香港でインフルエンザが流行して何人かの子供達が亡くなった。今、分っているのは在来のウイルス株のインフルエンザだとの事だ。新型インフルエンザのパンデミックが危惧された緊張状態下での突出した流行なので世界が驚くのも無理も無い。厳重な監視が肝要ではある。医学の歴史の中で数知れない医学者の群れがその撲滅のために精魂を注いで来た。抗生物質の出現で制御可能とまで言われ、古典的分野と軽く思われがちな感染症である。しかし耐性菌、新興ウイルス、ウイルス変異など困難な壁にぶち当たっている。これまで石を積むような苦闘の末に蓄積されたあらゆる治験を駆使して対応していく以外に方法はない。万が一にも新型インフルエンザが発生したとしても、それはこれぞ新しいインフルエンザであるぞとの顔をして鳴り物入りで現れるわけではない。全世界の医療者が新しいインフルエンザの発生の可能性を常に頭に診療を行って気付きいち早い情報の伝達が大切である。たとえば人が水中でおぼれる時、大概の人がばたばた大声をあげ騒ぎながらおぼれると考えがちである。そうではなく多くは誰にも気付かれずに静かに水中に沈んで行く。新型インフルエンザは世界中の何処でも発生する可能性がある。特定の地域とは限らない。従って、かねてからいつもの風邪と思っても熱があればマスクをしてもらい周りの人から離す事はまず基本である。各県で新型インフルエンザが外国から侵入したことを想定して物々しい訓練をしているようであるが、それよりもまず私達が日常やって来ている流行性疾患対応の手順をきちんと守る事から始めたい。何よりもまず風邪に罹った人は他人に移さないために外出を控えマスクをする事が公衆衛生上のエチケットである。この事の啓蒙が大切である。中国産餃子中毒事件が良い例である。
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