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記憶は心そのものである。記憶の塊がアイデンティティーである。コンピューターをマイ・ブレインとも言う。記憶の仕組みの説明にコンピューターの場合を考えると簡単である。まず脳の記憶は目や耳など感覚器から入った情報は一旦、記憶中枢の海馬に送られ短期記憶として数秒間保持される。そして重要な情報は脳の各所の関係領域に配られて長期記憶として保存される。必要時に蓄えられている情報が取り出されて前頭葉に集められ処理、想起される。コンピューターにキーボードや、画像、音源からの情報がインプットされる。そのままでは次の動作を行なうと消えてしまう。そこで媒体に保存しなければならない。情報に応じたファイルに格納される。呼び出すときにはエクスプローラーが作動しファイルから必要な情報を取り出す。情報のインプット(登録)、保存、想起の過程が記憶である。コンピューターの媒体に容量不足や破損があればデーター保存が出来ない。認知症は登録された情報を保存する過程が傷害される。つまり情報の登録・保持機能の海馬および保存媒体である脳細胞自体に器質的変化が存在する。一方、老化現象であるど忘れは保存されている情報を思い出せない。しかし、何か一寸したヒントがあれば想起できる。コンピューターのエクスプローラーが壊れた場合、関連事項の検索で取り出すことも可能なのと同じである。情報刺激の繰り返しや何度も思い出す事でその情報はより強く脳に刷り込まれる。
人の脳は大脳、小脳、脳幹などから出来ている。外側の大脳皮質は人間の思考、言語、五感など高度な能力のを受け持つ。小脳は運動能力に関係する。原始的部分の脳幹は生命維持に必要な働きをする。大脳辺縁系は脳幹を覆い海馬と感情の記憶を作る扁桃体があり、海馬は記憶作りの始めを受け持ち、扁桃体は感情の記憶を受け持つ。小脳、大脳基底核は手続き記憶を受け持つ。同じ事を繰り返し覚えたり、思い出したりすると海馬を介さない結びつきが大脳に出来て長期記憶として大脳の各所に保管される。感情の記憶は海馬とは別のところで作られる。その証拠として「初対面」(実際は知人だが忘れてしまった)の人に懐かしさや親しみを感じ、逆に感情の記憶が傷害されると家族でも他人に思えるなど心の絆がおかしくなる。