腎臓ネフロンの糸球体内血圧はその入り口の輸入細動脈の自動調節能で50mmHgに調整されている。ところが全身高血圧、高血糖、肥満、高蛋白質摂取、喫煙等で輸入細動脈が拡張し、逆に輸出動脈は収縮する。こうなると糸球体内の血圧が上がる。その状態になると血中アルブミンが尿中に出る。この微量のアルブミンを検知して全身の血管内皮の状況が推測出来るのである。糸球体内皮の基底膜のコーティングの障害で生じるわけではあるがアルブミン尿と蛋白尿イコールではない。微量の尿中アルブミンが出ると言う事は全身の血管内皮の障害を示す。その証拠に尿中アルブミン検出と心血管エベント発生の頻度は相関している。極く微量のアルブミン尿がある場合には正常の2倍の発生頻度で心筋梗塞、脳梗塞が生じる。微量アルブミン尿と生活習慣病の糖尿病、高血圧、肥満、喫煙などとは密接なのである。生活習慣病健診でBMI1.28/SD unit 血中クレアチニン値1.3mg/dl、蛋白尿(+)、GFR60以下は要注意である。この状態を慢性腎臓病CKDと名づけている。現在、日本人の10%に見られ心筋梗塞など心血管リスクが高い状態なのである。それではこの糸球体高血圧を予防改善するためにはどうするか。勿論、高血圧、高血糖など危険因子を減らす事が第一であるが、ほかの薬物療法としては、輸入細動脈の自動調節能を改善するRAS阻害剤である降圧剤のARBやACEが効果がある。この薬を使用することでアルブミン尿がへり消失する。いわゆる腎保護作用が得られるのである。
固定リンク
九州南部は大雨に見舞われ怖い毎日が続いている。おまけに南方海上の台風4号が九州を目がけて北上中でもある。降り続いた雨で地盤の緩んでいる箇所も多く大災害が出そうで心配でならない。今度の雨は雷を伴いひっきりなしに稲妻が走り轟音が鳴り響いている。1年前横浜から引っ越した方が指宿の雨と雷はものすごい生まれてはじめて経験したと驚いていたが指宿育ちの私にも初めての激しさである。今月の7月28日、29日と目前に迫った全国有床診療所協議会総会の準備のための総仕上げ会合が開かれた。延長国会のあおりを受け1週間おくれての参議院選挙の投票日と重なった影響は大きい。いまさらぼやいても仕方が無いので皆真剣にシナリオを確認しあった。その後自由民主党有床診療所の活性化を目指す議員連盟の1人鹿児島県選出の保岡衆議院議員と語る会がおよそ2時間に渡って開かれた。今度の医療法改正で有床診療所の入院48時間制限は徹廃された。そして今年の1月1日からは特例を除いて有床診療所を新しく開業できなくなった。有床診療所のベッドも地域医療計画の地域割り病床数に組み込まれる事になる。しかし昨年の診療報酬改定では診療所の入院基本料は据え置かれ病院との格差が平均で6千円以上ある。ここ10年、1年間に全国で1000を数える有床診療所が減っているのはコストに似合わない診療報酬の低さなのである。日本の医療は国民皆保険制度に象徴されるように日本健康保険会社が経営する国営事業であり全ての医業報酬は法律で決まる。それほど医療は政治と密接である。政治なくして医政なし、医政なくして医療無しである。従って医療がよくも悪くもなるのは政治家が如何に医療の現場を知って施策に関るかに懸かっている。現在問題になっている医師不足問題、特に地方の病院の勤務医不足の問題は様々な要因が取りざたされている。その中にこの有床診療所の入院基本料の低さゆえに経営に行き詰まり閉鎖せざるを得なくなって、地域の入院医療の最大の支え手であった有床診療所が減ったための影響の現れであると言える。有床診療所はこれまでかなりのレベルの医療が出来ていた。ポピュラーな手術やお産は殆どが有床診療所が引き受けていた。医療は対人援助の医師と患者1:1の仕事の積み上げで出来ている。どうしても高度な専門組織医療の必要な場合は別として平生の医師対患者の関係は信頼を基本として成り立つ。かねてより知っており顔の見える関係でなければ成り立たない。殆どの人は健康な時は医療のことには無関心である。いざ病気になるとまず顔のみえる家族の誰かが関ったことのあるなじみの開業医に相談するのが普通であろう。かつては地域の何処でもその様な有床診療所があった。ところが全国に2万近くあった有床診療所はここ10年間にその半分近くが姿を消した。洪水の話に例えれば、今までは大雨が降っても森や畑がその大部分を吸収して調整され洪水が起こることはなかった。最近は森や畑が宅地になったり道路に変わって仕舞って降った大量の雨を吸収出来ず1度に川に流れ込んで洪水を引き起こすようなった。同じように地域医療において、これまで有床診療所が引き受けていた入院の必要な大部分の患者が有床診療所の減少でいくところを失い仕方なく病院に集中する事になりそこで働く勤務医に大きな負担が掛かり出して勤務医が逃げ出してしまったと言うのが真相であろう。これ以上の有床診療所の減少が続くならば事態はますます深刻さを増すであろう。
固定リンク