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純心大学の取り組み「優しい網の目推進講演会」の2日目。金子満雄・日本早期認知症学会理事長の講演に引き続いてNHKチーフディレクター小宮英美さんの「本人の立場から考える認知症ケア」の講演があった。2時間にわたる講演の前半は小宮さん自身で制作・放送した2005年3月4日付けNHKテレビ、にんげんドキュメント、「ふたりの時を心に刻む」が上映された。アルツハイマー病を発症して10年、重い認知症のある越智俊二さんが妻に支えられながら生きる日常を追ったドキュメンタリーである。越智さんは2004年10月、京都で開かれた認知症世界会議の認知症の人が勇気を出して自らの不安や希望を語るセッションで「本人の思い」と題して日本人で初めてその心情を語った。「物忘れになって10年になります。病気になった事は本当に悔しいです。家族や周りの皆さん、物忘れになってもいろいろな事が出来ます。考える事も出来ます。諦めずに生きていけるよう、安心して普通に暮らしていけるよう、手助けしてください。」「私の望みは病気が治って選手交代して母さん(奥さん)を楽にしてあげたい。母さんがいないと生きられないのに母さんがだんだん階段を下りるように記憶から消えてしまう気がする。」と訴えた。会場のあちこちからは啜り泣きが聞こえた。私も涙が頬を伝った。今、痴呆の人の声に耳を傾ける動きが広まっている。オーストラリアから来日したクリスティーンさんは「認知症になっても自分自身が無くなるわけではない。偏見を捨てて欲しい」と訴えた。現在グループホームは9437箇所も出来た。小規模ケアの充実が認知症高齢者観を変えている。記憶障害など不安に悩みながら何とか生きようとしている認知症の人を「普通の人」と捉え、苦手なものを取り除き出来るだけ自分の力で生活してもらい、家族や友人から切り離さす事無く安心して暮らしていけるようにする。小宮さんが良く知るグループホームでは食事のメニューを利用者みんなで決めて、良く行く店に出かけて行き材料を買う。そしてテーブルの上に広げて皆で料理に取り掛かる。結講上手くいっているそうだ。やらせのレクレーションではなくやりたいことを夫々白板に書かせて主体的に遣ってもらう。みんなが普通の社会的存在として働いて周りから有難うと言われたいのである。抽象的に考える認知症は存在しない。その人に応じた大切なものを見誤らない生活を組み立てて上げる事が必要である。見守り者がこうでなければならないとか、こうあるべきとの押し付けは絶対避けるべきである。夫々の周辺症状にはそれなりの理由がある。その症状を取り上げて騒ぐ介護者のほうが認知症の人には不思議でならないのである。危険でなければ「ま、いいか」の気持ちが大切である。認知症の人の中に異常があるのではない。その人を取り巻く人、環境にも問題がある。異常な環境の中で異常にならない人が異常なのであるとアウシュビッツ収容所を経験した人が語っている。また認知症の人はその瞬間瞬間には普通の判断力が働くが記憶障害のために時間の流れに沿った場面を組み立てられないのである。そのことを悩み苦しんでいる事を理解してあげて手を差し伸べて欲しい。と締めくくられた。

 

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 http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/gakusei_jidai.htm

暖かさの戻った日曜日の朝、新聞を拡げた。認知症の講演会の記事と講師の名前に目が行った。NHKによく出ている脳外科医の金子満雄さんとディレクターの小宮英美さん。時間は午後からになっているが場所が100kmも離れている川内市鹿児島純心大学で少し遠い。幸い入院の患者さんも落ち着いている。ドライブで春の陽気を楽しむのも悪くない。午前中早く2~3人の急患を診た後、車内で食べる弁当を買い込んで出発した。国道は指宿に向かう車がいつもより多い。県外の車も目立つ。篤姫効果なのかも知れない。道沿いの白梅、紅梅は盛りを過ぎ桃の花のつぼみがチラホラ開き、満を持して春を待つている。国道を離れ山並みの頂を走る南九州自動車道にのる。周りは山また山でその切れ目の山合いに人家の塊が行き過ぎる。行きかう車も少ない。時々使う分にはすこぶる便利ではある。申し訳ないのだが恩恵に与りながも考えた。高いガソリンを使いながら走っていることも含めて自然を壊し、高い金を使って贅沢な道路を作ったものだと思う。道路特定財源の問題を肌で感じた。会場の大学は海を前面に川内市街を抱くように南北に控えるなだらかな山脈の山すそにある。閑散とした高台に修道院を思わせる瀟洒な学舎がチャペルと共に並んでいる。講堂はゆったりとして天井も高い。まず金子先生の「早期なら認知症は防げる、治せる」の講演から始まった。脳外科医の先生は実践を通して得た経験を元に自論を展開した。本当のアルツハイマー病は5%で脳血管性の痴呆は2%に過ぎない。その殆どが喜怒哀楽の感性を欠いた生活習慣が原因の痴呆である。65歳以上の人の3割にボケが見られる。このボケを小ぼけ、中ぼけ、大ぼけに分けると2:2:1になる。小ぼけ、中ぼけは治せる。大ぼけは介護を必要とするが何をしても治らない。日本の痴呆に対する認識の改革が必要である。記憶の中枢海馬はナメクジでも持っている。右脳を使う趣味を含め人との付き合いなど感性を取り入れた生活習慣が大切であると締めくくった。

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