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1       特定高齢者をスクリーニングするための基本チェックリストを紹介する。

2       このチェックリストは,要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者を早期に把握し生活機能の維持・向上を目指した取組みをして要支援・要介護状態になるのを防止しようという方針で使われているものです。市町村等からの依頼で皆さんも既に利用しているかと思います。

3       これから使うスライドは,東京都医師会東京都リハビリテーション病院が作成した「暮らしの元気づくり」という冊子の抜粋です。まず運動機能面の評価項目から加齢とともに身体の筋力やバランス機能が衰えていることに気づき,少しでも日常の中で筋力やバランス力を向上させるため,階段や立ち上がる際など日常生活行為を機能低下防止の機会ととらえて意識して体を動かすことが運動機能の低下防止に大切です。

4       次は口腔機能向上です。口の周りの筋肉は,食物を噛むことや飲み込むときに必要な筋肉です。口腔機能の低下は食物の摂取,嚥下,消化,肺炎の発症にも大きな影響を与えています。口腔のマッサージや日常の歯磨き,義歯の手入れは重要な介護予防です。要介護サービス提供時,高齢者の事故原因の一つである誤嚥や65歳以上の高齢者の死亡原因の第5位である肺炎の予防策としても口腔機能の向上は重要です。

5      栄養バランスの取れた食事は「元気」の源で独居の高齢者は栄養も偏りがちで低栄養から身体機能が低下する方もいます。 減塩やカロリー制限が必要な高齢者もいるが,大半の高齢者には,食事を楽しくバランスよく食べることが大切です。

 

 

 

 

6       高齢者にとり,地域の人々とのつながりや,友人,知人などのふれあいが生きがいになっていることが多い。家に閉じこもらないで,外出する機会をもち家庭の中で役割を見つけ,実行することを勧めて、何歳になっても社会参加ができるような支援が必要です。

7   加齢と共に人の名前や夕べのおかずが思い出せないなどの物忘れは誰にでも起こります。認知症と正常な物忘れを混同して,認知症の早期発見を逃さないようにして脳の活性化を図る働きかけを意識して行ない認知症にならない,なっても悪化しないような取組みを進める必要があります。

 

8     高齢になると身体機能低下に加え,友人,家族の死別などの喪失感が強くなりがちでうつ症状を呈する方も多い。予防に努めて「生きがいを作る」ことで充実した豊かな老後を過ごすような支援が必要です。

       以上のような特定高齢者のチェックリストを用いると日常の診療では把握できない高齢者の生活機能を把握することができます。高齢者に相応しい無理のない生活機能低下を防ぎ改善と維持につながる取組の助言やサービスの提供を行って下さい。何度も繰り返しますが、「かかりつけ医」に求められるのは意見書の作成で機能の低下が高齢者の生活にどのように影響を与えているかを記載して適正な審査判定をしてもらえるよう審査会に情報提供することです。「かかりつけ医」には,高齢者が自立する意欲や自己管理力を高めてもらうよう元気づくりの総合プロデューサーとしての役割など多種多様な役割が求められているのです。

10      次に意見書記載のポイントを説明します。まず,様式のねらいについて資料1と資料 2 をご覧下さい。事例1は実際に意見書として提出されたものです。

11 傷病に関する意見

12      ここで(1)は生活機能の低下を引き起こしている傷病の診断名と発症年月日の記載です。そして生活機能低下への影響の大きいものから記載します。

13       この事例では(1) 生活機能の低下を引き起こしている傷病の診断名や発症年月日を生活機能低下への影響の大きいものから記載すべきところを,発症年月日順に記載しています。

14       この事例は「不安定」としてありますがその具体的状況の記載が無く積極的医療が必要かどうか分かりません。

15       分かりやすい事例を示します。

16      「1 傷病に関する意見(3)生活機能低下の直接の原因となっている傷病または特定疾病の経過及び投薬内容を含む治療内容のポイント」はスライドのとおりです。

17       新予防給付対象者選定のための記載のポイントを紹介します。

18    配布した事例 1の抜粋です。

 

 

19      心身の状態に関する意見の項目の認知症自立度を判断する際の留意事項をあげてあります。

20      認知症の場合は,(2)の中核症状が必ず現れます。しっかり記載して下さい。

21      認知症の場合でも,(3)の周辺症状が現れない場合があります。平成21年4月の制度改正では認定調査項目から周辺症状の①幻視幻聴  ②暴言  ③暴行  ④火の不始末  ⑤不潔行為  ⑥異食行動の6つが削除されます。これ等は主治医意見書で代用されます。重度の認知症の場合、周辺症状として徘徊,⑤不潔行為  ⑥異食行動が出ることがあり、これらの症状が見られた場合は,「5特記すべき事項」に具体的な状況について記載して下さい。所でこれまでの認知機能と周辺症状から1段階、2段階上げる仕組みは無くなり、主治医意見書の記載から認知症介護に要する手間の時間を評価する1次判定ロジックが取り入れられるのではないかと期待している所です。かかりつけ医の利点を生かした認知症に関係した状態把握の優位性は発揮されることの認識を持ってしっかり記載して下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22      改善の必要な事例

23      わかりやすい事例

24      この欄には,要介護者が少しでも自立した生活や心身の安定を取り戻せるよう生活機能の維持・改善に着目し,栄養の改善,リハビリ目標の設定,疼痛の緩和、医学的管理の必要性,予防給付の適否等,適切なケアプランの作成に役立つ情報を記載します。

25      適切な歩行用具・装具の使用により,歩行ができるようになり,生活機能の低下を止められる場合があるので,現在歩行補助具等を用いていない場合でも,これまでに使用を試みた歩行補助具等があれば,その種類を「5特記すべき事項」に記載して適切な歩行補助具・装具の使用により,歩行距離が延び,生活機能の低下を食い止められる場合があるので,現在歩行補助具等を使用している場合は,その種類を「5 特記すべき事項」に記載してください。 

26      高齢者では,慢性的なエネルギー・たんぱく質等の補給不足による「低栄養」が筋力低下や身体機能の低下,感染症やじょくそう等を誘発し,生活機能の低下をきたします。要介護状態の改善,及び重度化の予防の観点から情報を記載します。また,「3.心身の状態に関する意見(身体の状態)」の身長,体重は必ず記載して下さい。

<本県の現状>低栄養の場合は,良く記載されている。肥満傾向の方について「現在の栄養状態:良好」の記載が多いが高齢者によっては,糖尿病や高血圧症などの合併症を併発している方も多く,生活機能のうち「移動」の機能低下が著明な方もいるので、そういう方についても,医学的観点からの意見の記載があればよりベターです。現在の栄養状態の「不良」の選択は① 過去6ヶ月程度の体重減少(約3%以上) ② BMI 18.5未満 ③ 血清アルブミン値 3.5g/dl以下  ④ 総合判断(①~までの指標が入手できない場合の み)のいずれか一つ以上に該当する場合に行い「不良」を選択した場合は,①~④のどれかに該当するかを余白に記載します。

32      介護支援専門員が,ケアプランを作成するにあたって参考にすることを考慮し,対処方針,緊急時の対応等の注意点を記入します。

 

 

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1。       意見書は介護サービスを受けたい申請者の希望に答えてあげるのに大切な書類です。適切な認定がされて必要な介護サービスを受けられる意見書を書くのが主治医としての努めだと考えます。高齢者の在宅医療をしていて感じるのは生活の支援無しでは在宅療養は成り立たないと言うことです。高齢者といっても元気な人から重度の介護を要する人まで様々です。手助けを必要として介護申請するのは軽度から重度までのいろいろな段階の方です。主治医意見書は介護認定審査会で要支援・要介護状態であるのか、また、その場合は要支援1~要介護5までのどの段階であるかを区分けするのに活用されます。

 

2。       要介護認定における介護度の区分けを認定調査項目を使って図式化しました。高齢者の機能低下の特性として要支援で「立ち上がり」「起き上がり」「片足での立位」等に一部見守りや支えが必要であり 要介護1では,「歩行」「身体を洗う」「お金の管理」「つめ切り」に支障が出て 要介護2になると,「ズボンの着脱」「移動」「日常の意思決定」と身体機能の低下だけでなく,精神面の機能が低下してきます。このように高齢者は心身機能の低下に始まり行動の制限や自己管理能力等の生活障害が徐々に起こってくることが分かります。

 

 。      ここで生活機能について「ICF」モデルを使って説明します。生活機能には生命レベルの「心身機能」、生活レベルの「活動」、人生レベルの「参加」の3つがあります。それぞれは単独の機能でありながら一方で相互に関連し、そして健康状態,環境因子,個人因子が個々の機能に大なり小なり関与しています。

4。 生活機能についてわかりやすく示したものが,立教大学 高橋教授の示した「依存性増大のスパイラル」です。主治医が高齢者にかかわるきっかけは主に身体機能低下です。そこを振出しに矢印を辿ると各生活機能間の関連性がわかります。 

5。       生活機能間の関連性を事例で示します。生活機能の低下は,骨折を契機に図のようにそれぞれの機能低下は関連し合いながら進行して行きます。主治医としてこの悪循環を理解しておく必要があります

6。       具体的には左回りに身体機能の低下→生活進行能力の低下→生活意欲の低下→社会的役割の喪失→閉じこもり、廃用というように身体機能が低下して行きます。主治医としては身体健康障害の状況だけに目を向けるのではなくその身体機能障害で生活状況がどのように変わり、どの様な生活機能障害が生じているのかを把握して意見書に記載します。同時にどのような生活支援、介護サービスが必要なのかを考えるべきです。特に身体機能低下に対してはリハビリテーションプログラム、生活遂行能力の低下にホームヘルプサービスなど生活支援が大切です。一つの機能低下の改善が関連した他の機能も改善します。それぞれの機能の全てに働きかけることも有用です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7。       高齢者のカテゴリーの中で元気な高齢者や市町村がチェツクリストでスクリーニングした特定高齢者や介護認定審査での非該当者には「地域支援事業」が、要支援者には「新予防給付」,要介護者には「介護給付」が提供されます。

8。 市町村の一般高齢者施策としては,このように地域にある社会資源を有効活用した地域色豊かな事業が実施されています。

9。       特定高齢者に対しては通所事業や訪問事業が地域包括支援センターなどで実施されています。

10。 生活機能低下についてもう1度考えて見ます。これは先ほどの図ですが下肢骨折からの筋力低下、関節拘縮で移動に不安があったとしても適切なリハビリや心理的支援、高齢者やその家族の日常生活での積極的な取組みから歩行能力が回復して家事への関わりや外出の機会が増えて、閉じこもりなどが改善,解消されて行きます。

11。     介護予防とは高齢者が要支援、要介護状態になることを防ぐことであり、また要介護状態になっても状態がそれ以上に悪化しないよう維持・改善を図ることです。介護保険の基本理念である「自立支援」につながっています。かかりつけ医は日常の高齢者診療の中で「自立支援」の理念をもって高齢者の生活機能低下の防止と改善を目指すべきです。

 

 

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