お年寄りの生きる権利と尊厳を守る仕組みには市町村の窓口や包括支援センターが関わる成年後見制度と虐待防止法(H.18.4)に社協の行なう地域福祉権利擁護事業(H.11.10)がある。個人情報保護法(H.17.4)の適正な取り扱いも含まれる。市町村には虐待の相談、通報が窓口が設置され住民への周知活動も行なっている。厚労省の把握した平成19年度の虐待実態数は19,971件で法律が施行された平成18年度より1581件も増加している。
在宅介護の虐待
市町村窓口に相談があり訪問調査で虐待の事実が明らかになったのは13、273件であった。被害者の77.4%が母親の女性でその69.2%は介護度2度以上の要介護者である。虐待には身体的、心理的、性的、経済的虐待の他に介護放棄がある。原因としては家族の在宅介護の経済的負担や精神的、肉体的苦痛から、虐待に走るケースが多い。また介護保険サービスの利用方法を知らないままに自分で介護を続け、ついに追い詰められて虐待に至るケースが殆どで、特に年老いた親とその息子の2人だけの世帯に多い。厚労省虐待防止推進室では地域のケアマネージャー等の介護の専門家に相談して欲しいとしている。市町村の虐待事例対応として虐待を受けた高齢者の保護と虐待者からの分離が35.5%で分離方法は介護サービスの利用38.2%、医療機関の1時入院が21%であった。
施設職員の虐待
施設職員からの虐待があるとして平成19年度に市町村の窓口に相談・通報のあった件数は379件、そのなかで虐待の事実が確認されたのは62件である。その発生場所はグループホーム19件(30.6%)、特老17件(27.4%)、老健9件(14.5%)の順であり、内容は入所者の暴行を加える身体的虐待が48件(77.4%)、激しい暴言を浴びせる心理的虐待19件(30.6%)、介護放棄10件(16.1%)であった。虐待の対象は女性が79%、年齢80歳代が39%、要介護度3以上が84%であり、虐待した職員の年齢は30歳未満が23.2%、60歳以上も10.1%、職種は介護職員が84.1%を占めた。

2008.5.26.の 再掲。
10年前の介護保険制度制定は親の介護に嫁や娘など女性が犠牲になっている状況にあり、女性を介護地獄から開放し介護を社会化するのも一つの視点になった。しかし、一人の政治家(現在の国民新党亀井議員)が介護の社会化により伝統的な家族の美風を壊すと反対し高齢者が一人で生活できるだけの支援提供ばかりでなく嫁など家族がまず主体となり、介護保検サービスの利用で高齢者の生活を支える部分的社会化となってしまった。時代は変わり人口構成の変遷とともに家族の規模は小さくなり、子供夫婦が家事、子育て、親までを介護すると言う伝統的家族モデルは崩れて来た。図に見るように高齢者に子供夫婦との同居は25年前の5割から2割と半減して、一人暮らしや老夫婦2人の世帯が半数を超えている。一方で単身の子供との同居は21%に増えて息子が介護している世帯も増えている。そして息子など家族が同居した場合は介護保険のホームヘルプサービスが打ち切られるなど矛盾も生じている。そのため子供が介護のために失職に追い込まれる例も多い。介護者による高齢者虐待も増えている。特に家事に不慣れな息子の虐待が突出している。少子化で人口構成も変わり、一人子として男女の別なく将来はどうしても介護者にならざるを得なくなっている。今の介護保険の枠組みは家族の変化に合っていない。
~26日付け読売新聞朝刊より。


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