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2009.02.24 07:50 |  その他(一般)  |  でんさん  | 推薦数 : 0

レクイエム

(1)大きな支えを失う。  

外出中に突然の恩師の訃報に接した。次の日にお通夜との連絡を受けた。先生のお住まいは福岡である。一昔前は指宿から福岡に行くにはJRで7~8時間を要した。今は鹿児島中央駅から新八代まで九州新幹線が開通して半分の3時間30分で行ける。先生はまだまだお元気な頃、福岡で地震が頻発した時、お慰めしようと有志数人が日帰りでこの新幹線を利用し先生の自宅近くのホテルで奥さんともども楽しいひと時を過ごしたことが有った。その記憶もまだ新しい。通夜に駆けつけるために午前中の診療を済ませてすぐに車で鹿児島中央駅まで行き新幹線に乗った。同じ列車に同門の先輩、後輩が一緒になったので心強かった。天神近くの斎場にタクシーに乗り合わせ着いたときにはすでに周りは暗くなっていた。早速奥さんにお会いしお悔やみを申し上げて最後のご様子をお聞きした。先生は奥さんとマンションに2人暮らしであった。自宅でお風呂から上がり着衣をしている最中に大きな声がした。慌てて行ってみると仰向けになって倒れ、鼾をかいていた。救急車を呼び病院に搬送したが脳出血を起こしており翌日の早朝になくなられたとの事であった。お通夜の読経がはじまった。焼香を済ませご冥福をお祈りした。その間わずか一時間、すぐに博多駅に返し鹿児島行きの列車に乗った。窓の外はすでに暗く、列者は大きなビル群の間を縫うように走る。次々に現れる小さな窓の明かりを見ていると先生に師事し恩義を受けた諸々が自然に湧いてきてありがたさと悲しさが交錯し合い涙があふれた。(2)カンナ燃える。   平成18年1月。 初夏の路傍の土手に、緑の葉に映え鮮やかな朱色のカンナの花がすくと並んで立つ時期になると毎年のように思い出す。ローテート研修に麻酔科研修を終え外科医局に入りしばらくして、町立病院に出張命令が出た。初夏の海沿いの道を北へ車を走らせ3時間、やっとの事で病院に着いた。土曜日の午後であった。閑散とした病院内の一室で前任者の彼と引継ぎを済ませ隣接した医師住宅に案内された。これから数ヶ月ここで寝起きする所である。彼は大学での同期生である。画家を目指した時期もあった程の上手で手術記事には専門書にも劣らないほどでその出来栄えにいつも感心していた。部屋の1つにカンナを描いた大きな油絵が飾ってあった。ここに来る道すがら沢山のカンナの群れに出会ったがその花々より格段の鮮やかさに息を呑んだ。それよりも驚いたのは部屋中にウイスキーの空き瓶が転がっていた事である。彼は剛のウイスキー好きであった。部屋の様子はウイスキーを嗜みながら絵を描いている彼の姿を彷彿とさせた。今もその情景が目に焼きついている。彼は今この世にいない。昨年、手術を受け闘病中だったらしい。この春、突然訃報を聞いた。これまで毎年、素晴らしい絵の年賀状を貰っていたのに今年は貰っていない。闘病中だったのだ。心臓グループに入り医局生活を共に過ごし中央病院では共に働いた。その時、頑張り屋の彼は無理をし過ぎて臨死体験をするほどの病を得たが奇跡的に回復していた。あの燃える様なカンナの絵が今でも頭に浮ぶ。もっともっと素晴らしい絵を見たかった。

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