香港では現在、流行が終息している。ピーク時における感染者の年齢層は日本や米国、英国と同じくローティーン以下が大半であった。なぜ成人では感染率が低いのか研究が行われている。メキシコの研究チームは昨年、季節性インフルワクチン接種した人々は、今年のブタインフルエンザに感染しても重症化率は低く、死者は出ていないと発表。また米国のP研究チームも成人ではインフルエンザ感染やワクチン接種を繰り返してきているから、A/H1N1ブタインフルに対する細胞性免疫がある程度保有されていると報告している。若年者における未感染者層の中でのゲリラ的小流行は散発する可能性はあるがウイルスの変異が生じない限り成人層での大流行は起こりえない。流行の山は一つ、ピーク後の再流行は生じていない。 
南半球のオーストラリア、ニュージーランドでは新型インフルエンザの流行は一度ピークに達して急速に衰え、その後は再燃していない。多くの国民が自然免疫を獲得した。流行の山は一つが今回の新型インフルエンザのエビデンスである。
オーストラリア

ニュージーランド

日本

現在の日本の流行 山が一つ出来た。

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ワクチンには①細菌やウイルスなどの病原体を殺して毒性をなくし免疫に必要な抗原物質だけを取り出して作られる不活化ワクチンと②生きた病原体の毒性を弱めた生ワクチンがある。不活化ワクチンの場合、体内に入っても細菌やウイルスは増殖しないが液性免疫系を刺激して血液中に病原体を攻撃するIgG抗体を作る。しかし持続性が短く一定期間に数回接種して基礎免疫を作る必要がある。それ以後も一定の期間をおき追加接種する。一方、生ワクチンは生きた細菌やウイルスを使うので病気に感染したのと同じ免疫が出来る。生ワクチンを接種すると、病原体そのものが体内で増殖し液性免疫系と同時に細胞性免疫系も刺激され、組織にIgA抗体が作られ記憶される。このIgA抗体はマクロファージやキラーT細胞を動員し病原体を取り込み処理する。免疫の程度は不活化ワクチンより強力である。
新型インフルエンザに対する国産ワクチンは季節性インフルエンザワクチンと同じく不活化ワクチンで鶏の有精卵にウイルスを植え付けて培養増殖させたウイルスを薬剤処理、分解破壊してHA蛋白だけを抽出して作る。輸入ワクチンのグラクソスミスクラインは国産と同じ鶏の有精卵を使うがノバルティスファーマのワクチンは犬の培養細胞を使ってウイルスを増殖させている。国産とは違い、いずれの輸入ワクチンにも免疫作用を強めるアジュバントを加えてある。ワクチンを接種して2~3週間でウイルスのHA蛋白に反応して攻撃するIgG抗体が血液中に増えてくる。血清を40倍に薄めてウイルスのHA蛋白とIgGの反応が確認できれば重症化を防ぐ事が出来る。国産のワクチンを使った200人の臨床試験では一回接種で78.6%の人に効果が証明できた。しかし、この不活化ワクチンで作られるのは液性免疫のIgGだけで、組織で作られ分泌されるIgA抗体は作られない。IgA抗体は組織免疫系に働き、ウイルスに感染した細胞を丸ごと処理させる能力を持つ。その意味で今使われている不活化ワクチンは重症化は防ぐが感染、流行は阻止出来ない。
アメリカでは生ワクチンを鼻の粘膜に噴霧してIgAを作らせる経鼻ワクチンも使われているが感染の危険もあり幼児や高齢者への使用は制限されている。
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