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篤姫の里、指宿市街地の東に、海から直接せりあがるなだらかな山、魚見岳がある。私が朝な夕なにみて育った。その名の通り頂からは四方に大海を見渡せ魚の群れを直ぐにも見つけられそうな気になる。市内の西側から見ると蚕が這った形をしている。海の向うの雲居には大隈の山々が青く連なる。麓から曲がりくねる広葉樹のトンネルの山道をのぼるり切ると平らな広場に行き着く。車も相当停められる。春は桜で埋まり、秋は紅葉で染まる。かって明治の歌人、与謝野晶子、与謝野寛夫婦はここで遊んだ。寛が読んだ短歌の碑が建っている。最も高い場所にはビルディングを思わせる程の大きな鉄塔が立っている。その下に展望台、横には指宿市街へ向けハンググライダーの踏み台も設えてある。展望台に登るとその絶景に目が眩む。まるで鳥になった気分を味わえる。南には佐多岬から東シナ海。西になだらかな稜線の続く南薩の山並み、その向うに開聞岳が頭を覗かる。東に高隈山が雲の上から首を出す。錦江湾の煌めきの北には櫻島がかすかに霞む。山すその沖合いに大小2つの島が浮いている。大きい島との海べりの間の海峡は干潮時には砂洲で繋がる。昨日の晴れて爽やかな夕方、思い立ってこの山に登った。登山者は私以外は誰も見当たらず夕暮れ時の素晴らしい風景を一人占めした。



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