出産時脳性まひに補償金が下りる産科医療保障制度がいよいよ明日から始動する。 厚労省の外郭団体の日本医療機能評価機構が損害保険会社6社と契約して運営する。現在、分娩を扱う病院、診療所の98.6%が加入している。明日の1月1日以降に生まれ通常の妊娠、出産にも拘わらず重い脳性まひになった子供に支給される。これまで年に500~800人ぐらい脳性まひが生じている。1時金として600万円に20歳になるまで毎年120万円の合計3000万円が支給される。同時に第3者委員会は事故原因を検証し産科医療にその結果をフィードバックし産科医療の質の向上を目指す。保険制度の掛け金は分娩機関が1件の分娩当たり3万円を負担する。これは出産費用に上乗せされるが公的医療保険の出産1時金も1日から3万円が引き上げられるので妊産婦の負担は生じない。
(平成20年12月31日 読売新聞記事より)
(再掲) これで安心
先天性ではない出産時の事故によって脳性麻痺になってしまった子供に対し、事故が必ずしも医師の過失と立証されなくとも、一律3000万円を補償すると言う産科医療補償制度。制度を運営する予定の厚労省の外郭団体の日本医療機能評価機構は来年(平成21年)1月生まれの子供達から適応する事を決定した。この制度の仕組みは産科の医療機関が出産の一件当たり3万円の掛け金を契約した民間損害保険会社に掛けておき、通常の妊娠、出産にも拘らず重度の脳性まひになった子供に介護準備一時金として600万円を支払い、その子が20歳になるまでのあいだ介護費用として毎年120万円を支給する。申請は1歳から5歳までに行い、重症なら6ヶ月から申請が出来る。出産時の医療事故は医師の過失の立証が難しく訴訟になると長期化し易い。産科医療はリスクが高く、福島県立病院事件の影響もあり産科に携わる医師が減ってしまった。訴訟の早期解決と被害者救済が急がれると共に産科医不足にも歯止めを掛ける必要がある。
私が2006年6月に書いた 「医療ADR」の内容です。
同じ頃、産科医療補償制度の創設が日本医師会で議論されていましたが、早くも実現に漕ぎ着けました。
帝王切開手術中に出血し、救命に一生懸命尽くしたにも拘らず亡くなった事件で担当の産婦人科医が医療ミスの疑いで逮捕、起訴されました。医療界は思いもよらない成り行きにこぞって反発しています。医療には100%安全と言う事は有りません。不幸にして事故が起きたとしても一医師一要因だけが原因ではないのです。警察の捜査は個人の刑事責任追及に過ぎず大切な医療事故再発防止には役立ちません。事故が起こった場合に備えて患者をまじえた解決の仕組を考えるべきです。現状のままでは患者は不信を募らせて一方で医師は萎縮します。厚労省は診療中の予期しない死亡例を調査分析するモデル事業を実施中で原因究明には内部だけでなく外部から専門家を中心とした第3者を入れる必要があると指摘しています。事故、不満、誤解など患者と医療者間のトラブルを裁判外で処理する医療ADRの導入が各地で拡がっています。被害者側と医療者側の間に中立的な第3者を入れて話し合いで解決する仕組みです。感情的葛藤を持つ被害者側に立った対応が可能となります。医師は真の医療に専念出来て患者は安心して医療を受けられる環境作りの一つです。