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成長期にある小・中学生のスポーツ外傷および障害の予防を目的とした学校運動器検診のモデル事業を通して明らかになった学校保健とスポーツ医の関わりと今後の展望についてお話したい。現在の小・中学校での重要な健康問題としては①運動不足から来る肥満などの生活習慣病とその逆の②運動過多によるスポーツ障害、外傷と言う両極端の課題が挙げられる。2000年文部科学省はスポーツ振興基本計画に①生涯スポーツ社会環境の実現、②チャンピオンスポーツとしての国際競技力の向上、③児童生徒の体力向上を図るための学校体育の充実の3つを上げている。1997年の文部省の調査で運動部員がスポーツ外傷で一週間以上の活動を休む率は中学生で20%、高校生では3人に1人で障害では夫々12.6%と4人に1人であった。これまで日本臨床整形外科医会のスポーツ委員会は肘の障害は11~12才に最も起こりやすく高校生には肩に障害を起すのでその点に注意して運動時間、回数、方法などに工夫する必要があると提言して来た。しかしこの提言は生かされていない。未だに学校で起きたスポーツ障害および外傷が必ずしも整形外科医のもとを受診しておらず不適切な治療によって障害が残る場合も多い。その背景には地域、特に学校保健、学校健診、学校体育、クラブ活動など学校医として整形外科医が関与していない。それも法的に位置付けられていない事も大きい。保健体育審議会は1997年に、実態に応じて専門医や特別非常勤講師などを登用し相談対応、指導をする事が望ましいと答申しているが10年経った現在も実現していない。スポーツ医の活動に関係するアンケート調査ではその大部分は医療機関内で急性期および慢性期整形外科疾患の治療、リハビリを含め日常診療に従事している。その中でその資格や知識を生かし医療機関外で活動しているスポーツ医は1~2割に過ぎない。4割の人が地域住民や子供達を対象にした学校内を含め体育活動を通じ健康管理活動をしたいと希望している。それにも関わらずその切っ掛けをつかめないで居る。フィールドワーク事例について紹介する。小学生の野球肘は小頭傷害である。初期であれば9割が治る。進行期になれば半分しか治らない。変形を残し野球どころか日常生活にも困る事になりかねない。症状が出て整形外来を受信する野球少年の7割は進行期で有り、44%は終末期である。早く見つけて治療する必要があるが初期は3割に過ぎない。徳島大学は1980年代から野球部員の野外検診を行ない9割は初期で発見されている。ところが二次健診を勧めても経済的理由から3割しか医療機関を訪れていない。このように任意の検診には限界がある。このままでは子供達がかわいそうでありしっかりと法的に裏づけされた検診の必要がある。1994年に文部科学省の体育局長が学校検診での脊柱、胸郭の検査では同時に骨関節の異常、四肢の状態に注意する事と通達している。権威ある日本学校保健会が1996年に出した検診マニュアルの中に書いてあるが実現していない。やっと2004年に学校地域保健連携推進事業の中で、子供の健康を守る専門医派遣など学校における運動検診体制整備充実のためのモデル事業が始まったばかりである。そして「運動器の10年」日本委員会が2005年から学校における運動器検診体制の整備・充実モデル事業を開始した。成長期のスポーツ障害の早期発見、早期治療、学校検診での運動器障害などをテーマに徳島、島根、京都府、北海道で始められた。2007年からは宮崎 新潟グループも加わり6府県で行なわれている。新規に2008年4月からは子供の健康を守る地域専門家総合連携事業が始まる。その裏づけとしてスポーツ障害、運動器障害の早期発見、早期治療、検診体制モデル事業費として3億5千万が予算化された。そして学校での運動器検診のための予算として各県夫々に年間150万円が割り当てられている。現在このような法改正を含めたインフラ整備と平行して小・中学校の運動器検診に向けた動きが活発化している。鹿児島も県の保健福祉部に働きかけ是非、この事業に加わって戴きたい。これまでのモデル事業の結果から、京都の児童、生徒の運動器疾患の推定罹患率は小学生3%、中学生7.1%であり側弯、O脚、X脚、扁平足、真っ直ぐ歩けない、足を揃えてしゃがめない、腕をしっかり挙げられない等の多くの異常が見られてた。文科省調査の耳疾患2.36%、脊柱側弯0.22%心臓異常0.55%、喘息2.85%などを大きく上回っており内科、耳鼻咽喉科、眼科体制のみでなく整形外科医の積極的参入が望まれる。一次検診は事前アンケートを元に学校医が行いその評価から二次検診を整形外科医療機関で行い経過観察と医療機関受診勧奨とに振り分けている。課題としては検診方法のマニュアル化、精度の向上、標準化とともに任意検診では不十分な二次検診の異常を医療機関受診を勧めるなど法的整備が必要である。最後に自分達が関わっている活動を紹介したい。京都市医師会では毎年行なわれる小学生6年生対象にした大文字マラソン大会で1ヶ月前運動検診をさせてもらっている。最近は過熱気味で練習過多になり選手4人に1人に異常が生じている。勝つためには走るのを止めさせるのが大変な雰囲気にあるなかで選手の担任教師との対話を通じて指導している状況である。任意検診の限界でもある。

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