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< 訪問看護の医療保険と介護保険の不整合 | メイン | 介護現場の労働力不足 >

 

来年、介護報酬改定が行なれる。毎月2~3回の割りで介護給付費分科会が開かれている。今はヒアリング・コンセントを行っており来年の1月には新しい介護報酬が決まる。日医執行部は来週から介護報酬改定に向けてのスタンスを決め、今日の協議内容や意見を踏まえた日医の方針を10月からの介護給付費分科会で発表する。

療養病床の再編について

九州各県が5~6月に行なった転換意向調査での療養型老健への転換予定は鹿児島で8%、佐賀の2割と少ない。これは4月に決まった療養型老健に対する介護報酬が低い為で転換を決めかねている医療機関が多いとの指摘は尤もな事である。当初、厚生労働省が医療療養病床の区分1は殆ど医療を必要としない。療養病床に入っている半数以上が在宅に帰れると見做し、今ある38万床の療養病床を15万床に減らすとした。この数字には全く根拠は無い。法的にも決まっておらず単なる目安でしかんかった。各方面からの指摘で再調査し数字を積み上げて今回22万床に修正したのは当然である。日医の試算では療養病床区分1の21%に区分2,3の全部の26万床が医療を必要とし2012年の医療・介護療養病床再編時には、介護療養病床に入っている分を含む介護施設15万床を合わせて41万床は必要である。法律では2012年に介護療養病床が廃止されるが医療療養病床が無くなるわけではない。介護療養病床を続けていても介護保険からの報酬が無くなるだけで医療療養病床として残る可能性もある。それまでに私達は介護療養型老人保健施設の介護報酬および医療療養の区分1、ADL3の885点は余りにも低いので1000点以上に引き上げる交渉をして行く積りだ。次回の介護報酬改定では5~10%プラス改定を要望していく。宮島俊彦老健局長ともこの事は約束済みである。今、慌てて介護療養病床を介護療養型老人保健施設に転換する必要は無い。介護報酬、医療報酬の改定の推移を見て決めれば良い。また従来の老人保健施設と新型老健の介護療養型医療老人保健施設のダブルスタンダードは療養病床を介護施設に移行させる為の誘導策なので、将来は従来型老健と新型老健の医療体制が同じであれば当然、解消させなければならない。首都圏と違い九州には療養病床を持つ有床診療所が多い。転換は難しいのではないかとの意見については有床診療所の病床を介護サービス利用中の急性疾患や慢性病憎悪時の入院や介護者のレスパイト等、ショート・ステイに利用したり訪問リハビリ中のADL悪化を入所させ短期集中リハビリを行い再度在宅に返すなどの機能を持たせる事も要望書に明記する。

介護保険への医師の関りについて

熊本県医師会のアンケート調査によるサービス担当者会議に医師の参加しない割合は66%で介護サービスへの医師の参加の少ない報告がある。鹿児島県医師会が医師が会議に出席する動機付けとして報酬で誘導する提案があったが日本医師会の考え方としては療養担当規則で報酬規定を設けると全ての会議に出席しなければならず忙しい医師にとっては大変な事になる。これは避けなければならない。在宅医療を行なっている場合は居宅療養管理指導料、外来で診療している場合は情報提供料で対応すれば良い。施行から8年を経過し住民にすっかり定着したかに見える介護保険制度だが主治医意見書の内容には未だに他職種の認定審査委員やケアマネージャーから評価されない不充分な記載例も多い。いまや意見書不要論まで出ているので医師は危機感を持つべきである。これから増える認知症の判定は難い。1次判定ソフトに主治医意見書の認知の中核、周辺症状の項目のチェックがインプットされて基準に応じて1段階上がるようになっている。この事も認識のうえ丁寧に記載されなければならない。高齢者医療・介護では生活と医療を一体として提供する必要があり、かかりつけ医としての立場で医療のみならず生活も支えるとの視点が大切である。認定審査やケアプラン作成を簡素化すべきとの意見が有った。書類の簡素化については先ほどその通知はあったが、その他の部分の簡素化には慎重であるべきで、日本看護協会が要支援など軽いランクでの意見書不要論が出ている。日医の考えとして介護保険サービスは多職種協働の元で医師のメディカルコントロールのもとで行なわれるべきであって主治医意見書を絶対の条件としている。

認知症の地域医療体制作りについて

認知症対応力研修会と認知症サポート医の関係の要点について述べるとサポート医は決して認知症を治療する専門家を想定していない。当初は確かにサポート医養成研修には多くの精神科医が参加して、専門化のイメージが強く、その機能が充分に利用されてこなかった。認知症サポート医は地域の認知症の対応の旗振りというかコージネート役であるとの再認識が必要である。地域包括支援センターは現在、良く動いて居る所とそうでない所がある。日医も同じだが、国はセンターに認知症サポート医を関わらせて地域における認知症対応と医療、介護、福祉関係機関の連携をスムーズに動かす事を考えている。今後は地域の医師会の関わり方が大事になる。

医療保険と介護保険の訪問介護について

介護保険での訪問看護を受けている利用者が医療の必要が生じた場合は特別指示書を出して医療保険を使って医療行為が出来る。しかしターミナルケアや褥創処置を除いて1ヶ月を区切って2日から14 日までの制限がある。それを超えると介護保険での対応となり医療保険が使えず必要な時に医療が出来ない事になる。当初、報酬を決める時の想定が在宅介護中の突然の病気や急性悪化時の医療対応はこれで充分との認識であった。この部分の見直しは夫々の改定時でも可能だが整合性を取るには4年後の医療と介護報酬の同時改定を待たなければならないと考える。

無資格者の医療行為について

介護現場での口腔内を超えての気道の吸引、経管栄養注入、インシュリン注射など無資格者の医療行為については日医としては基本的に反対である。医療従事者の居ない止むを得ない場合、本人と家族に充分説明し納得の上よく教育と訓練を受けた者が行なう事は事故が生じた場合の訴訟を避けるためにも重要である。法的に養護学校等での気道吸引などは出来るようになっている。将来は誰が責任を持つかを決めて緩和されていくべきで有る。

現在の大きな問題の介護人材不足について

10月には介護労働実態調査結果がまとめられ介護事業所の経営と介護従事者の実態を踏まえての介護報酬改定が行われる。7月の中間概要調査では業種、地域間の違いは有るが殆どの事業所で収支差率は低下している。今の低い介護報酬のままでは人材確保に充分な賃金が払えない。離職率は21.6%と他の産業の平均16.2%より高い。これを食い止める為には介護労働者の賃金アップしかない。そして次回介護報酬改定ではどうしてもプラスでなければならない。介護保険も社会保障費抑制のターゲットである。それ故、財源としては社会保障抑制分の2200億円の凍結や、来年度予算での重要課題推進枠3300億円に期待するしかない。介護人材確保は危機的な状況に有る。厚労省老健局の宮島局長は年末の財務省との間での介護報酬改定折衝では介護報酬5~10%アップの獲得に努力する事を約束している。

                               

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