多くの市町村では基金に余剰が生じている。2009年の介護認定基準の見直しでは介護はずし、給付抑制を意図した明らかな介護度分布の軽度化が露呈し理念の裏に隠された社会保障費抑制政策が顕わになった。政権交代を迎えたが、その行方は不透明である。

介護を担う家族構成の変化
 在宅での医療介護は同居家族無しでは不可能である。介護保険が発足した当初は、専業主婦など自宅にいる家族が主に介護を担うことを前提とした。しかし10年を経過し社会構造の変化で核家族化が進むと同時に未婚・晩婚や急速な高齢化の影響で大きく家族の形は変わった。子供の親との同居率も10年前の70%から40%に下がり、1人暮らし、高齢者2人だけの暮らしなど当初、想定されなかった状況と成っている。独身者、未婚者、あるいは離婚した人などが親を介護するシングル介護、高齢者が高齢者を介護する老々老介護、認知症の人が認知症を介護する認々介護といった具合である。そのような状況の一方で高齢化に伴い重度化した要介護者は増え続けており、国の在宅重視に反して施設入所志向が強まり今、特老入所希望者の待機者が40万人近く居る。受け皿となる介護施設を増やすとその分、住民の介護保険料に跳ね返るため施設の整備は遅れ、療養病床の削減が進んでおり、行き場を失った介護難民はますます増加している。低所得層ほど介護度は高い。そして負担料を払えない。市町村合併で行政の業務も縮小され福祉施策も不充分になった。公が責任を持って関わるべき支援は民間の介護事業所に丸投げされている。これまで介護保険制度の充実を願い、高揚した情熱を持続し続けてきた民間の訪問ヘルパー、ケアマネージャー、かりつけ医、訪問看護師などがボランティア的に隙間を埋めている。2006年の制度改正では地域密着型サービスが制度化され許認可を含めて指導監督権は市町村に与えられた。そのために基盤整備、運営など地域による格差が大きくなっている。

 介護労働者の不足。

 たび重なる介護報酬の引き下げは事業所の経営を圧迫、その影響は介護従事者の待遇を悪くして離職者が増えると共に、求職者も集まらなくなった。介護の担い手の不足は深刻になった。そのような状況もあり2009年の介護報酬改定で3%の報酬アップが行われた。全体の底上げではなく加算による評価が主体で介護労働者の待遇改善にはとても行き渡っていない。到底、人材不足解消に繋がらなかった。そこで2009年の補正予算で介護労働者の待遇改善を図るべく介護職員処遇改善交付金4000億円が付いたが手続き上の問題や、職員のキャリアアップを図る等、条件が難しく申請を躊躇している事業所も多い。これも2.5年の短期的なものである。事業所特に零細な事業所の経営を困難にしているのが情報の公開制度である。医療機関情報は行政の負担でインターネットを通じて国民に公開している。介護事業所については各種事業および事業所毎に調査が行なわれ結果がインターネットに公表されるがそれに要する費用は事業所負担で、これが毎年繰り返されるのである。費用は都道府県によりばらばらで格差がある。この制度を無くすべきとの声は大きい。

  認知症問題。

 今でこそ、社会一般の認知症に対する理解は進んだが、介護保険制度の始った10年前まで認知症は家庭の玄関の内側に隠され当事者だけが悩み苦しみ、その存在は他人事であった。介護保険開始当初の介護認定審査でも認知症の人の介護度は低く、介護の手間は評価されなかった。そこで呆け老人を抱える家族の会など制度が出来る以前よりその大変さを分っていた人々の努力に加え制度の普及で従い認知症ケアの大変さが次第に浮き彫りになって認定審査基準の改訂やコンピュータ判定ソフトへの主治医意見書の認知機能のインプット等改善がなされた。特に認知症介護は家族だけで対応するのは難しい上に、先に述べた家族構成の変化は介護者が介護に不慣れな夫や息子であったりと、その負担から虐待などが生じやすい。認知症者の人権擁護なども大きな問題である。認知症の特性に合わせたサービスはグループホーム、小規模多機能居宅サービスなど地域密着の対応が必要であり、認知症は今後ますます増え続けるのは確実でその基盤整備もこれからの課題である。

 今後の課題

 医療保険ではその入り口で診断治療を希望する全ての人に専門家の医師が対応しその後の判断裁量が任されている。所が介護保険制度では介護を希望している対象者の必要で適正なサービスを行なうべき認定調査を必ずしも現場を知っているわけでも介護専門家でもない調査員が行なっている。その結果もコンピュータで機械的に処理している。審査会のメンバーも形だけの医療介護福祉の専門家の資格だけで、必ずしも現場を知っている委員だけではない。介護保険制度と介護サービス提供過程に精通するケアマネージャーが最初から関わるようにすべきである。

ケアマネの地位向上が必要。

制度の要であるケアマネージャーは保健・医療・福祉分野で5年以上実務経験を有し、資格試験に合格後実務研修を終了してやっと資格が取れる。平成18年度の法改正があり、5年毎の更新制となり、実務に付くには定められた義務研修を受けなければならない。

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