介護と看護のルーツは同じである。介護職から見れば現状としての看護職は医療の世界の人で、自分たちとは異なる職種と考えられがちである。決してそうではない。ナイチンゲールは「看護覚書」の書の中で『看護とは新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさなどを適切に整えて、これらを生かす。患者さんに適切な食事内容を選んで与えるで患者さんの生命力の消耗を極力少なくする事であると意味すべきである』と述べている。その当時にも傷口を処理したり、包帯を巻いたり医師の手伝いの看護師はいた。ただそれだけに満足せずに下働きの仕事と見られていた食事を与え、体を拭くなど患者の身の回りの世話にこそ病気を回復させる力があることに気付き、それを行う行為も看護師の仕事として看護を職業として確立させた。それなのになぜ看護と介護が分離したのだろうか?これには医学の発展と関係がある。1948年に制定された保健師助産師看護師法には看護師の2つの業務が既定されている。①つ目が診療の補助いわゆる看護業務②つ目が療養上の世話の介護業務なのである。しかし近代看護現場は医療機関の中で医師の指示に従い医療行為である点滴類の管理、バイタル測定、注射、薬の管理、投薬などが仕事として優先されて来た。療養上の世話の介護が看護師の不足もあり家族や付き添いの人に委ねられて仕舞った。そのために患者や家族、福祉関係者など周囲では看護職は医療の専門職であるとのイメージが定着し日常生活の世話をする人として看護職に期待する事が出来なくなった。しかし高齢社会の進展で病気や障害を抱える高齢者が増加し健康を守る為には生活援助無しの医療だけでは解決出来なくなった。看護職は医療に忙しくなり本来の業務でもある生活の世話までは手が回らなくなった。そして無資格者が看護業務である介護までを行わなければならない状況が常態化した。これを放置するわけにはいかずに、看護業務の介護を専門とする領域が確立した。1989年の介護福祉師法の誕生である。ナイチンゲールの考えた本当の看護は今の介護の中にある。良好な介護職と看護職との連携はこの事実の相互理解から始る。
ーシルバー新報 介護と看護ー連携で拓くケアの未来
全国高齢者ケア協会理事長 鎌田ケイ子
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