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前から年明けに指宿で開かれる薩摩狂句大会に誘われてはいた。「花」の兼題で一句送って置けば出席可能との事であった。しかし本格的大会に通用する句の作れる自信がなかったので躊躇っていた。誘って呉れた本人が大晦日、体調を崩し受診して再度参加を薦めた。その年には日本人3人がノーベル賞を受け国中が湧いた。咄嗟に「暗か世間(しゃば)、花を咲かせた、ノーベル賞」の句が浮かんだので判断してもらった。お世辞だとは思ったが、良い句だ、恐らく天になると褒められ、すっかり気を良くして早速書いて送った。句会の朝、緊張しながら会場に行った。顔見知りはホンの2~3人で多くは鹿児島各地からの参加者だった。競句大会は来賓の指宿市長の挨拶と席題「歩く」の披露で始った。私はかねて篤姫が幼年時代を過した今和泉周辺の往診をしている。NHKドラマが始り観光客が細い道を列を成して歩いているのに行き会って居た。その情景を詠んだ「篤姫ん面をして歩く今和泉」の句。他の人の句はそれぞれ票が入ったが私の句はゼロ。私はすっかり自信を失い恥ずかしさで居たたまれなくなった。先輩に愚痴をこぼした所、誰もがそのような経験があると慰められた。思い直して年末に投稿してある兼題の句に賭ける事にした。1人1句ずつ縦書きにされた句が横ならびに張り出され吟味のあと好きな7句を選び提出し集計がはじまった。私の句はベテランが太鼓判を押してくれてはいたが、また1票も入らないのではとハラハラ、ドキドキしたが、1票入たときには正直ホッとした。その後、選者が「地」に選んでくれた。この大きな落差に表彰式では面映いやら恥ずかしいやら複雑な思いですっかり疲れてしまった。
気に入っている自作の10句。
①至福吸つ やがちゃ厄介な 煙草ん病
②願げ込めっ床間めわぜ大で鏡餅
③篤姫で薩摩おごじょが株挙げつ
④ヨンさんの何処が良かとか女房嫉妬
⑤梅雨雲切れ目を狙ろてせこ往診
⑥薬よか医師ん笑顔い救われっ
⑦暗か世間華を咲かせたノーベル賞
⑧ジャンボ籤抽選ずいの大(う)金持ち
⑨負試合賦良(ふよ)か俄雨き救われつ
⑩見掛悪い案山子や雀ん悪戯(けすら)れっ