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Doctors Blog

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日本の超高齢化が進む中で65歳以上の18%になんらかの認知症が生じている。認知症をただ医療・福祉・介護関係者だけの対応に任せず日本社会の全体の問題として取組まなければ大変な事になる。認知症は人としての尊厳保持、基本的人権の擁護、虐待の防止など人間社会の根本問題と深く関わりがある。人の生きる意義、人生の終末期の有り方、家族のあり方など現在の日本が避けて通れない課題を突きつけている。医師として認知症を表面的にしか見ていなかった私自身が今強く感じている。

 

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認知症高齢者を支える制度ー成年後見制度

 新しい成年後見制度の概要。新しい後見制度は個人の自己決定権が尊重されている。従来の禁治産・準禁治産制度にかわって導入された財産管理から身上監護を中心にした制度である。

 

新しい成年後見制度

①任意後見制度が設けられた。

本人に判断能力があるときに後見人を選出し後見の内容を自己決定することが出来る。財産管理以外にも身上監護(医療、住居の確保、施設の入退所など介護、生活維持、教育、リハビリなど)が含まれる。

②補助類型が追加された。

軽度の認知症、知的障害、精神障害に対応して本人の申し立てや意見をもとに補助人の権限の内容や範囲を自由に選ぶことが出来る。

③財産管理から身上監護を中心とした制度となった。

法人後見あるいは複数後見が可能となった。後見人、保佐人、補助人、任意後見人のすべてに身上配慮義務を果たす規定が設けられた。

④これまでの戸籍への記載が廃止され、成年後見登記制度が新設された。

⑤これまでは親族に限られていた申し立て権が市区町村長にも付与された。

このことは「介護の社会化」に対応して「後見の社会化」といわれる。

 

高齢者虐待の現状

 高齢者虐待は、擁護されるべき高齢者がその介護する家族などから受ける権利利益の侵害で身体・生命の危険や生活に支障をきたす行為をいう。平成15年の一年間に4,877件の報告なされ、約20%は医療機関からの報告である。害者は日常生活自立度Ⅰ以上で何らかの認知症症状を有する高齢者8割、見守りや支援の必要な日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者が6割程度を占め認知症が虐待に大きく関っている。虐待するのは息子や嫁など身近な家族に多く長い介護に疲れ果てて虐待に至るケースが多い。高齢者虐待においては介護者への支援の視点も大切である。

 虐待には身体的虐待介護放棄・放任(ネグレクト)心理的虐待性的虐待経済的虐待が挙げられる。

 

 平成184月高齢者虐待防止法が施行され市区町村や地域包括支援センターが相談・通報を受理する体制が整備された。

 高齢者の権利擁護は勿論、介護者を支援するためにも、地域において早期発見・見守りと同時に医療や法律の専門家も参加した専門的相談・介護支援を中心とするシステムを構築する必要がある。

 

高齢者虐待防止における医師の役割

 高齢者虐待防止法には、◇保健医療福祉関係者は、高齢者虐待の早期発見、国や地方公共団体による高齢者虐待防止のための施策に協力すること

◇養護者や養介護施設従事者等により虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は市区町村や地域包括支援センターに通報する事とある。ー医師にもこうした責務が課されている。

  実際に起きた虐待事例をみると◇高齢者はかかりつけ医の受診機会が多い。「息子から頭を殴られた」と訴えて受診し「虐待の可能性」に気づいた事例がある(法が規定する虐待に相当するかの判断よりも本人の権利擁護を優先)◇身体的虐待が疑われる場合に、生命・身体の危険性や緊急性を、医師の協力も得て医学的見地から判断することが必要な場合もある

◇虐待者の中には行政や福祉関係者の意見は全く聞かないにも関わらず医師の指示には従うという事例も一部報告されている。

 

こうしたことから虐待の早期発見や未然防止にはかかりつけ医の果たす役割は重要でありかかりつけ医が認知症を含め高齢者虐待への理解に努める事が必要である。

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生活圏を基本としたサービス体系の構築 

     できるだけ自宅の規模を大きく逸脱しない小規模な居住空間

     家庭的な雰囲気・設えを工夫

     少人数の高齢者を少人数のしかも同じ顔ぶれのスタッフが支えるなじみの関係

     住み慣れた地域で必要な支援を受けながら暮らし続けられる日常生活圏域を基本としたサービス体系を構築すること。

 サービスとして

     グループホーム、

②小規模多機能型ケアサービス

③大きな施設の機能を積極的に地域に展開し

 施設そのもののあり方を問い直しユニットケアの普及に向けた施策を行なう。

 

介護保険の給付対象サービス 

 介護保険サービスには居宅サービスと市町村保険者が地域事情に応じて整備する地域密着型サービスの小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、グループホームに施設サービスがある。

 認知症に関しては地域密着型サービスがますます重要視されており施設サービスは難しい。

 

 

 地域密着型サービスの特徴 

 介護保険の見直しでは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることを支援するため、日常の生活圏域を基本とする「地域密着型サービス」という仕組みが新設された。このサービスは、主として市町村の圏域内の規模に留まる。

 

①市町村は「必要利用定員総数」を設定してサービス事業者の指定、指導の権限を持ちそこの住民だけが対象となる。

②市町村は、一定の範囲内で指定基準及び介護報酬の変更を行うことができる。

 入所定員29名以下の小規模特養、定員29名以下の介護専用特定施設、グループホーム、認知症専用デイサービス、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護の計6種類。

 

 

介護予防システムの全体像

 地域包括支援センターは介護予防ならびに地域支援事業を行う。新予防給付の対象者は要支援1と2の認定者で、運動器機能向上、口腔機能向上、栄養改善の3つのサービスがある。

認知症の場合は介護予防の対象から除外されるため包括支援センターが地域支援事業で特定高齢者をスクリーニングして通所系サービスで認知症介護予防が行われることになる。

 

 

 

介護予防サービス

 介護予防サービスは、介護保険サービス事業者が行う新予防給付と市区町村が行う地域支援事業に分かれている。

 新予防給付では、「本人ができることはできる限り本人が行う」生活自立支援を行うほか、「運動器の機能向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」といったサービスを導入した。

 地域支援事業では、介護予防サービスを「特定高齢者」、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上といった介護予防サービスを提供するほか、閉じこもり・認知症・うつの疑いのある高齢者を対象にした訪問・通所サービスを行っている。さらに、地域の高齢者全体に対し、介護予防に資する普及啓発や健康教育、健康相談にも取り組んでいる。

 

 

相談窓口

 認知症の相談窓口は、医療関係、保健関係、福祉関係、介護経験者等に分けることができる。医療関係ではもの忘れ外来など診断や治療と並行して相談に応じている。保健関係では保健センターや精神保健福祉センター等がある。保健師等の専門スタッフが相談に応じ関係機関とも連携する体制がある。福祉関係では、市町村に設置される地域包括支援センターや社会福祉協議会、介護経験者等の団体では「認知症の人と家族の会」がある。ほとんどの都道府県に支部があり、相談事業等の活動が行われている。

 

 

ケアマネが主治医意見書から知りたい情報

 適正な認知症の人のケアプランを作成には

①認知症の診断名、発症年月日

②その他の現病や合併症

③認知症や現病の治療内容

④認知症の程度(認知症スケール結果等)

⑤行動障害の具体的内容

⑥注意障害や視空間認知障害の有無

⑦介護に関する意見 

医学的観点からの介護の手間や状況を具体的に記入した意見書は実情に即したケアプランおよびサービス提供に役立つ。

 

 サービス担当者会議と多職種協働

 サービス担当者会議でのかかりつけ医の役割は、身体状況、投薬内容や副作用、なりやすい病態と対処方法、留意事項など情報とアドバイスが求められる。

 

 

 

 

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アルツハイマー型認知症の薬物療法

 

 認知症の症状に対する薬物療法の考え方を大別すると中核症状と周辺症状に対する薬物療法を区別しておかなければならない。

 治療開始時には、中核症状に対する薬物療法が可能であることを伝える。周辺症状がない場合でも、経過中必要に応じて薬物治療が可能であることを伝えておく。

 

アリセプトの効果

 

 アリセプトの投与でアルツハイマー型認知症の症状を数ヶ月から1年くらい改善させて進行を遅らせる。服薬を中断すると急激な悪化が生じる可能性がある。介護者や患者の薬物療法の正しい理解が治療への第一歩である。投与後直ぐに改善がみられなくても、長期的には進行を遅らせる可能性がある。

 

 認知症ケア

 

 周辺症状は薬物の副作用が原因である事もある。効いていない抗不安薬や睡眠薬などは一坦中止してみる。訴えの無い認知症患者の身体不調の診察はかかりつけ医の役割である。感染症、脱水、便秘などによって周辺症状が現れまた悪化する。

 攻撃性や興奮は不適切な介護者のケアが原因であることも多い。介護者のケアに問題が有ると思われる場合はショートステイなどを利用することも考慮する。 以上の対応によっても改善されず本人のQOLの低下に関る周辺症状には薬物治療を行なう。

 

 周辺症状に対する薬物療法

 

 周辺症状には適正なケアを心がけるべきであるが薬物療法が有効であることも否定できない。妄想すなわち抗精神病薬投与とは限らないが明らかなうつ状態やせん妄、睡眠障害である場合には薬物療法を考慮する。

 

 周辺症状に対するケアの試み

 

 感情面を改善させて周辺症状軽減をはかるためにデイケアやデイサービスなどでは多くの非薬物療法が試みられる。

 行動に焦点をあてた療法は、周辺症状が特定の対応やイベント、環境などで現れることが確認された場合に行動面から関わっていく方法である。

 感情に焦点をあてた療法には回想法がある。

 刺激に焦点をあてた療法に音楽やペットなどを用いたレクリエーション療法、芸術療法、園芸療法などがある。

 

連携編

 

認知症サポート医とかかりつけ医の役割・連携体制

 

 地域包括支援センター本来の機能に加え重要な事は外部の様々な支援体制を有機的に繋ぐ役割である。地域の認知症高齢者の早期発見・早期支援には日常診療での気づきをきっかけにして地域包括支援センターに繋ぐ方向 医療介護 総合相談・予防ケア・マネジメントなどの地域支援ネットワークからかかりつけ医に繋ぐ 方向 介護医療 の双方向の連携体制が期待される。同時に市町村、都道府県、サポート医、専門医療機関を含めた体制作りが不可欠である。かかりつけ医は「早期段階での気づき」「家族に対する理解や支援」とともに地域連携の発信者として最も相応しい。

 

ケアの基本

 

 認知障害が進行しても感情的な機能は保たれるので環境変化に適応するのが難しい。認知症高齢者の特徴を踏まえて日常生活の中で「生活そのものをケアとして組み立てる」事が望まれる。それには

 

     環境の変化を避け、それまでの暮らしが続けられる配慮をする。

 

   介護する側の決めた日課に沿った関わりでなく高齢者一人ひとりのペースに合わせたゆったりした支援スタイルにして安心感・安定感の醸成に心がける。

     一人ひとりの心身の力を最大限に引き出し(エンパワーメント)充実感のある暮らしを構築する。

 

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