今、私はここに生かされている。この事実は自分自身が周りの状況に応じて選んだイエス・ノーの積み重ねもあるが私には何か大きな物に運命付けられていると思われてならない。私の父は私が今いる所で生まれ育った。そして母と結婚し満州に渡った。私が母のお腹に居る時に兵隊にとられソ連との戦闘の最中に死んだ。応召され入隊する時に生まれる子が男の子だったら自分の名前の1文字をいれた名前を付ける様に言い残した。私の名前は父が付けてくれた名前である。その後、日本は連合軍に敗れ、満州在住の日本人も追われる身となった。その様な混乱した状況下で私は生まれた。その時の日本人の運命は世界の2つのイデオロギーのせめぎあいに左右された。もしその事が無かったら私は今ここに存在しない。2つのイデオロギーとはソ連の共産主義とアメリカの資本主義である。日本には満州の日本人を連れ戻すだけの力は無かった。その時、アメリカはソ連共産党に対抗して満州在住の全日本人の本国送還作戦を繰り広げた。そして風前のともし火の私の命も救ってくれたのである。戦死した父の遺伝子を持つ私は偉大なるアメリカの意志によって、今の時代でさえ不可能と思われる帰郷を果し得たのである。父の帰りたかったふるさとに根付き、医師として病める人を助けている。神の意志のような大きな運命の力を感じている。

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