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私の経営するグループホーム「えがお」が遠足を予定していた日曜日は雲っていたが、お年寄りにはかえってしのぎやすい行楽日和となった。酸素吸入をしている方や車椅子でやっと移動出来る利用者も含め、スタッフの運転する小型バスに乗り込んで、広い芝生のグランドのある高齢者交流センター菜の花館に出かけた。家族にも声かけして同伴してもらった。このグループホーム入所まではきわどかった家族関係もすっかり良くなり打ち解け合い微笑ましい会話が聞かれた。広いグランドでは幾チームかがグランドゴルフに興じていた。その片隅の芝生の上にシートを敷き車座になりプレイを眺めながら持ち合ったお菓子をわけあって食べ楽しい団欒となった。うれしくなるとたまらず踊りだす利用者が居るが、さっそく歌いながら踊りだしたので皆もそれに合わせ手をたたいて合唱した。夫々に好きな得意とする歌を持つている。順番に披露してもらい一緒に皆で歌った。そのうちに注文してあった弁当も届き楽しい昼食となった。私も皆の輪の中に入り弁当を拡げた。半分ぐらい食べた頃に突然に頭の上で音がしたと同時に手に持った弁当箱が地面に叩きつけられた。何がなんだか分らなかった。後ろから誰かがバレーボールを投げつけたかと思った。呆然としていると隣で食べていた妻が鳶が急降下し、弁当に突っ込み中身が散乱した瞬間飛び上がって行ったと教えてくれた。そういえばチラッと茶色のものが目の前を横切った気もしていた。空を仰ぐと鳶が旋回している。折角のおいしい弁当を駄目にされて悔しかったが生まれて始めての経験にすつかり驚いて仕舞った。皆も怖がっていたが災難は私一人で済んだ。周りを見回した所、鳶に弁当を狙われるので注意!と立て札が立てられており、良くある事らしい。弁当のおかずにはあぶらげが入っていた。それを狙ったらしい。館内にイベント館がありそこでは今、篤姫を紹介する「いぶすき篤姫館」が開かれている。折角なので皆で昼食後は見学した。鹿児島市にも同じ催物がある。宮崎葵が撮影の合間に指宿を散策した様子を撮った映画も上映されており、スクリーンに写る故郷に声を上げて見入っていた。映画の中で宮崎葵が指宿のひかりにあふれた明るい風景は江戸時代とは少し変わって居たとしても篤姫も眺めた景色だと思うと感慨深く演技するのにも役立ったと語っているのが印象に残った。

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在宅診療をしていると患者さんの家庭でのさまざまな姿を見る。家族に囲まれて大事にされて幸せに過ごしている人、片や独居で締め切った部屋でゴミの山に埋もれて過ごしている人、自分なら一時も居れない寒い吹きさらしの部屋で平気で生きている人。そこには私が当然こうあらねばならないと言う考えや思い入れが通じない程の様々な人間ドラマがある。ところで生きる、老いる、病む、死ぬ事など人間の自然の営みへの関わりが家族の機能である。日本のかっての家族制度が崩れて、核家族化が進んだ。核家族化は自分達では家族機能を果せなくしてしまった。特に老いを家族の内部に受け入れる場所をなくしてしまい、老いを支えられなくなっている。老人達は行き場を失った。家庭外への疎外は棄老に繋がる。現代版姥捨て山である。一見豊かに見える日常にあって、何気なく通り過ぎる家々の内側には多くの人が打ち捨てられて住んでいる。それを防ぐために作られたのが介護保険制度の創設で有ったし、今回の高齢者医療制度のはずである。その理念は間違いはない。しかしその手法に拙劣さが目立っている。

  2008.4.26  読売新聞  時の余白  芥川喜好さんの記事に動かされて

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