先天性ではない出産時の事故によって脳性麻痺になってしまった子供に対して、事故が医師の過失と立証されなくても一律3000万円を補償する産科医療補償制度。制度を運営する日本医療機能評価機構は来年(平成21年)1月生まれの子供達から適応する事を決めた。この制度の仕組みは産科医療機関が出産一件当たり3万円の掛け金を民間保険会社に払い、満が一、事故が生じたときに介護準備一時金として600万円、その後20歳になるまで残り2400万円を介護費用として分割支給する。申請は1歳から5歳までに行い、重症なら6ヶ月から申請出来る。出産時の医療事故は過失証明が難しく訴訟になると長期化し易い。産科医療はリスクが高く、福島県立病院事件の影響もあり産科に携わる医師が減ってしまった。訴訟の早期解決と被害者救済が急がれると共に産科医不足にも歯止めを掛ける必要があるのです。
私が2006年6月に書いた 「医療ADR」の内容です。
同じ頃、産科医療補償制度の創設が日本医師会で議論されていましたが、早くも実現に漕ぎ着けました。
帝王切開手術中に出血し、救命に一生懸命尽くしたにも拘らず亡くなった事件で担当の産婦人科医が医療ミスの疑いで逮捕、起訴されました。医療界は思いもよらない成り行きにこぞって反発しています。医療には100%安全と言う事は有りません。不幸にして事故が起きたとしても一医師一要因だけが原因ではないのです。警察の捜査は個人の刑事責任追及に過ぎず大切な医療事故再発防止には役立ちません。事故が起こった場合に備えて患者をまじえた解決の仕組を考えるべきです。現状のままでは患者は不信を募らせて一方で医師は萎縮します。厚労省は診療中の予期しない死亡例を調査分析するモデル事業を実施中で原因究明には内部だけでなく外部から専門家を中心とした第3者を入れる必要があると指摘しています。事故、不満、誤解など患者と医療者間のトラブルを裁判外で処理する医療ADRの導入が各地で拡がっています。被害者側と医療者側の間に中立的な第3者を入れて話し合いで解決する仕組みです。感情的葛藤を持つ被害者側に立った対応が可能となります。医師は真の医療に専念出来て患者は安心して医療を受けられる環境作りの一つです。
