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認知症サポート医の役割     

 

1.認知症は軽いものを含め65歳以上の10人に1人がなるポピュラーな病気です。現在の認知症の人は170万人ですが10年後には250万人に増えるとされています。認知症の高齢者は環境が変わる事が一番苦手です。現在、認知症高齢者の半数の方が在宅で暮らしています。住み慣れた地域で暮らし続けるためには医療・福祉サービスを適時に適切に利用出来る環境づくりと本人と家族を孤立させない相談支援、緊急時の警察や消防などのサポート、地域住民が認知症の知識を持ち理解し日常的サポートなど総合的に支え合えるネットを作る必要があります。  

2.認知症は状態です。原因には多くのものがあります。物忘れが中心の症状で中核症状と言います。物忘れから現実世界との繋がりを失い、その不安から怒ったり、妄想、徘徊などの精神症状や行動異常が見られます。これを周辺症状といいます。介護を困難にするのがこの周辺症状です。認知症イコール徘徊とか妄想が出るのではなく、また認知症の全ての人に出るわけではありません。中核症状の軽い重いにも比例しません。その出現にはその人にかかわるなんらかの要因があり、周囲の対応の仕方に問題がある場合が多いのです。

3.記憶、判断力の障害や実行機能障害により周りの世界や人とのつながりが失われ、対応によっては家庭や社会生活、特に対人関係に支障を来たします。まず家族に始まり近隣関係から地域での対人関係に障害を生じ、さらに地域を巻き込む困難事態に発展する事もあります。

4.家族がかかりつけ医を受診した時の理由です。認知症の中心的症状であるもの忘れのみを理由として受診している割合は3.7%です。

5.それに対して、夜騒ぐ、怒りっぽい、暴力、徘徊など行動障害や精神症状を理由として受診している割合が3040%にのぼっています。家族に認知症の認識が薄いことを示す結果です。必ずしも認知症の早期に受診していない事が分かります。認知症の周辺症状の為に本人及び家族の生活のしづらさに困り果て受診しています。認知症の中心である物忘れそのものが生活障害を生じさせているわけではなく、環境や家族対応から出てきているのです。

6.地域住民を対象とした認知症に関する2001年の意識調査です。現在とは少し変わっているかもしれませんが家族が認知症の症状について誰に相談したかを示します。家族や友人・知人が半数以上の65%、かかりつけ医が27%とおよそ4分の1です。家族以外では、かかりつけ医の割合が最も大きいです。現在は認知症についての理解も広がり、地域で住民に密着して活躍しているケアマネージャーや介護従事者を介して地域包括支援センターに相談が持ち込まれ、掛かり付け医療機関、介護サービス事業所に繋がる事も多いと思います。

7.認知症高齢者を介護している家族は肉体的・精神的負担は非常に大きく、また周囲の無理解から孤立しています。実際に相談を受けた事例を示しました。

8.かかりつけ医の対応について調べた結果です。家族の相談に対し1/4のかかりつけ医が否定的な対応をしていました。もの忘れなどで相談した時,歳のせいで片づけられるのが代表的否定的な対応です。初期段階でのかかりつけ医の対応が、その後の経過を左右する事は容易に想像できます。相談先としてはかかりつけ医が最も多い事を考えれば、かかりつけ医の役割は重要です。

9.そこで、かかりつけ医は早期段階の気づきから、家族が認知症を理解して早期に対応する方法を教えて介護保険サービスの利用を紹介するなど地域連携の発信者になる事が求められます。日常診療での気づきをきっかけにかかりつけ医から地域包括支援センターに連携される方向、逆に総合相談・予防ケアマネジメント等の地域支援ネットワークからかかりつけ医に連携される方向の双方向の連携体制が期待されます。またかかりつけ医が地域住民に対して、普通の生活の中で認知症らしい変化の人があればすぐ相談に来るように啓発し、認知症高齢者の早期発見、早期対応をすれば、認知症を抱えたまま穏やかなその人の人生を過ごさせ得る事を理解してもらう事で認知症に対する地域住民の偏見が和らげられます。認知症高齢者を人知れず介護して困り果てている家族と認知症高齢者を支援する気持ちも高まるのです。

10.今まで述べたように地域の認知症対応に重要な役割のかかりつけ医に認知症対応のアドバイスや支援を行うと共に専門医療機関や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所やサービス事業所につなぐ役割をするのがサポート医です。サポート医は認知症診療に習熟しており県の指名を受けて、国の行う養成研修を受けます。平成17年度から養成が始り平成20年現在鹿児島県には16名います。サポート医は必ずしも精神科の認知症治療専門医でなく認知症への適切な対応を啓発する旗振り役です。認知症患者さんの診療を積極的に行っている一般医も多いようです。先ほども触れましたがその役割の主なものはかかりつけ医に認知症の早期発見・早期対応の重要性を理解して貰い、認知症高齢者とその家族を支えられるようにかかりつけ医認知症対応力向上研修を行うこと。地域包括支援センターと協力して認知症の地域啓発、地域支援ネットを構築し動かす事です。

11.認知症の多くは治る事は稀であり介護が中心に成ります。しかし医療が不必要なわけではありません。医療としては早期診断と進行遅らせる治療です。それに周辺症状の幻覚、妄想、攻撃的行動などの対応が有ります。そして身体の急性疾患やがんの治療もあります。これまでは認知症のあるために体の病気の治療を拒否するなどの病院も少なくありませんでした。そのためにも認知症に対応できる病院勤務医を増やす必要があります。国は認知症疾患医療センターを全国150箇所に作る計画です。出来た地域の地域包括支援センターには認知症介護に習熟した認知症連携担当者を置き連携を強化する予定になっています。

12.町を動かすのは行政ではなく住民の方々です。地域にある資源を点から線でつなぎ面のネットを創り上げ独居の高齢者、老々世帯を見守り孤独死を防ぎ、認知症による徘徊高齢者の早期発見や高齢者を狙った犯罪や虐待防止などにも効果があります。中心的な役割を果たす地域包括支援センターは、高齢者の総合相談支援窓口です。連携が進むと役割が各段に広がります。このほかにも市内の事業所やさまざまな団体の方々にも参加してもらい充実したシステムにして行ければ理想的です。

13.前のスライドで医療機関からセンターへ、逆にセンターから医療機関への連携について説明しました。連携が上手く行き認知症高齢者を支援できた事例を紹介します。

14.主治医がかかりつけ患者さんを認知症と把握できずその対応のまずさから連携が上手く行かなかった事例を示します。大切な連携のボタンを押すのはかかりつけ医です。

15.愛知県甚目寺(じもくじ)町地域包括支援センターの取り組みパンフレットです。なんと言っても支援センターは高齢者の駆け込み寺的存在なのです。

 

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