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先日指宿地区の同門会があった。少人数の集まりではあるが年齢の幅は広い。宴もたけなわになった頃、その日、幹事から指名された人に話題としての1つのテーマを考えてもらう。それに沿って自分のことを出席者全員が順番に喋らなければならない。今回のお題は「華のある話」になつた。しかし今の医療環境下では医者の誰もが華のある話を持っている筈も無い。ある人は戦時下の国民学校での苦労した思い出を話した。皆が聴いていてくれるだけで嬉しかったのだろう、話に華があつた。別の人はインターンで皮膚科をローテイトした時のエピソード、それもバラの話を披露した。親父さんの後をついで開業した若い人は、去年お子さんが生まれた。かわいくて仕方がないらしい。仕事場と住居が近いのので診療の合間の患者さんが途切れた一寸の間にも子供さんと遊びに自宅に帰り看護婦さんからの呼び出しが億劫になってしまうと楽しそうに話していた。もつともこの方は2回も南極越冬隊に参加した人でその為なのか、お嫁さんは後回しになってしまい、花嫁は皇帝ペンギンの中からかもと冗談を囁かれたエピソードの持ち主ではあったが、帰国後、目出度く結婚された。息子思いの病身のお母さんが亡くなる前には赤ちゃんも生まれた。それだけに華がある話であった。私はと言うと、年に1回職員全員で力を合わせ地域を巻き込んだ祭りを開いている。私の伝の字を取って「伝ちゃん祭」、今年は5月13日と決めて去年の祭りの後すぐから準備をして来た。ところが今年は早くも時期はずれの台風1号が生まれた。その為、いつもより梅雨前線が不安定になり丁度予定の前後の天気予報は雨ばかり、それでも諦めきれずに祈る毎日。BSウエザーニュースに一喜一憂。所がである。雨のオンパレードのなかで13日の午後に曇りが点いた。祭りは3時からの始まりだ。当日も朝から非情の雨、しかし私は信じ続けた。係りのどうしますかの伺いにも大丈夫と言い続けた。12時ごろ雨が止み少し晴れ間が出てきた。私は得意満面。しかし再度雨雲が西から張り込んできた。ウエザーニュースのレーダー画面の雨雲を検索、3時には雨雲が抜けると予想した。それをみんなに伝えるが信じない。庭には強い雨で水溜りが出来てきた。ところが予定の時間の前から西の空が明るくなると共に3時にはぴたっと雨が上がつた。そして青空が覗いたのである。少し遅れたが急いで舞台を整え祭りを始めた。盛り上がったのは私ひとりだったかも知れない。しかし皆の顔には祭りの花が咲いていた。あまりにも私的些細な話であるがそれ以外に良い話がない。