平成16年に新医師臨床研修制度の導入以来、大学医学部の医師供給システムが崩れ地域基幹病院からの医師引き揚げで救急医療を担う勤務医の不足が顕在化して大きな社会問題化した。メディアを含め地方行政から政治までもがまるで日本全体が急に医師不足の無医村になつたような騒ぎ様である。もともと日本は医師不足状態にあるはあった。それでも年毎に医師数は増加している。決して医師総数が減少しているわけではない。地域の急性期医療を担う病院の勤務医が不足しているのである。その多くが開業に走ったとも言われている。厚生労働省の統計を使い調べたある論文の結果によると平成14年と平成18年での勤務医と開業医の比率は変わっていない。ところが勤務医の勤続年数を比較してみると平成18年では平成14年の70%短縮している。これは勤務医の転職先が多様化、流動化している事を意味する。入院期間の短縮などでベッド回転を早くしなければ財政的に運営できない急性期病院に勤務する医師は24時間365日の救急対応を強いられている。さらには当番明けの日まで平日の通常勤務をしなければならないところも多い。また救急の重症疾患を扱わねばならず訴訟リスクも大きい。今、多くの勤務医師が疲弊し辞めて行く。残された勤務医はさらに加重労働を強いられる悪循環が生じている。特に30歳代後半の中堅層が急性期を担う基幹公立病院を辞め慢性期を扱う比較的仕事の楽な民間病院に転職している可能性がある。またフリーの形態で不定期労働契約の医師も出てきている。そのほうが責任も無いし自分の自由な時間が持てる。短時間働くだけで勤務医時代と収入も差が無い。医師数を増やす為に医学部入学定員を増やす事が決まった。現段階では医師を増やす事は重要とは考えるがいくら増やしても病院の勤務システムが変わらなければ現状は動かない。

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