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北風の強い日、風のうなりにあわせてカラスが喚く声がする。声のする方を見上げると高い椰子の頂上に一羽のカラスが両足で風で吹き揺れる椰子の枝をしっかり掴み、頭を低くして凄い形相でどこかを見据えて風に向かって唸っている。視線の先には何も見あたらない。何に立ち向かっているのだろう。あたかも先の見えない医療界の暗闇の中の我々とダブってしまう。

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先日、開業以来14年間診療させてもらい、医療デイケアを始めてから10年余りの長い間通所を続け前日まで元気に通所リハビリに見えていた88歳の方が、入浴中に突然心臓発作を起し、連絡を受け急ぎ駆けつけたときはすでに亡くなられていた。医師法では24時間診療していなければ異状死として警察に届け出なければならない。話は少し別になるが診療関連死の場合に異状死として届け出るか否かが問題のとなった事がある。私は診療関連死は異状死とはならないと考えている。異状死はあくまでも犯罪が絡んでいる可能性を想定したものである。それはともかく家族も入浴中の出来事であり犯罪ではないと判り切っていても、決まりは決まりなので、水臭いようでは有ったがその様に説明して届け出た。警察はまず犯罪の可能性を想定して家族周囲の状況を調べ私も主治医として病名、経過、処方内容を聴取された。一方で、今まで何年にも渡りかかりつけ医として親しくしていただいた方を全裸にして冷徹に向き合う検視医の立場になった。何か患者さんに申し訳ないと言うやりきれなさを味わった。最近は高齢者が医師の管理外に孤独死したり突然なくなるケースも多く、警察の係りの方もそこは十分承知の上で家族に配慮してむしろ私たち医療者よりも丁寧に対応して呉れる様になっているのに救われた。

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