いつものように朝礼を終え階段を下りる途
中,山の新緑が目に映えた。ここ3年間と言
うもの季節がうつるのにも無頓着だった自分
に気づき溜息が出た。介護保険も4月で3周
年を迎えた。外来と入院患者の診療に追われ
つつも,介護保険サービスに参入して行かな
ければ将来が大変になるとの思いもあり,制
度を勉強しながら試行錯誤で対応してきた。
そのお陰で医療と介護をうまく融合させられ
るようになった。それを根っこで支えてきた
のはケアマネジメント業務であると考えてい
る。制度施行前からケアマネジメントの大切
さはいわれていた。それを担うケアマネ
ジャーの養成は,介護保険施行前の既存の医
療や福祉関連事業者が居宅介護支援事業に参
入するにあたり,人員基準を満たすために職
員に働きかけ,資格を取ってもらうケースが
多かった。そのような経緯から本来の仕事と
ケアマネジメント業務との兼務の場合が多く
制度に慣れていない事も有り,ケアマネ
ジャー本来の機能が果たせず,仕事内容も事
務的範囲に留まってきた。しかし今や介護保
険制度が社会に浸透し,ケアマネジャーの役
割が認知されている。介護需要の増加,サー
ビスの種類や量の充足とともに競争も烈しく
なっている。種々の社会資源を利用者に提供
するのに必要な連携や調整を担う専門職とし
て,名実ともに確固たる地位を得つつある。
今年月からは経過措置でケアマネジャーが
いなくても構わなかった施設にもそれが必要
になったし, 年目の介護報酬見直し改定で
介護支援業務の報酬は引き上げられた。その
代わり月回の利用者宅訪問,サービス担当
者会議の開催,多種の介護サービスをケアプ
ランに組み込むなどのきめの細かいマネジメ
ントが要求されており本格的になった。とこ
ろで介護保険制度での医師の役割は介護サー
ビスをうける利用者,家族およびサービス提
供者に医学的アドバイスを行う事であり,具
体的には主治医意見書作成,居宅療養管理指
導,ケアカンファレンスなどを介したケアマ
ネジャーとの連携で成り立つものである。法
的にはケアプラン作成に当たっては,医療
サービス部分は主治医の指示に従い,その他
のサービスも主治医の留意事項を尊重しなけ
ればならないとはっきり規定されているわけ
であり医師側の自覚が必要である。介護保険
に対して導入前から医師は腰が引けていると
いわれてきた。厚生労働省から都道府県が
夫々の医師会に委託して毎年開かれる主治医
意見書研修会への出席率は年々低くなってい
るようだし,主治医意見書は介護保険の入り
口ともいえる認定審査会の重要な資料である
がいまだに介護保険制度を理解していないと
思われる不適当な意見書が見られる。また医
療,福祉,保健の専門家で構成される認定審
査会の医師委員の確保に難渋している実態が
ある。もっとも地域医療に携わり介護サービ
ス事業に参入している医師とそうでない医師
の認識に差があるのはしかたがないとして
も,これからますます高齢化は進展するわけ
で,そのような中で医療を介護と切り離して
やれるわけも無い。そして新しく創設が模索
されている新高齢者医療制度では医療と介護
は一体として扱う事が望ましとする意見が主
流を占めている。その考えをいち早く取り入
れた京都府医師会では多くの医師会員に介護
保険の勉強を含めてケアマネジャーの資格を
取るように勧め,その手助けをした結果,全
国一の医師ケアマネジャーを擁する医師会に
なり会員のほとんどが介護保険制度運営にこ
ぞって参加し,介護サービス事業にも参入し
ているとの報告を聞いた。実務に携わらない
までも,医師が資格を得たことで介護保険制
度に精通し介護に携わる他職種の事も理解し
尊重出来るようになり,最も大切な連携もス
ムーズに取れているに違いない。羨ましい限
りであるが私たちの県医師会でも会員の
介護保険に対する認識を高め,制度を医師会
全体の課題とする。主治医意見書,書き
方研修会などに積極的な参加を促し,適正な
意見書の記載につとめる。認定審査会の
運営に協力すると共に,介護支援専門員との
連携を深め,地域ネットワーク作りを支援す
る。以上の項目を今年も事業計画に取り上
げているので,全会員の協力をお願いしたい。
固定リンク