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 医療改革の方向                              

     日経新聞論説委員 渡辺俊介

日本経済新聞論説委員で,医療を中心として年金,介護を初めとする厚生行政を30年近く担当している渡辺でございます。県医師会長とは3年ほど前にお知り合いになったんですが,お世辞抜きに大変ユニークといいましょうか,こういった方が県の会長にいらっしゃるのかというのが率直な気持ちでございます。今日は何をしゃべってもいいから鹿児島に来いということで,喜んで参ったしだいでございます。少しでもご参考になる事を話ができればと思っております。今日のテーマであります診療報酬マイナス改定で今後の医療改革で病院,診療所はどういう風に成っていくのか,どういう生きる道があるんだろうか,といったことを私なりに申し上げてみます。レジメを作って参りました。衆議院本会議で健康保険法改正案が通過致しました。今後は参議院で審議が始まります。小泉内閣は40日間の会期延期をしました。これは健康保険法案を通す為と言っても過言でないわけです。法案は間違いなく成立します。そうしますと10月から老人医療における定率1割負担。上限1200円という,今に比べればかなり高くなります。病院診療所にお年寄りが参れば,必ず1割負担を払わなければいけない。それに留まらず来年4月からは69歳以下は全員3割負担,今の国保と同じになるのはほぼ確定で

す。あわせて政管健保の保険料も引き上げる改革が行われようとしています。小泉総理は昨年4月に総理大臣になった時に,医療も含めた医療保険制度の構造改革を行うと言いました。遡って橋本内閣の時に2000年度に抜本改革をやると言っていたのは当時厚生大臣の小泉さんでした。ところが抜本改革は,当時衆議院の解散総選挙もあって難しく,2001 年度は参議院の通常選挙があったために見送りになったわけです。2002年度に必ずやると,去年4月末に総理になった小泉大臣は本気になって改革すると言いました。本当の意味の改革ならば私たちも期待したわけでありますが,今度の2002年度改革は,総理がめざした抜本改革には程遠く,簡単に言えば財政のつじつまあわせに終わってしまったというわけです。内容を簡単に申し上げますと,新規赤字国債発行を33兆円にしなきゃいけない所を30兆に抑え財政再建をする。其の為には3兆円削らなきゃいけない。各省庁とも緊縮財政を組めということで,厚生労働省の社会保障予算と言えども例外ではない。3000億円を削れということで,医療費関係の国庫負担,つまり一般会計で削りましょうと云う事になった。何故,医療費かといいますと,厚生労働省予算の圧倒的シェアを占めるのは医療に対する国庫補助と年金に対する国庫補助です。年金は2004年に抜本改革を控えているので削れない。それで医療費の国庫補助で削るしかない。そこでまず国庫負担ベースで2800億削る。これには10月からの老人の1割負担で約1000億円削ることができます。あと1800億円削んなきゃ予算が組めない。あとは診療報酬を下げるしかないということですね。1%診療報酬を削ると国庫補助ベースでいいますと約670億円の減が見込めます。命題は1800億円削れと,1800割る670は2.69であります。じゃ,2.7 %下げればいいじゃないかと。これが予算組まなきゃいけない官僚の至上命題になりました。そのものを診療報酬だけで削るのはいくらなんでも医療界にとって気の毒だと言うことで,診療報酬本体で1.3%,薬価が実勢価格より下回っているからその分を落とすと診療報酬ベースに換算するとやはり1.3%,医療材料も少し実勢価も下がっているのでこれも落とすがこれはシェアが少ないから0.1%と,極めてドタバタと去年の秋から年末にかけて予算を組まなきゃいけないからこういう結果になりました。それにデフレの世の中で,サラリーマンの給料も下がっている,リストラも進んで世の中全体が困っている。医療機関だけプラス成長は困るという世論もありました。とにかく予算も組まなきゃいけない,ある意味ではやむを得なかった理由もあります。そこで皆様方おそらくこの月から診療報酬がトータル2.7%下がって相当お困りなっていらっしゃると思います。厚生労働省が言った%どころか,診療科によって違いますが,特に整形外科等は相当落ち込みがひどい。場合によっては2桁,10%以上の落ち込み。病院診療所によっては,20 %以上落ち込んでいるところもあります。ただ,ここで申し上げたいのは,落ち込んでいるから気の毒ですねということは簡単なわけでありますが,率直に言って世論は,医療機関がここで気の毒とは,ほとんど誰も思っていない,ということを残念ながら言わざるをえません。医療機関は儲かっているはずだし,薬品メーカーも儲かっているはずだと。世の中の一般はこんなに苦労している医療機関だけがプラスはありえない。多くはマイナスは当たり前だと思っております。マイナスが大変だということは,私自身年近く医療行政やったり,この問題でいろんな医師会の方とも話しあってますので分ります。しかし脅すわけではございませんが来年度以降政府与党は,もっとすごい抜本改革を考えています。とりあえず今回はそういうことで私に言わせますと,数字のつじつまあわせ,別な言い方しますと平成14年度予算を組まんが為の小幅な改革になりました。そのことは小泉総理初め自民党を中心とした与党も十分わかっている。そこで私が申し上げたいのは抜本改革ができなかった理由をレジメに書きましが,昨年4月末に登場した小泉内閣は年度に医療制度の抜本改革進めるのだとおっしゃっている。それが何故できなかったんだろう。小泉総理がとった構造改革の手法というのは何か,改革にあたっては霞ヶ関の官僚と自民党には任せない,族議員というのがいてろくな事しないので,彼らには絶対やらせないんだと。じゃ誰がやるんだというのがここにあります経済財政諮問会議です。これは何だといいますと,昨年1月6日省庁再編によって生まれ大変な機関です。総理大臣自ら議長を務め,従来大蔵省が握っていた国家の枠と言っても良い日本の予算の枠,それを決める権限を持った会議なんです。これを小泉さんは活用しようと,つまりアメリカの大統領直属委員会的な発想で。これは私もすばらしいと思うのです。この経済財政諮問会議のメンバーは11人です。閣僚が6人,大臣が6人。総理大臣,そして財務大臣の塩川さん,経済産業大臣平沼さん,そして総務大臣片山さん,官房長官福田さん,担当大臣竹中平蔵と,そして日銀総裁速水さん,あと民間人と称する方が4人,新経団連会長になった奥田さん,ウシオ電機の牛尾さん,東大経済学部の吉川教授と大阪大学経済学部の本間教授とこれで人。このメンバーで特に民間人が中心になって医療,医療構造改革の青写真を書くのだというこれは大変結構じゃないかとわれわれも期待しました。ところが去年の夏に発表されました経済財政諮問会議の中間答申ははっきり申し上げてがっかりしました。何を書いたかというと,代表的なのが医療費の伸び率管理です。これをやるのだと。評論家とか学者が言っているのではなくて,総理大臣が議長を務める大変な権限を持った機関がそうおっしゃったのです。医療費の伸び率とはなにかと云いますと,いま医療費は30兆円ですがこれが増え続けているから財政負担が大変,各健康保険も赤字で崩壊寸前。それを防ぐにはどうすれば良いか。診療報酬を多少抑えたってとても間に合わない。よって医療費の伸び率を管理する。一つの案として医療費が伸びるのはやむをえないだろうけれども,経済成長の伸び率しか認めない。国民医療費は,毎年少なくとも5%は増えています。老人医療費にいたっては8%増えています。ところが,今日本の経済は1%伸びれば良い方です。0.何%,下手すればマイナス成長です。経済成長が1%しかないのに医療費が5%伸びた。年度末決算したら4%オーバーです。30兆円の4%ということは1兆2000億円。これを翌年,あるいは翌々年度の診療報酬から返してもらいます。1兆2000億円分,どうやって返してもらうのだと,私も取材しました。簡単ですよ。今点単価10円ですから。1点単価10円を1点単価9.97とか9.98とか1兆2000億円分取り戻す為に簡単に計算できますね。これはあまりにも乱暴な意見として新聞にも書きました。つまり地域差の無視,まったく地域によるのも無視だし,またこつこつまじめにやっている医療機関も,そうじゃない機関もまったく混同ですね。とにかく伸びたもの全部診療報酬1点数単価を下げていくこんな乱暴な意見をこの権威のあるところが出してきた。あわせて小泉総理大臣の諮問機関として総合規制改革会議。これも大変重要な機関です。オリックスの宮内会長が会長ですがこれも大変発想はいいんです。いろいろ規制があるから経済が伸びないし新しい企業も出てこない。医療,福祉の分野はもっとも規制だらけで競争が働かない。よって医療機関に株式会社を参入させろといいました。株式会社に参入させると競争原理が働いて,努力するしサービスも向上すると。確かに今の医療機関は全然不透明だし医者は威張っているなどと多くのマスコミ人も賛成しました。が私は反対だと新聞にも書きました。あまりにも乱暴です。株式会社が実際に日本の医療機関に入ってきたら皆保険はどうなるのかという問題があります。営利行為は医療法,医師法で禁止されています。日本医師会は,営利行為をするのは論外だということで反対なさっていますが,私は営利行為ということよりも,果たして地域医療を守れるのかという意味で反対しています。私が申し上げたいのは,官僚や自民党に代わって決めるはずだった諮問機関の改革案が,あまりにも粗雑過ぎて自民党も相手にできないし官僚も困った。これをいきなり,平成14年度から実施するのは不可能でめちゃくちゃになります。混乱し8月の末に予算の枠が決まって,さすがに小泉総理もしょうがない厚生労働省で決めろということで9月の末に厚生労働省の案が出て元の厚生大臣の宮下さんが座長で苦労して12月に決まったのです。これは政府与党案です。結局年末には政府与党の案にまとまった。諮問会議の案があまりにも非現実的だったから実現不可能となり混乱した。時間が足りなくなった,予算は組まなきゃいけない。ということで抜本改革できなかった,というのが私の見るところであります。ところで諮問会議は乱暴なことを言ったには違いないんですが,一面今の日本の世論というか,国民の多くの意識を反映しているのは確かですね。日本の医療,医療保険制度には,大きくわけて2つの問題がある。一つは財政問題です。このままじゃ財政が持たない。このまま放って置くと健康保険制度は崩壊します。すると,昭和36年以来守ってきた日本の世界に冠たる国民皆保険制度は無くなってしまいます。ですから財政はちゃんと健全に維持しなきゃいけない。これは誰が見ても正しいと思います。もう一つは今の医療システムは非常に問題が多い。患者本位ではない。このことはマスコミなど多く認めている背景がある。これを解決するにはどうすれば良いのかと言うことで小泉総理の諮問機関は株式会社を参入させる市場原理案を出したのです。これが乱暴且つ粗雑だった為に結局受け入れられなかった。しかし,政府,与党3党は,このままじゃいけないので,また経済財政諮問会議で議論なさっているようですが今度こそ抜本改革をやろうと月の末政府与党が合意した内容はここにあるとおりであります。今度は小泉総理の方針で,とにかく来年4月から患者負担3割にする。その前に確実に抜本改革の道筋を国民の前に示そう。3月末までにできるものは示すんだというのが小泉総理の考え方。そこで示すのは何か,2点ございます。ひとつは医療保険の統合再編。5000の保険者がある。そして国保と組合健保も負担と給付の格差がある。公平という観点からも,そして財政の安定という観点からも統合が望ましい。1本化はとにかくすぐには無理でしょうが医療基本問題調査会などがなんとかそういった道筋をつけようとしています。来年の3月末までには何らかの案が示されるでしょう。抜本改革の名にふさわしいは,診療報酬体系の見直しです。すごいやつといいたいのがそれなんです。今回初めて診療報酬を下げた。しかしこれでもまだ足りない。坂口厚生労働大臣の言葉を借りれば,根っこから見直します。そして1年近くかけて基本方針を策定します。まだ議論が始まったばかりですから何もわかりませんが,自民党や厚生労働省を取材しました。一応の芽が少し見えます。ひとつは診療報酬体系を医療機関の機能といったものに着目して分けることができないだろうか。今は1点単価円で病院と診療所共に同じすね。非常に高い機能を持った病院,技術を持つお医者さんも新米のお医者さんも,みんな一緒でしょう。簡単に言えば,高い機能を持ったとこにはちゃんとつける。そうじゃないところには低くするのは具体的にやると難しいですが,それを来年月末までにやると言っています。医療基本問題調査会中心に検討しています。4月の診療報酬改定の引き下げで,疾病によって違いますが,手術例が50例いってなかったら,診療報酬を30%ダウンさせています。これは今,非常に問題になっています。東京の病院だったら手術例の確保は簡単だろうけれども,地方にいったら手術例がない。おかしいと言うことで,厚生労働大臣も見直す余地のあることを言っています。これは厚生労働省に言わせると機能に着目した第一歩なんです。これからは高い機能を持った医療機関には高い診療報酬を,そうでないところは低くするようにするのは間違いありません。端的に言いますと,これからは,高い機能を持ったところは生き残れる。もうひとつ言えることは,今の出来高払いこれは残しますが包括払い,いわゆる丸めです。これをどんどん増やすということですでに国立病院で急性期の包括医療のモデル事業をやっています。に基づいた医療をやれば金額は変わらないはずと包括払いをより拡大したい,という考え方があります。次に,

今までの日本の医療というのは病気ケガになったら治す。そこで診療報酬,技術料を払う。これじゃ金がかかって大変だ。介護保険が出来ましたが,これは,とにかく長期入院止めよう。病気が治って入院の必要の無い人は介護で受け皿にしようということでした。この発想からなるべく病気にならない人を増やそう。ましてや高齢社会で老人医療がどんどん増えていく。そこで予防に着目し保健師さんだけに任せるのではなく医療も関与して,健康づくりの一次予防や検診の次予防を積極的にやり病気にならない方を増やす。その部分を診療報酬体系の中に組み込めないか検討中との話があります。それから健康保険法案が衆議院通過しましたが,これにより年後歳以上が老人医療の対象になります。今のままではだめだと言うことで現在の老人医療に代わり高齢者医療制度を創設する。2002年度中に基本方針の策定, 年後の平成17年度からの実施と言うことです。自民党の医療基本問題調査会長の元厚生大臣で医療のプロである丹羽雄哉さんの試案があります。簡単にいうと患者負担は10%,50%を税金でみよう。保険者支援費をはじめとする拠出金を今の50%から30%に減らそう。足りなくなる分の10%は新たに高齢者からの保険料で頂きましょう。高齢者にもやはり医療保険に入ってもらいましょう。まだこれはどうなるのかわかりませんが,来年末に決まる事になります。次に政府の設置する病院の統廃合,これは社会保険病院が念頭にあります。税金の無駄遣いやってるから云々という問題があります。さらに社会保険料の業務の効率化です。次に保険給付の内容範囲の見直しです。いわゆる混合診療導入も含めいろいろありますが,保険でどこまでみるのという議論がこれから出てきます。すぐに結論はでません。粛々と官僚ペースで進んでいるのが医療提供体制の問題であります。地味なようでありますが,病院と診療所のあり方や機能の問題等です。皆さんに直接関係あることを申し上げますと,まず広告規制を緩和しようということです。医療機関は広告してもいいが,とりあえずは“ポジティブリスト方式”つまり広告していい事項を掲げる。後は全部だめということです。次に情報開示ですね。なんとなく抽象的でわかりにくいようですが広告というのは医療機関が出したいのを出すのが広告です。情報の開示というのは,患者がカルテ求めたら開示しなければならない。法律でカルテの開示を義務づける。患者が求めた情報は出さなきゃいけない。何を対象にするかということは,これからの議論でありますが,何でこんなこと今ワーワーやっているかと,患者にとって必要なことでありますが,もっとありていにオフレコで言っちゃいますと,株式会社参入論を潰すためです。医療機関に株式会社を参入させるという事は総理大臣の諮問機関が言っているわけですから,まだ潰れていません。自民党のあるいは官僚でもわかっている人は,反対しています。どうして情報公開,広告規制の緩和,つまりなぜ株式会社を導入しなきゃいけないか,今の医療システムは患者が選べない,そして不満だらけだから市場原理に放り込むと患者はすぐ情報が伝わってくる,透明になる,だから株式会社なのだというのが総理官邸の諮問委員会のメンバーの考え方です。患者が選べるようにするんだったら株式会社もってこなくても,情報公開すればいいじゃないか。徹底して情報公開やって患者が選べるんだったら株式会社を持ってくることもないと心ある議員や官僚の考えであり私も賛成です。医療機関はこれから徹底的に情報開示の姿勢を見せないと株式会社がまた出てきます,必ず出てきます。医療機関がまだ閉鎖にこだわるんだったらしょうがない,市場原理に放り込んじゃえ,今お医者さんはどんどん増えてくる。黙っていても競争原理は働きます。そして,はっきり申し上げて潰れるところどんどん出てくる。ということであるならば,情報は公開しない,患者には教えないということであったら当然撤退せざるをえない。情報開示は進んでいく。あとの推進です。医学的根拠に基づく医療は大事ですが私が注目しているのは,下手をすると医療の標準化になりかねない。この病気は根拠に基づくとこれだけですよ,使う薬はこれしかありませんよ,とうこれはマニュアル化ですね。医師の裁量権まったくなし。裁量権が無制限では困りますがマニュアル化だったらどんな経験豊かなお医者さんでも新米のお医者さんでもまったく同じ事になる。この病気はこの治療とこの薬だけとなります。の推進は素晴らしいんですが,それが医療の標準化を目指すんだったら反対です。そこで後は健康増進法案というのも今の国会に出ております。これからは予防といったものに力を入れようという

ことです。各都道府県および市町村に対して一次予防二次予防含めた健康づくりプランを作って下さいということでいよいよ保健事業を中心に始まる。そこに医師,医療機関がどう関与するかという新しいテーマです。そこで最後に私が一番申し上げたいのは,確かに今の日本の医療が抱える問題は,財政も逼迫している。医者が不親切で説明も無い云々と不透明な部分がいくらでもある。単に制度疲労というか直さなければならない部分はあるがこれをすべて直してしまったらどういうこ

とになるか,私は日本の医療が持つ良さのプラス面が失われかねないと思うからです。世界保健機構が2000年版のヘルスリポートで日本は総合第1位です。平均寿命は男女とも世界最高,乳幼児死亡率は世界最低。そしてフリーアクセス,誰でもが平等に医療を受けられる。健康保険法によって待たずに誰でも受けられる。こんなすばらしい国は確かに無いんです。問題点は2つあります。1つだけに目を奪われて全部変えてしまったらこのような医療の良さが失われかねない。まさに角をためて牛を殺すとなりかねないのです。そこに配慮しないから医師会あるいは政党も反対する。未だに抜本改革できてない。なぜできないのかなと思うと,そういった丁寧な議論が足りなさすぎた。マイナス面を潰しながら良さを残すという事は大変な作業なんです。非常に難しいけれどもやっていかなければならない。診療報酬を削っても結構なんだけれども,今日本がもつ医療の質といったものが,担保できるかどうかと考えなければいけない。もう1点の問題点として言いますと,欠けている議論は医療費の負担,今日本の医療費というのは31兆円かかっています。患者さんはトータルでみますと15%,4兆5千億円払った,それから保険料が53%です。税金が32%です。もうちょっと税金を増やすべきだと考えています。税金は減ってきています。消費税が日本わずか5%,あえてわずかといいます。デンマークやスウェーデン25%です。日本の5%はいかにも低い。最後に私が言いたいのは肝心なのは医療界の対応であり今まで官僚ベースの改革がずっと行われてきました。官僚の対応もまずいけれども医療界の対応も非常にまずかった。医療界といっても病院診療所の方々は日々地域医療に忙しくて声が出せない。それは私も解ります。しかし社団法人としての日本医師会,日本病院協会それに全日病があるわけですがこれらの広報体制がまずい。今日本の多くの人たちは大体医療機関に決していい思いを持っていません。医者は儲けてる。昔厚生省の事務次官やって逮捕された岡光という人がいましたね,あの人が保険局長のとき診療報酬を上げたってその分は医者の奥さんの毛皮になるだけだとはっきり言いましたね。世間の目を非常によく代弁してますね。あるいは広報として実にうまいですね。つまり多くの目はお医者さんてのは儲かっている。ベンツに乗っている,なおかつ威張っている。今度の診療報酬改定で医療機関がどんどんマイナスであっても,本当に当たり前だという受けとめ方です。それを払拭しなければせっかく国民としてほぼ全員の人が医療機関にお世話になったにもかかわらず多くの人が悪い印象をもっている。何故か,それが私の言う対応のまずさです,社団法人日本医師会はまず対案を提示すべきだと私は申し上げたい。対案,

ただ診療費を上げろと言う陳情だけでなくて,自分たちは医療の専門家かとして,こういう医療の改革を考えるのだ,ということをおっしゃれば良いのです。幸い日本医師会坪井会長は日医総研というシンクタンクを創り良くなさってます。もっとやってほしい。まだまだ不十分です。それから広報です。やはり医療の内容はたえず知らせるべきで必要ないだろうでは誤解されます。羽田春兎さんが日本医師会長の時でした。2年に1度の中医協の医療経済実態調査がありますが,10年以上前ですが,開業医の平均年収4000万円と発表されました。それを厚生省が発表したから新聞はそのまま書いた。そしてサラリーマンの倍と書いた。数字から言えばその通りですね。誰が見たって医者ってそんなに儲かるのかと思いますよ。私は羽田会長に言いました。どうしてこのまま黙って発表させたのですか,4000 万は診療報酬の収入で,そこから看護婦さんの人件費,検査委託代,薬代を払い減価償却やるのでしよう。ですから2年前の調査の時は日本医師会の中医協の委員の中に同級生がおりちゃんと発表させる様に言いました。あの時5000万です,必要経費除いたら2600万です。開業医の平均年収2600万円。これでも高いといえば高いけど,部上場企業の平取締役クラスですよね。ですから新聞も倍と書かなかった。私が言いたいことはなぜ広報を正確にやらないのかなのです。2番目は個々の医療機関です。対応が実にまずい。患者をみんな敵に回してしまっている。お医者さんからは私はまじめにやっているのに,何でそんなに非難されなければならないのと聞かれる。私は,意識改革やっていただきたい。患者が何を求めているか汲み取ろうとしないとはっきり申し上げます。確かにまじめにはやっている。話の中でちょっとした工夫,これで随分変わるはずです。患者の立場に立って苦しんでいるのだろうな,悩んでいるのだろうなと汲み取ってくれていると解れば不満はないのですが,そうでないから不満を持っている。国民世論もまさに新聞や週刊誌は医者の悪口書けば売れるみたいな話があります。医療機関がどんなに困っても医者が増えてるから全然困らない。当然そうなっ

ちゃいます。これまでは,行政が医療を守ってきたのは事実です。護送船団方式は撤廃されました。旧大蔵省が銀行証券みんな守っていたのをやめたからどんどん潰れたり,合併せざるえなくなった。もう潰れるところは潰れるんです。そういった意味では市場経済原理は入っているんです。医療改革に本当に医療現場の声を反映させる為にどうすればいいか,厚生省が決めたからしょうがない,その中で生きていこうといったお医者さんが多かった。その背景には最後には殺さないだろうという思いがある。このまま行くと本当に殺されます。そうなると,厚生省の官僚だけが決めるのではだめであって,それをどう変えさせるか。そこにどう医療の現場の声を反映させるかという,それは社団法人医師会の役割であり,世論というものを感知しマスコミが悪口書いても喜ばないようなものにもっていく。本来なら感謝されるはずの患者対医者です。少なくとも患者は1歩,診療所や病院の門くぐったら弱い立場です。良く聞くことですが医者はいいのだけれども,看護師さんが生意気だとか看護婦さんもすばらしいけど受付が威張っている。逆に患者ってのはそういったところに不満が強い。医療に対する不信というのは医療ミスなどもありますが,それ以上にちゃんとやることべきことをやってくれてない,患者の方を向いてない。大変なことですけれどもそれをやらないと個々の医療機関としても生き残れないし世論が味方してくれない。日本の持つ医療のいい面とい

うものが殺されてしまう。これが一番怖いのです。意識改革,医療の効率化という事が言われています。効率化は大変大事です。民間企業で効率化というと人件費を減らして云々です。しかし医療というのはそう簡単にいきません。専門職を集めたチーム医療です。人件費は簡単に削れません。リストラも簡単にできません。となりますと,医療の効率化は何を意味するか,やっぱり組織作りです。組織をうまく作って無駄をなくす。大病院なんかでも医者によっても入退院の判断がばらばら。だからある科では入院待ちの人がいれば,ある科ではぱっと入れるとか。それは患者の不満につながる。済生会熊本病院の須古院長先生は大変今評判になってます。医療再生の旗手みたいなとてもすばらしい方ですね。ひっこ抜いてきた事務長に組織作りをやってくれと,看護師さんや他のお医者さんや他の方々に対して,事務長の言うことは院長の言う言葉として全部聞けとやったんです。だからみんな従ったわけです。やる気になれば出来ると大変評判になっている。もっと評判になっているのが香川県坂出市民病院。ここの歳の若い院長も有名になってます。病院に行った時は赤字でめちゃくちゃだった。自治省から廃院勧告まで受けた。意識改革とは意識がまだあるから改革できるのです。病院に入ったら意識がなかった。まず,たたき起こして意識覚醒からはじめた。本当にひどかった。それでもう,そういった医者や看護師をどんどん辞めさせて,わずか1年か2年後に黒字にしたことで有名になった人物です。意識覚醒は大げさにしても意識改革やれば株式会社を導入しなくたって,患者が満足すればちゃんと情報も出してやれば,医療機関は当然国民から支持されます。医者が威張っている,不透明だ,看護婦さんが不親切,それは制度仕組みの問題もありますが,ちょっとした意識改革で私はずいぶん変わると思います。これは難しいかもしれません。ちょっとしたことで出来るはずでやらないところはこれから淘汰されていく。医療改革にも違った大きな影響を及ぼすことを特に強調いたします。かなり駆け足で雑駁でございましたが,このへんにしておきます。どうもご静聴有難うございました。

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