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1。 意見書は介護サービスを受けたい申請者の希望に答えてあげるのに大切な書類です。適切な認定がされて必要な介護サービスを受けられる意見書を書くのが主治医としての努めだと考えます。高齢者の在宅医療をしていて感じるのは生活の支援無しでは在宅療養は成り立たないと言うことです。高齢者といっても元気な人から重度の介護を要する人まで様々です。手助けを必要として介護申請するのは軽度から重度までのいろいろな段階の方です。主治医意見書は介護認定審査会で要支援・要介護状態であるのか、また、その場合は要支援1~要介護5までのどの段階であるかを区分けするのに活用されます。
2。 要介護認定における介護度の区分けを認定調査項目を使って図式化しました。高齢者の機能低下の特性として要支援で「立ち上がり」「起き上がり」「片足での立位」等に一部見守りや支えが必要であり 要介護1では,「歩行」「身体を洗う」「お金の管理」「つめ切り」に支障が出て 要介護2になると,「ズボンの着脱」「移動」「日常の意思決定」と身体機能の低下だけでなく,精神面の機能が低下してきます。このように高齢者は心身機能の低下に始まり行動の制限や自己管理能力等の生活障害が徐々に起こってくることが分かります。
3 。 ここで生活機能について「ICF」モデルを使って説明します。生活機能には生命レベルの「心身機能」、生活レベルの「活動」、人生レベルの「参加」の3つがあります。それぞれは単独の機能でありながら一方で相互に関連し、そして健康状態,環境因子,個人因子が個々の機能に大なり小なり関与しています。
4。 生活機能についてわかりやすく示したものが,立教大学 高橋教授の示した「依存性増大のスパイラル」です。主治医が高齢者にかかわるきっかけは主に身体機能低下です。そこを振出しに矢印を辿ると各生活機能間の関連性がわかります。
5。 各生活機能間の関連性を事例で示します。生活機能の低下は,骨折を契機に図のようにそれぞれの機能低下は関連し合いながら進行して行きます。主治医としてこの悪循環を理解しておく必要があります。
6。 具体的には左回りに身体機能の低下→生活進行能力の低下→生活意欲の低下→社会的役割の喪失→閉じこもり、廃用というように身体機能が低下して行きます。主治医としては身体健康障害の状況だけに目を向けるのではなくその身体機能障害で生活状況がどのように変わり、どの様な生活機能障害が生じているのかを把握して意見書に記載します。同時にどのような生活支援、介護サービスが必要なのかを考えるべきです。特に身体機能低下に対してはリハビリテーションプログラム、生活遂行能力の低下にホームヘルプサービスなど生活支援が大切です。一つの機能低下の改善が関連した他の機能も改善します。それぞれの機能の全てに働きかけることも有用です。
7。 高齢者のカテゴリーの中で元気な高齢者や市町村がチェツクリストでスクリーニングした特定高齢者や介護認定審査での非該当者には「地域支援事業」が、要支援者には「新予防給付」,要介護者には「介護給付」が提供されます。
8。 市町村の一般高齢者施策としては,このように地域にある社会資源を有効活用した地域色豊かな事業が実施されています。
9。 特定高齢者に対しては通所事業や訪問事業が地域包括支援センターなどで実施されています。
10。 生活機能低下についてもう1度考えて見ます。これは先ほどの図ですが下肢骨折からの筋力低下、関節拘縮で移動に不安があったとしても適切なリハビリや心理的支援、高齢者やその家族の日常生活での積極的な取組みから歩行能力が回復して家事への関わりや外出の機会が増えて、閉じこもりなどが改善,解消されて行きます。
11。 介護予防とは高齢者が要支援、要介護状態になることを防ぐことであり、また要介護状態になっても状態がそれ以上に悪化しないよう維持・改善を図ることです。介護保険の基本理念である「自立支援」につながっています。かかりつけ医は日常の高齢者診療の中で「自立支援」の理念をもって高齢者の生活機能低下の防止と改善を目指すべきです。