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午前中の診療を正午で切り上げた。午後休診の札を出してある。厨房に昼食のおにぎりを作ってもらった。車の中でお茶と一緒に流し込む。学会は1時開始だ。平日の昼間の道は空いているので会場の鹿児島まで1時間でいける。演題発表までには何とかギリギリ間に合うだろうと考えた。それでも途中赤信号に会うと焦ってしまう。市内への入り口のトンネルを出た時、ラジオの時報が1時を打った。医師会館にたどり着き席に着いた時、会長の挨拶が丁度終り最初の演題発表の始まる所であった。あせっていたのは第50回鹿児島県公衆衛生学会発表演題18題の採点を依頼されているからである。演題の中から優秀な2つが11月福岡で開かれる日本公衆衛生学会にエントリー出来る。選考委員の責務は重大なのである。各地域の保健所を中心に大学、衛生研究所からの応募があり、テーマも歯科保健、成人保健・健康教育、感染症それに環境衛生・公害部門のセクションに分けて発表された。今年は子供の虫歯予防に関係したフィールドワーク、メタボリック症候群対策、特定保健指導・健診、産後うつ病、エイズ、ノロウイルス、湖水や海水のCOD検査による水質検査、水道水の塩素濃度測定など環境関係の発表があった。内容の斬新性、発表態度、図表の分りやすさ等を基準に採点を行なった。地域の産科病・医院と連携した産後うつ病の研究、水質検査による環境汚染調査、生活習慣病予防にメールによる動機付け研究など興味有るテーマが多かった。発表テーマで今、地域にどのような公衆衛生上の問題があり、どのような取り組みがなされているかをうかがい知ることが出来た。話は変わるが感染症、環境汚染などは社会全体で守ると言う視点が大切である。感染症はすでに克服されたような感覚にも拘らず日本は麻疹輸出国といわれ、結核も途上国並みで北朝鮮でさえ使われている乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するHibワクチンもまだ使われていない。不活化ワクチンの100万分の1の確率で発生するギャランバレー症候群などの健康被害を恐れるあまり感染症行政が萎縮している。その結果、グローバルスタンダードから取り残されている。感染予防効果の大きいワクチン接種は集団の安全を優先するの社会防衛である。一方では社会防衛は個人の安全の積み重ねであると主張する学者も居るが公衆衛生は地域全体が良くならなければ意味が無い。

第49回鹿児島県公衆衛生学会

http://blog.m3.com/den/20070519/1 

平成19年5月18日第49回鹿児島県公衆衛生学会が県医師会館大ホールで県の保健医療福祉環境部を中心に県下各地域保健所の関係者200人余りが参加して行われた。演題数16でその中の優秀な2つの演題を10月に愛媛県で開かれる日本公衆衛生総会に出す事になつて居る。私はその選考審査員として出席した。演題は歯科保健・保健活動、成人保健・精神保健、感染症・医動物そして環境衛生に分けて発表された。フッ化物洗口の虫歯予防、災害時の精神障害者、難病患者、高齢者など介護見守りが必要な災害時要援護者の緊急避難体制のあり方、保健所におけるエイズ相談、検査の有り方、うつ予防、自殺対策の取り組み、奄美大島を中心にしたリケッチア病原体の検索、焼却炉ダイオキシン排出規制の効果の検証、鹿児島湾の溶存態COD濃度上昇要因考察、妊婦の健康管理など多岐に渡っていた。今年の特徴としては昨年生じた県北部豪雨災害に際し身体的精神的弱者の避難状況調査から避難対策のあり方を考察する研究が目立った事である。蔓延の危惧されているエイズ対策では平成17年度から保健所でHIV即日検査が導入されたがいまだに利用する人が少ない現状からその啓蒙とプライバシーを尊重する遣り方を考察した発表があった。また高齢者の鬱、閉じこもりなどにたいして運動療法を取り入れた介護予防に関する演題もあった。現在の公衆衛生の課題は新型インフルエンザなど感染症、地球規模の環境汚染、鬱など精神障害からの自殺などの予防対策で根気の要る対人援助を考えたフィールドワークが必要であり、環境汚染などは緻密なデータ収集と分析が必要である。皆さんの努力に頭が下がる思いであった。

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