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危篤状態の患者さんを気にしながらの悶々とした日曜日が暮れて、なんとか今夜も持ちこたえてくれる事を祈りながら食卓に着いた。そこへ訪問中のナースから呼吸が少なくなって危なそうですとの連絡が入った。外は冷たい小雨が降り出していた。空を見上げ傘を差すほどじゃないと鷹を括って家を飛び出した。遠く人家の明かりが雨でチラチラけぶって見える。傘を持ってきたほうが良かったかもしれない。両脇にソラマメ畑の広がる道を車で急いだ。子供の頃よく山に畑に通いなれた道だ。長い事通って居なかったが患者さんの往診で頻繁に通るようになった。子供の頃は広くて大きな道に思えたが今は乗用車1台がやっとの事で通れる。慎重にハンドルを繰る。玄関を開けると土間一杯に履物が並んでいる。朝、娘さんに知らせる人には連絡するように話しておいたので急を聞き一族全員が集まったらしい。部屋に入ると患者さんのベッドを皆が取り囲み隣の部屋ではお孫さんか曾孫さん達らしい子供達の啜り泣きが聞こえる。患者さんに可愛がられたのだろう。少し圧倒されたが久しぶりに出会う感動の瞬間である。形どうりの死亡確認を行い、お祈りした。その顔は穏やかで家族の全員に囲まれそして看取られ尊厳に満ちていた。これこそ命のリレーである。娘さん、訪問看護師さんに労いの挨拶を済ませた。娘さんや家族の皆が揃って感謝の気持ちを述べながらお辞儀をしてくれた。患者さんは亡くなられたが別の意味で私の心はうれしい充実感で満たされた。訪問看護ステーションの集まりで訪問看護師は辛い仕事だがなくなられた時、家族から感謝された時の喜びが忘れられなくて続けていると話した看護師さんが居た。誰もがいつかは死ぬ。そのときどんな状況でなくなるかが大切な事である。遺族の1人が傘を忘れた私のことを慮っていいですよと断るのに車のところまで傘を差し掛けてくれた。

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